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ダメなアドバイザーの回

証券事故とは


投資家から受けた売買注文が正確に執行されないなど、証券会社側の過失によって投資家の利益が毀損されること。

株式や債券などの有価証券投資は、基本的に投資家の自己責任のもとで行われることが前提となっており、たとえ株価の下落で損失が生じても、それはすべて投資家に帰属するものと考えられます。したがって、最初から損失の補填を約束して取引を行うことは、厳しく禁じられています。しかし、証券会社側の過失(売買注文の履行ミスなど)によって投資家の利益が損なわれた場合などは、証券事故として、そこで生じた損失を補填することが認められています。ただし、証券事故として処理する場合は、あらかじめその中身について、金融監督庁に届け出る必要があります。


Weblio辞書より


 個人投資家が、自分だけの考えで、自分の相場観で、たった一人で取引を繰り返す……。これが実は正解ではないかもしれないと話題になっている。以前にもお伝えしたが、金融先進国の欧米では金融アドバイザーをつけるのが当たり前だ。自己資金運用に関しての判断能力についても、これもお伝えした通り。で、何が話題かというと、自己判断で運用をしていた投資家の運用成果が、単純なインデックスの持ちっぱなしよりもパフォーマンスが悪かったんだ。株式も債券も、指数のリターンの半分にも満たなかった。結局は、色々考えて、勉強もして、売ったり買ったりしていても、インデックス投信をただ保有していた方がリターンが良かったとか。一度、考え直す時が来たのかもしれないよね。


 今回は、アドバイザーを付けた方が結果は良くなる検証は出ている。でも、アドバイザーをつけるにしても、残念ながら「外れ」もいる。その「外れアドバイザー」の事例のお話。


 昔ながらの証券会社では、顧客に担当者がつく。この担当者が、証券会社と投資家の間に入る潤滑剤であり、投資家にとっては色々なアドバイスをもらうべきアドバイザーとなる。

 この制度は欧米ではほぼ壊滅している。欧米の投資家はアドバイザーをつけているとお伝えしたが、そのアドバイザーは独立しているアドバイザーだ。日本のように金融機関の社員ではなく、独立系の金融アドバイザーを使うことで、アドバイスの公平・中立・独自性を担保している。


 日本に話を戻す。日本では残念ながら、昔から金融機関の社員が、金融機関のノルマ・販売計画・手数料目標などのしがらみをまとわりつかせて提案を行ってくる。


「今、この分野・テーマが注目されています。買いですよ」


 とか言って、その商品はノルマがある商品だったりする。それは果たして、提案を受けている投資家の為のことを本当に思って提案をしているのか。自分のノルマの達成の為だけに提案をしているのか。       

 ○○証券が○○投信(この○○は同じ名前)の投資信託を買いましょうと提案をしている。他に取り扱いをしている運用会社は沢山あるはずあるのに、なぜか「○○証券の担当者が○○投信の商品を勧める」のだ。こういうのは米国では投資家から批判の的になり、「手数料稼ぎだ」「投資家の利益を考えていない」「投資家本意ではない」などなどと炎上し、このスキームは衰退した。日本でも投資家が、少しは騒げばいいのにね。証券マンの目線からのお話も今度お伝えしたいが、この件では、言い訳のしようもない。本当にノルマの為に、他社の運用会社ではなく自社関連の運用会社の商品を売るんだから。それを沢山販売すると、海外旅行まで連れていってもらえたことがあったんだから。


 証券会社には、商品に「純増」というノルマを課しているところがある。純増とはプラスとマイナスを差っ引き、正味の増加をしましょうということ。100万円の買い付けと同時に、別で50万円の売りが出れば純増は50万円である。これは買いのノルマの一種ではあるが、外れアドバイザーに当たると売りの引き止めにつながることになる。顧客が売りたいと申し出た際に、


「いま売却されるのはもったいないです。保有商品の投資先は、今後も好調なレポートが出ており、中長期では値上がりが期待できます」


 とかなんとか、適当なことを言い、売りを止める。これも顧客の為を思っての言葉ではない。あくまでの自身のノルマの達成と保身の為だ。純増は能力のない証券マンにはしんどいノルマである。単純に、売りましょう、買いましょうで済む乗り換えとは違い、キャッシュでの買い付けが純増になるからであり、能力のない証券マンは顧客から、信用も入金も頂けない。


 以前の回でダマテンの話はした。これはノルマの為に勝手に売り買いをする証券事故である。今の話での売り止めもやりすぎは事故になる。売りたいと指示しているのに、売らないんだからあり得ない。あり得ないことが現実であるんだよね、怖い。

 私の後輩は顧客からの売りの要請を止められなくて、「売ります」と言ったが売りの発注をしなかった。顧客は売ったはずなのに、売りの注文は出ていない。これは輪をかけて悪質な証券事故になった。この後輩は解雇になった。

 ダマテンも売り止めも発注しなかったことも、そりゃ証券マンが悪い。悪いけど、それをやらざるをえなかった証券会社自身の体質をどうにかしていただきたい。


 日本の従来型の金融機関では、顧客が本当に期待できるアドバイスをもらうことは出来ないのかもしれない。従来型というのは、昔ながらの変われない証券会社・保険会社・銀行である。

 お調べいただくと、独立系のアドバイザーは日本にもようやくできて、広まりつつある。今度は、独立系だからすべていいのか? となるので、この話はまたいつかの機会にお伝えしたいが、従来型よりかは数段ましな、まともな運用が期待できるであろう。


 話が逸れたので戻すと、買い付け提案はノルマ。売りを止められるのもノルマ。投資家自身のお金なのに自由にできないとかヤバいよね。気を付けて。




「この中国投信を売り、日本株投信を買いましょう。中国は、不動産バブルも崩壊してきており株価も不安定です。それに比べ、日本株式は米国に比べ出遅れており、先の期待が持てます」


「ふーん。なら、中国だけ売るわ。買いは保留で」


「待ってください。日本株は今は買いなんです。政権も変わり、コロナも収まり……」


「ふーん。でも、中国だけ売ってくれ」


「いやいやいや、わかりました。では、日本は保留でいいですが、売りも一旦保留にしましょう。米中での首脳電話会談がありましたからね、今までの不安はもしかしたら解消されるかもしれませんからね」


「……」

 


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