限界
ある日の夕方、一人の少女は学校帰りの道の途中で道路のある高い崖に立っていた。
彼女は何を思っているのか、徐々に崖に向かって歩き始める。ガードレールはあるが小学生でも飛び越えれるような高さだ。少女だからと言って足を上げれば超えられるだろう。
彼女は崖に近付いていくとともに、足が震えだし、息の荒く、胸の前に置いている、その手も震えている。恐怖心があるにも関わらず踵を返したりはしない。
まるでそれが目的かのように。
あと一歩のところで足を止める。思い返せば嫌なことが多かった時期、思春期や学校の事だけでなく、親と
金銭的なことにも悩まされていた。それを解決できるのこの方法しかないと思うまで彼女の体はボロボロになっている。最後につぶやく。
「あいつさえいなければ…家族は…」
彼女の声は届くことは無い。
ある一人を除いて。
歩き始めようとしたとき、後ろから声がかかる。
「そこの可愛いお嬢さん」
振り向き声の主を見てみる、その姿は綺麗で品があり如何にもお嬢様を醸し出している。なぜ、そんな人が話し掛けてくるのか気になったが、一番気になったのはそこではない。
その人の着ている服が同じ学校の制服であること。
唖然としている私を他所に彼女は話始める。
「その先へ歩いていくの?何もないよ。」
私は言う。
「あなたには関係ないです。」
でも、彼女は話し続ける。
「もし歩いていくんだったら…」
続けては放った言葉に私は驚くことになる。
「私の、専属のメイドになって…お願い!」
その言葉は私の人生の中で一番混乱し、そして劇的に生活が変わることとなった言葉でもあった。