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40 オークの巣




 いよいよ、目的地が近づいてきます。

 その道中で、私たちはすっかり森を歩くことにも慣れてきました。


 音を出さず、できるだけ獲物が逃げないように。

 そして射程範囲に入れば――私とリグが、ブリッツで打ち抜きます。


 ブリッツには、より隠密性を高める為に『インビジブル』という性質付与魔法をかけておきました。

 対象を透明にする魔法なのですが、これをブリッツ自体に付与することで、透明な魔法の弾を撃つことが可能になります。




「……きぃ~っ! くやしいですわ!」


 リグが声を上げます。


 というのも、私とリグで競争をしていたのです。

 より多くの獲物を狩った方の勝ち、という勝負。


 私は最大封印状態なので、リグより魔法力で劣る以外はほぼおなじレベルなのですが……スーパーサーチが狩りにおいて強すぎる能力でした。


 初めて王都に訪れた時に地形把握に利用したように、今回も周辺の地形把握の為にスーパーサーチを使い続けていました。


 そして、私が得る情報は地形だけでなく、獲物となる動物がどの辺りにいるか、ということも含まれています。


 なので、私はリグよりもずっと早く獲物を狙えるのです。


 もちろん広大なエリアを常にスーパーサーチしているわけにもいかないので、認識できるのは近い範囲だけなのですが……360度全方位を常に把握できる私と、目で見える範囲しか把握できないリグでは差が出るのは当然のことでした。


 結果として、私はリグの5倍ぐらいの数の獲物を仕留めることとなりました。


「……全く、次は負けませんわよ、ファーリ!」

「はい、受けて立つのです」


 次は……スーパーサーチに頼らず、自力で獲物を探してみましょう。

 なんでもスーパーサーチで済ませるというのは良くないのです。自分自身の技術も、ちゃんと研鑽せねば修行の意味がありません。


「2人とも、静かに。そろそろオークの巣だよ」


 お姉さまが言うと、私たちは黙って、そして前衛の2人の方へと集まっていきます。


 少しすると、開けた空間が見えます。木がなぎ倒され、伐採されて出来た空間です。

 その中央は土が掘られて窪んでいます。


「あそこだね。肝心のオークは……3体? 少ない気がするな」


 お姉さまの言うとおり。作られた広場の大きさにしては、オークが3体というのは少なすぎます。


「様子を見たほうがいいにゃ。……オークだけの匂いじゃないにゃ。いろいろ混ざった感じの匂いがするにゃ」


 アンネちゃんは鼻をすんすんと鳴らしながら言います。

 獣人の知覚を信じることにしました。

 私たちは、暫く隠れてオークの巣を監視することになります。


 リグが隠密魔法を使い、私たちが見つかりづらいようにしてくれます。その上で、大きな草などを被って、見つかりづらいようにします。


 隠密魔法は本来なら補助担当の私がやらなければならない魔法なのですが、まだ知識の無い私の代わりにリグがやってくれました。

 その上で、隠れている間に隠密魔法など、補助に役立つ魔法を幾つか教えてくれます。

 やはりリグは優しいのです。

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