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36 さらにミスマッチ




 続いて、アンネちゃんが職業を決定したのです。


「決めたにゃ!」


 言って、アンネちゃんは自信満々に職業欄に書き込んでいきます。


 炭鉱夫、と。


「えええええっ!?」


 私はつい声を上げてしまいました。


「何だにゃ、ファーリちゃんはアタシの選択に文句があるのかにゃ?」

「文句と言いますか……いえ、アンネちゃんが炭鉱でせっせと働く姿が想像できないのですが」

「いやいや、ホントに炭鉱に行くわけじゃないにゃ」


 言いながら、アンネちゃんは特典欄を私の顔に突き付けて見せつけます。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


E:『鉱物系素材売買価格優遇』

D:『大型武器売買価格優遇』

C:『月当たり定額まで医療費補助』


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 炭鉱で働かせる気まんまんの特典ですが、これをアンネちゃんが喜ぶ理由が一つ分かりました。


「なるほど、大型武器の売買価格優遇ですね?」

「よく分かったにゃ」


 図星でした。


 アンネちゃんの武器は巨大なハルバード。

 お姉さま曰く、他にもやたらでかいハンマーや斧も部屋に置いてあるのだとか。


 なお、ハンマーやピッケルなどは大型武器の分類なので、それでこの特典が付いているのでしょう。

 それに、炭鉱にもモンスターが出ることはあります。

 良い武器を持った炭鉱夫ハンターがいれば、その炭鉱は安泰というわけです。


 まあ、その思惑通りにはいかないのですが。


 そして、鉱物系の素材の買取価格優遇も良い特典なのです。

 モンスター系素材と違い、収集に手間はかかりますが安全で、しかも単品が高価です。

 アンネちゃんの攻撃力なら鉱石収集も楽にできそうですし、これはかなりお得かもしれません。


「ところで、医療費補助は何かに活用するつもりなのですか?」

「もちろんにゃ」


 試しに聞いてみると、自信満々の答えが返ってきます。


「病院でグルーミングやダニ・ノミの駆除をしてもらうつもりにゃ」

「ああ、お手入れですか」


 今以上にアンネちゃんのもふもふがもふっとするようなことがあれば、やばいのです。

 私向けの特典とも言えるでしょう。


 ……と、そんな事を考えている場合ではありません。

 私も自分の職業を決めなければ。


 私は順に職業を見ていきますが、決められません。


「ユッキーまだ決めらんない? 優柔不断だねえ」

「うっさいのです」


 余裕の様子で私をからかってくるカミさまに、私はギロリと視線だけで抗議します。


「そういうカミさまは職業決めたのですか?」

「決めたよ?」

「ほう、何なのです」

「吟遊詩人」

「えぇ……」


 似合っているような気もしますが。

 歌や伝承を広めるために各国を放浪する予定など無いでしょうに。


 念のため、特典を見てみます。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


E:『楽器売買価格優遇』

D;『路上パフォーマンス許可証取得優遇』


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 本当に吟遊詩人にしか使えそうにありません。


「……カミさま。ちなみに特典を活用する予定は?」

「もちろんあるよ? 私、実は音楽とか好きだからね? 楽器買うからね? エレキギターとか買っちゃうからね?」

「この世界にそんな楽器は無いのです」


 呆れてため息が出ます。


「では、この路上パフォーマンス許可証とかいうのは?」

「もちろん路上ライブするためだよ? そのうちみんなでバンド組んでブイブイ言わせてやろうね~ユッキー?」

「嫌なのです」


 どうやらカミさまにとっては、職業選択も遊びの範疇のようなのです。

 これは、参考にもなりません。

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