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35 ミスマッチ




 私たちは順に特典をチェックしていきます。

 とはいえ、職業の数はとてもたくさんあります。

 特典一覧だけで小さな冊子になっているのです。

 目を通すだけでけっこう大変なのです。


 ……まさか、ハンター登録だけでこんなに大変な思いをするとは思っていなかったのです。


「わたくし、これにしようかしら」


 リグは言って、一つの職業を指します。


 占い師。


「なんか、可愛いのです! リグの占いなら毎日占ってほしいのです!」

「そうではなくてよファーリ。特典の方ですわ」


 言って、リグは特典を指し示します。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


D:『魔道具売買価格優遇』

E:『屑魔石の無償供与』

C:『露天商許可証取得の優遇』

B:『店舗・テナント用賃貸優遇』


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 ……これのどこが良いのでしょうか。


「ファーリ。この特典の何が良いのか、といった顔をしてらっしゃいますわね」

「は、はいなのです」

「うふふ。正直でよろしいですわ」


 何故か頭を撫でられたのです。


「まず屑魔石ですが、わたくしがその……あらゆる戦況を想定して集めている武器の手入れに便利なものですのよ。恐らく占い師の魔法用触媒に使う為の特典でしょうけれど、これを利用しない手はありませんもの」

「なるほど、そういう手口もありか」


 お姉さまが感心したようにつぶやきます。


「そしてわたくしは魔法銃を使いますけれど、これは魔道具扱いですの。なので魔道具売買価格の優遇があるのは助かりますわ」


 なるほど。さすがリグです。考えているのです。


「さらに露天商許可証の取得優遇ですけれど……需要があって高額で売れる希少素材は、自ら露天商で売り払った方が高く売れると思いましたの」

「確かに。全ての素材を売る必要はないから、露天商として常に活動をする必要もない。露天商優遇がどれだけのものかによるけど、けっこういいアイディアだね」

「そう言って頂けるとありがたいですわ、クエラさん」


 こうして、リグの職業は決まりました。


 次に決まったのがお姉さまです。


「よし、僕はこれだ」


 お姉さまが指し示した職業の名は『看護士』。

 ええ……いくらなんでもそれは。


「ファーリ、僕の判断を疑っていそうな顔だね」

「な、なぜわかったのです!?」

「疑うなら、まずは特典の方を見なよ」


 私は特典冊子の看護士の欄に目を通します。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


E:『医療用品各種売買価格優遇』

D:『医学系学術書売買価格優遇』

E:『治療実績による特別賞与、特別報酬へのボーナス付与』

C:『医薬品売買価格優遇』


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 さっぱり分かりません。


「あのお姉さま。何が良いのですか?」

「つまりね、輸血パックなんかも安く買えるということさ」


 ああ、そういえばお姉さま吸血鬼ですものね……。


「それに僕たちの中で治癒魔法が使えるのはファーリと僕だけだからね。医薬品を安く買えるのも、医学系の知識を僕が得て治癒術に活かすのも必ず良い結果につながる。それに、他のハンターを治癒術で助けた時、その報告がギルドに行けばボーナス付きで特別賞与が出る。小銭稼ぎにはなるはずさ」

「思っていたよりけっこうまともな考えなのです……」


 正直、輸血パックだけが目的かと思っていました。

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