34 ハンター登録!
受付さんとは別の人が来て、学生ハンター登録とチーム登録の詳細を説明してくれました。
学生ハンターはハンター学園の試験が登録試験の代わりとなるのでそれが免除されること、様々な学割が受けられること、学園を卒業、あるいは退学した場合はすみやかにその旨を届け出ることなどを説明されます。
そして説明が終われば、書類を書き終わった頃にまた伺うとのことで、部屋から出ていってしまいました。
残された私たち5人は、登録書類に目を通します。
別に難しい内容ではないのですが、少し考えなければならない欄が一つ。
職業、の欄です。
この場合の職業とは、実際の自分の仕事のことじゃありません。
ハンターとして、どのようなポジションで活動するのか、ということです。
例えば、剣士だと前衛で戦うアタッカー的なポジション。
魔法使いなら後衛。
治癒術師、狙撃手などもあります。
つまり、自分がどんなハンターになりたいのか書く、ということです。
どうやらこの欄に記入した情報によって、ハンターギルドから供与されるさまざまな特典の内容が変わるらしいのですが。
まあそれはともかく、私たちは自分のなりたい職業について突然考えるハメになってしまいました。
それぞれ、職業一覧を見ながら自分に適した職業を探します。
「うーん……僕は剣士か、あるいは騎士かなあ。……ああ、でも騎士は馬関係の特典がつくのか。いらないなぁ」
お姉さまは悩みながら、特典を見比べていきます。
「これは戦闘スタイルから職業を選ぶよりも、ハンターギルドの供与してくれる特典の方から選んだほうが良さそうだね」
そのつぶやきに、全員が頷きます。
「そもそも、わたくしなんて適切な職業がありませんもの」
ですよね。
リグは魔法と銃と剣を組み合わせて戦うバランス型です。が、そんな職業は存在しないのです。
となれば、お姉さまの言った通り特典から逆引きで職業を選ぶ方が良さそうなのです。
「アタシは戦士にしようかと思ったけど『大型装備売買価格優遇』ぐらいしか魅力的な特典が無かったのにゃ」
言われて、戦士の特典を確認してみます。
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
C:『山林地区伐採許可の優遇』
A:『対人戦闘行為のペナルティ軽減』
E:『都市間移動の優遇』
D:『大型装備売買価格優遇』
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
なるほど、これは不要そうです。
ところで、この特典の横にある文字は何なのでしょう?
「お姉さま、特典の横にあるCとかAとかって文字は何なのですか?」
私はお姉さまに訊きます。
「ああ、これは多分、ハンターランクのことだね」
「ハンターランク?」
私が首を傾げると、他のみんなが苦笑します。
「えっ、そんなにおかしいのですか?」
「いや、そんなことも知らずにハンター学園に入学したのかと思ったら、ねえ?」
「そうですわね、びっくりですわ」
「っていうか一般人でも知ってるにゃ」
すごいバカにされてしまいました。
「むう……で、そのハンターランクとは何なのです?」
私は膨れっ面になって訊きます。
「ハンターランクっていうのは、ハンターの実績にともなって付与されるランクのこと。FからSまであって、私たちみたいな初心者は普通ならEから始まるんだ」
「なるほどです……実績にともなって、ということは依頼をこなすと上がっていくと?」
「そうだね。高いハンターランクの人間ほど、優れたハンターである証だから、受けることの出来る依頼も増えるし、ギルドの特典も増える」
「あ、なるほど。つまりこの特典一覧にあるAとかCとかって文字は、そのハンターランクの人間ならもらえる特典、ということなのですね?」
「その通り」
ようやく理解できました。
だとすると、なおさら戦士の特典はクソに思えます。
ランクEだと都市間移動の時に使う馬車がお安くなるだけなのです。
私たちは移動しないので不要です。
それ以外の特典は、ランクを上げてからということになります。
ダメダメなのです。




