21 アンネ、落ちる
私はさっそく、毎日わしわしする為の交渉に出ます。
「ところでアンネちゃん。お姉さまの吸血は気持ちよかったそうですが、私のわしわしはどうでした?」
「うにゃ? それは……くすぐったくて、ちょっとだけ気持ちよかったんだにゃ」
正直な子です。
これは押せば落ちますね。
「試しに、吸血と一緒にわしわしされてみませんか?」
「ふにゃにゃにゃっ!? それはどういう理屈だにゃ!?」
「吸血で気持ちいいのと、わしわしで気持ちいいのが合わさって最高の気分になれるかもしれないのですよ?」
「にゃむぅ……それは試してみる価値があるかもしれないにゃ」
ちょろいのです。
「ではお姉さま! やっちゃって下さい!」
「任せたまえ!」
お姉さまはアンネちゃんを後ろからがばっと抱き締め、手際よく首筋に噛みつきました。
「にゃうぅ……っ!」
アンネちゃんの顔が赤くなり、身体が少しずつ弛緩して、ぴくぴくと震えます。
……もしかして、私もこんな姿を毎回晒しているのでしょうか。
ちょっと心外です。
ともかく今は、アンネちゃんをわしわしする任務があります。
頭を切り替え、アンネちゃんの身体に手を伸ばします。
どこをわしわしするのか?
とりあえず、お腹です。
わしわし。
「にゃふっ! ……んうぅ」
続いて太もも。
わしわし。
「んにゅうぅ……みゃあぁ……」
次は……。
ええい、我慢なりません。
「とりゃ、です!」
私はアンネちゃんに抱きつき、全身を使ってわしわしもふもふしてやります。
「んみゅうううぅぅ~~~っっ!!!??」
アンネちゃんの黄色い悲鳴のような声が上がります。
それでも私はやめません。
いや、やめられません。
「ちょっと、ファーリ! ストップだ!」
「はい?」
お姉さまに言われて、私はアンネちゃんから離れます。
アンネちゃんは、よだれを垂らして失神していました。
やりすぎてしまったようです。




