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異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
一章 初めてのおともだち
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21 いよいよ魔法実技試験開始!




 試験室に入ると、試験官が2名、出迎えてくれました。


「リグレット嬢。このような特例は、今回だけにしてくださいませんか」

「ええ、もちろんですわ。わたくしも、あまり家の名前を出すのは良くないと分かっていますもの」

「……であれば、今回もご遠慮願いたかったのですが」

「無理なご相談ですわね」


 言うと、リグレットさんは1人で前に歩いていきます。

 的を狙うための定位置。赤い線で×マークがつけられた場所。そこにリグレットさんは立つと――急に、雰囲気が変わります。


 気付いたのは、魔法力が高まっていることです。辺りに滲むほど、リグレットさんの魔法力が高まっていきます。

 そして、リグレットさん本人もかなりの集中力を発揮している様子でした。的を狙う、鋭い視線。

 ゴーレムと戦った時の比ではありません。こちらまでピリピリするほど、魔力、そして闘志が高まっていました。


「――始めッ!」


 試験官の合図と同時に――リグレットさんは、複数の光の玉を生み出しました。


 これは、ブリッツと呼ばれる魔法です。全ての属性に同じような型で存在する魔法。例えば炎ならファイアブリッツ。雷ならプラズマブリッツです。

 魔法の弾丸を標的に飛ばし、攻撃する魔法です。

 本来は複数生み出すような魔法ではありません。が、熟練者ともなれば、ブリッツをたくさん生み出すことで制圧力のある戦いを繰り広げるとも言われています。

 ……ちなみに、全てカミさまに教わった知識です。


 そして、リグレットさんが放ったブリッツの数は――12個。4つの属性ごとに3つずつ、ブリッツを生み出しています。

 これを次々と、的に向けて飛ばしていきます。


 無数に用意された的は、次々と破壊されます。

 数だけではなく、威力も十分。的は跡形なく粉々に砕けます。


 さらに言えば、リグレットさんはこれら全てのブリッツを無詠唱で発動しています。

 無詠唱でブリッツを使うこと自体は難しくはないらしいのですが……その数と、頻度が常識を越えています。

 12個のブリッツを並行して操作しながら、全てが無詠唱なのです。

 恐ろしいほどの技術です。


 30秒ほど経過した時点で、リグレットさんのスコアは100を越えていました。


 しかし、ここから様子が変わります。

 先程まで白かった的に、色が付きます。

 どうしたのだろう、と思って私はスーパーサーチで的の様子を観察しましたが……なんと、的に魔法耐性が付与されているのです。

 赤い的には火属性以外全てに耐性が。黄色なら土以外、緑なら風以外。

 つまり、単一の属性以外の魔法を通しづらい的、ということです。


 もちろん全く通さないわけではありません。

 ですが、普通の魔法力の人が放つブリッツでは、破壊は困難でしょう。


 一方、1600を超える魔法力の持ち主、リグレットさん。

 何の苦もなく、属性を無視して次々と的を破壊していきます。

 威力がずば抜けているのですから、当然とも言えます。


 やがて、ラスト10秒を迎えたところで、ついにリグレットさんの魔法力でも無理に破壊することが困難になりました。

 リグレットさんが舌打ちします。

 そして、リグレットさんは自分の属性魔法――火、土、風、雷の4つに的を絞り、正確に射抜いていきます。

 ただ、ペースは明らかに落ちていました。標的にできる的が半減したのですから、当然のことです。


「――そこまでッ!」


 試験官の呼び声で、リグレットさんは魔法を止めます。的も同時に、すっと引っ込みます。そしてゆっくり、最初この部屋に入ってきた時と同じ配置で白い的が出現しました。


「スコアは183。すごいですね、前期試験よりも記録が伸びています」

「当然ですわ。わたくしは日夜訓練を欠かしませんもの。前回より優れた結果が出るのは当たり前のことです。それに――」


 自慢げな顔で、リグレットさんはこちらを見ます。そして、ニヤリと笑います。


「今回は、競いたい相手もいますから。気合も入るというものです」

「なるほど、それで無理を仰ったわけですか」

「ええ」


 そしていよいよ、私の順番です。

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