20 ファーリ、疑われる
「……実は私、いわゆるサーチの魔法が使えるのです」
私がそれを言っても、リグレットさんはさほど驚いていない様子でした。
「あら、そうでしたの。無属性魔法の適性が?」
「はい。それで、その……リグレットさんがどれだけ強いのか気になってしまって、勝手にサーチしてしまいました」
「なるほど。それと今回の話に何の関係が?」
「えっと、サーチした時にリグレットさんの名前も見えたのです」
言うと、リグレットさんは心底驚いた顔をします。
「名前って……ファーリ、ご存知? サーチで相手の名前まで分かってしまうとなると、それはランクB以上の使い手ですわ。貴女、そんなレベルのサーチをお使いになったと?」
「そ、そうなのですか!?」
「……貴女って人は、よく分からない人なんですわね」
はぁ、と深い溜め息をつくリグレットさん。
「それで、わたくしの名前を知ったと」
「はい」
「そしてわたくしの家のことを知っていたから、こうしてお近づきになろうとしているわけですわね?」
「はい?」
私はリグレットさんの言う意味が分からず、首を傾げます。
「だって貴女、わたくしの名前を見て貴族と気付いたのでしょう?」
「はい。名前の並びが貴族のものだったので、そうだと思ったのです」
「……ではつまり、クラウサスという名前に聞き覚えが無いと?」
「ごっ、ごめんなさいなのです! 私、あんまり貴族のことに詳しくなくて、その、なんとな~くどこかで聞いたことがある気はするのですが……」
私が言い訳を連ねていくと、リグレットさんは急にふふっと笑い出しました。
「そうでしたのね、ごめんなさいファーリ。わたくし、貴女のことを疑ってしまいましたわ」
「疑う?」
「わたくしの家のことを知っていて、その上で近づいてきた輩の1人かと思ってしまいましたの。ごめんなさい。……ファーリは、そういう器用なことができるタイプではなさそうですものね。ええ全く、わたくしってばとんだ勘違いをしてしまいましたわ」
なんだか、リグレットさんは嬉しそうにも見えます。
でもまあ、とにかく勘違いというものが誤解と分かってもらえて良かったのです。
それにしても、話を聞く限り、リグレットさんは相当なお家柄のようです。
公爵令嬢だったりするのでしょうか。いえ、下手をすればこのお年で公爵様だったり……?
「ほら、ファーリ。何をしていますの? 早く試験を始めますわよ!」
「あっ、はい!」
リグレットさんは、なんだか楽しそうな笑顔で私の手を引いてくれました。




