コナ
「ふぅ〜、いつもやってても、汚れって出ちゃう
いますよねぇ」
今日は自鳴琴の年内最終日
お昼でお店も閉め、現在大掃除の真っ最中
私もマスクをして床の汚れと格闘中
「いや助かるよぉ〜…去年は樹と妻の3人だったから夜遅くまでかかっちゃって…この分なら夕方に終えられそうだ」
「いえいえマスター、いつもお世話になってますから」
相変わらず、私はバイト採用はされていない
あくまでも珈琲の体験ということになっている
お客さんの中には私の顔覚えてくれてて、会いたくて来たなんてお世辞言ってくれる人もいるけどねぇ
「マスター…2階、おっけぇですよ」
「お、サンキューな」
2階から降りて来た樹くん
あの書斎にあるすべての本を一旦出して、風通し頼まれてたっけ
夏祭りのとき上がったけど…多分千は超えてるよね
「お疲れさまぁ…樹くん大変だった?」
「数が数だからな…綺麗になったな」
「わかる?自分でも頑張ったと思うんだよねぇ」
ちょうど、ラスボス級のシミとの闘いに勝ったところだった
中々手強かったぜ
「さて、こんなところかな、みんなお疲れ様」
「お疲れさまー!」
マスターの言葉でようやく大掃除が終わった
うん、見違えるように綺麗になった
掃除って面倒だけど、やると気持ちいいよね
「さぁて、最後の珈琲でも淹れるか…茜ちゃんはどうする?」
「う〜ん…ココアで!」
「あいよぉ」
そこは珈琲でしょって思った?
だって疲れた後って甘いものがほしくなるじゃん?
今まさしくその気分なんだもん
「…見たことない豆ですね」
マスターの淹れる様子を見てた樹くんが呟く
へ?そうなの?
全然気づかんかった
ってか見ただけでわかるもんなの?
「お、やっぱ樹は気づくか…来年から新メニューで入れようと思っててな…世話の焼ける子だから大手が嫌って、その分安く仕入れられるんだとよ…味はいいぞ?」
珈琲豆なのに、世話の焼ける子って表現して、マスターらしいなぁ
確かに、言われてみればここで嗅いだことなかった香りかも…な気がする…かも…
はい、勉強不足ですいません
「はい、おまたせぇ」
私にはココア、樹くんには新作珈琲が届きました
マスターも、樹くんの前で動かず感想を待ってるみたい
「…ん…美味しいです…コナに近い気がしますね」
「お、ご名答だよ、まぁコナ…ではないんだけど、甘みがあるだろ?…うちには今までなかったからな」
コナ?…あの見た目は子ども頭脳は大人、真実はいつも1つ!じゃなくて?
ずっ…あぁココア美味しい




