始まり4
シャワーから出て、キャリーバックに入れてあった制服に袖を通す
我ながら準備がいいと思う
それに、さっきまで着てた制服はお酒の匂いがきつかった
私、こんなにお酒飲んだことないのに(もっとも、まだ未成年なんだけど、てへっ)
…もうやめよう
ハンドタオルもちゃっかり借りて、肩にかけたままリビングに入る
さっきの男の人がコーヒーを落としてるとこだった
なんか…様になってて…かっこいいかも
「…シャワーありがと」
私がそう言うと、その人は軽く頷くだけだった
それから…
「しじみのみそ汁、2日酔いに効くぞ」
そう言いながらテーブルにお椀を1つ置く
定食屋さんにありそうな茶色のお椀
美味しそうに湯気が上がっている
「あれ?…あなたは?」
気づけば椅子に座っていて、目の前を見ればこのみそ汁だけ
この人の分の朝食は準備されていなかった
「いつも朝食摂らないから」
「そぅ…」
「…他にも食うか?」
「いい…っていうかムリ」
シャワーを浴びて、少しはすっきりしたけど、まだ頭痛むし、なんかボーッとするし…
ずっ………美味しい…凄く
ふと見れば、あの人はコーヒーカップ片手にソファに座ってニュースを見ていた
相変わらず政治がどうのとキャスターが言っている
「…あの…」
「ん?」
みそ汁を美味しく飲み終わり、私は声をかける
顔だけ振り向いて反応してくれた
「昨日って…その…」
「なんもねぇよ」
「えっ?…」
私が言い終わらないうちに、その人はおもむろに立ち上がる
コーヒーカップを流し台に置き、学校のバッグを手にした
「学校遅れるぞ」
そう言いながら顎で壁の方を指示して、見ればちょうど8時だった
「ちょっ…ちょっと待って!」
そそくさと先を行ってしまうその人を、私もバッグを持って後を追う
あ、バッグに何入ってるかな…たぶん…っていうか絶対昨日のまんま
髪の毛…うん、だいぶ乾いてるから大丈夫か
玄関で鍵を指したまま待ってたその人に追いつく
扉を閉め、その人は言った
「…行ってきます」
その言葉には、なにか意味が込められてる気がした




