表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未定  作者: ちゅう
21/50

ゆでダコ

比較的新しい新聞を読み、その記事はすぐに見つかった

私も、このニュースをリアルタイムで見た覚えがある

その時、私は中学生で、しばらく登校も下校もお母さんに送ってもらったのだ

私以外の友達も、そのほとんどが送ってもらっていた

そこまで遠くない、むしろすぐ身近で起きた事件であり、その時の衝撃も大きかった

ただ、やはりどこか他人事な感じは否めなかったが…まさか…


「天笠…」


恐らく、私の予想は外れていない

この事件の被害者、天笠優子さんは…


「樹くんのお姉さん…だよね…」



この事実は、調べたらすぐにわかってしまった

新聞に載っていた女子高生の写真

それはまさしく…あの写真

もう、4人揃うことはない


あれから、1人での登校が続いている

頭にポンと手を置かれ、別れてから一切話ができないでいる

私から避けたのだ

次に話す時、どんな顔をすればよいのか

そもそも、再び会話をしてよいのか、そこまで考えてしまう

しかし、私の浅はかな脳では、その答えは一向に出てこなかった

出てくるのは、聞かなければよかったと後悔の念だけ

知らぬが仏…まさにその通りだよ


少し前を行く、樹くんの後ろ姿

今日も隣には薫くんが

そんな光景…樹くんにとっては、以前となんら変わりはしない

そう、変わらない方がいい

あの時の樹くんだって、そう思ったに違いない

私なんかが、その日常に入っちゃいけないんだ…

私は私で、いつもの日常を…


「っわわ!?」

「っと…ん?」


考え事をして前をよく見ていなかったせいで、信号で待ってた人の背中にぶつかってしまった


「す、すす、すいません!」

「いや…おはよ」

「へっ?」


ぶつかった人にいきなり挨拶され、多分、相当な間抜け面で顔を上げれば…


「あ…おはよ、樹くん、薫くん」

「おっはよぉ、久しぶりやねぇ」


今日も元気な薫くん…なんか救われるな


「ボーッと歩いてると危ないよ?」

「そ、そうだね…」


うぅ…今1番ぶつかりたくない人だよぉ

よりによって…ってか、普通誰ともぶつからない方がいいよね

あははと乾いた笑いが出る


「…しばらくだな」

「そ、そうだね…2週間振り…かな?」


意外にも、樹くんから話しかけてくれる

でも、私はどんな顔していいかわからない…

樹くんは、気にしてない…わけないよね…

昔のこと聞かれて…思い出して…


「うっわわ!?」


急に右腕を引っ張られる

引っ張ったのは…


「…轢かれるぞ」

「ご、ごめん…それと、ありがと」


赤信号なのにそのまま渡ろうとしてたみたい


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫…ボーッとしちゃうのはいつもだから」


いつもだけど、今日はいつも以上かな

樹くんも心配そうに…てぇ!?


「っ!!??」

「熱は…ないんだな」


ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇ!!

そんなことされたら嫌でも熱上がるよぉ!!


さも普通のごとく、おでこに手を当てている樹くん

そう…私のおでこに

そんな免疫、私は持ち合わせてないよぉ


「だ、大丈夫だから!」

「ん」


やっと解放される

意外に大きな手…ってそこじゃないだろ!


「顔も耳も真っ赤だよ?ゆでダコってやつ?」

「う、うるさいっ!」


からかってくる薫くんにムキになる

あ、逃げた…よし、私も


「あ、待てっ!て…っとと、またね」

「ん」


追いかけながら一度振り向いて樹くんに挨拶だけ

いつもの私なら追いかけるなんてしないけど…2人だけだと気まずいし、ここがチャンス?


「こら〜!!」


…ちょっとわざとらしかったかな?

まいっか


去り際に、チラッと見えた

ほんの一瞬だったけど

樹くん…笑ってた?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ