30話 ロイの想い
「君もそんな真剣な顔ができたんだね」
「ん?そんな顔してるか?」
「ああ、してるよ。いつも僕の見ていた顔とは全く違う顔をね」
ロイは自分の初めて見るグレイの真剣な顔に内心では驚きながらも自分の思いを打ち明けようと再び口を動かし始める。
「それで、君の質問に大しての答えだけど、僕は君とは面と向かって話したことはないが、僕は君がFクラスのときから見ていたよ」
「な、なに!?そ、それってまさかスト、「違うから安心してくれ。そして今はしゃべるな」イエッサー!」
再びグレイがボケ始めようとしたがロイの異様な圧力に押し負け借りてきた猫のように黙った。ロイはグレイが静かになったのを確認すると話の続きを淡々と話し始めた。
僕~ロイ=マルクスは上流貴族の一つマルクス家の三男として生まれた。しかし、その才能は凡人よりも少し上な程度、既に魔術師として将来を約束された一番上の兄や類まれな剣術の才能を開花させ始めた二人目の兄、そんな優秀な二人の兄とは比べることすら許されないような違いだった。しかし、僕はあきらめずに毎日毎日努力を続け、ようやく今のSクラスまで上り詰めることができたんだ。そんな時に僕は君を見つけた。それからはいつもいつもFクラス所属の君~グレイ=ゾルディアを見ていた。その理由は至極簡単なものだった。Fクラスに所属しながらも全く努力しないその姿にただ、ムカついていただけだったんだ。例え他の人たちよりも実力が劣っていようと努力もせずに諦めているその姿勢がとても嫌いだった。しかし、そんなある日グレイ、君はいきなり、僕と同じSクラスにへと一足飛びに上がってきた。僕はそのことが信じられなかった。何故何も努力をしていないような君が僕と同じところまで来たのか。そしてそんな君が僕は憎かった。そして、今日の模擬戦だ。僕は君なんかには負けるはずがないと思っていた。しかし結果は君の勝ちだった。その時僕の今までしたてきた努力は何の意味もなかったと思ってしまった。そして、君に八つ当たりをしてしまった。
「本当にすまなかった」
ロイはそう話を締めくくるとベットの上から降り床に座るとそのまま額を床に付け謝りだした。その姿にはさすがのグレイもボケに回ることはできず、今回のことを訪ねた時と同じような真剣な表情を作るとゆっくりと話し始めた。
「まず、頭を上げてくれ」
その言葉の通りにロイは顔を上げた。
「今の、俺が言っても説得力がないかもしれないけど、俺もほんの3年くらい前かな、その時の俺は今とは比べほどにはならないほど弱かったんだ。そりゃもう、Sクラスなんかにいたら一瞬で消し炭にされちゃうようなね」
「そんな事は信じられない。今日の君は確かに強かった」
「まぁ、そうだよね。でもこれは有名だから知ってると思うけど、僕は無属性魔法しか使えない。本当の落ちこぼれだった。」
「だった?」
ロイは既に過去形になったグレイの使用できる魔法に疑問を持った。なぜなら、今でもグレイは無属性の魔法しか使えないことは学園の常識にもなり始めていたのだから。
「そう、だっただよ。まぁ、僕の使う魔法は結局無属性になるんだけどね。」
今の答えでロイの頭には?が飛び交っていた。
「これは、僕の他にはラッシュにしか教えていないことなんだけどね。君になら教えてあげられる。いつか、僕のライバルになれる可能性のある君にならね」
そうしてグレイはほとんどのものの知らない自分の過去についてロイに語り始めた。




