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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第2章 海の街セレナ・マール編――ヒロイン三人とわちゃわちゃ・いちゃいちゃ冒険

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第42話 朝の馬車で手作り朝食――寝起きのヒロインたちが無防備すぎる

 翌朝。


 豪華な馬車の中はまだ静かだった。窓の外には淡い朝の光が広がり、街道の森は薄い霧に包まれている。


 そんな中、最初に目を覚ましたのはカナタだった。


 軽く体を伸ばしてからベッドを降りると、静かにリビングへ出る。寝室の扉は閉まったままで、どうやら三人はまだ寝ているらしい。


「よし」


 小さく呟き、カナタはそのままキッチンスペースへ向かった。


 棚を開け、食材を取り出す。パン、ベーコン、卵。スープ用の鍋も用意しながら、手際よく調理の準備を始めた。


「朝飯作ってやるか」


 独り言のように言いながらパンを並べる。フライパンを取り出し、ベーコンを準備し、卵をボウルへ割っていく。まだ火は入れていないが、料理の支度だけでも馬車の中に朝の空気が流れ込んだような気分になる。


 そのとき。


 寝室の扉が静かに開いた。


 銀色の髪がゆっくりと姿を現す。


「おはようございます」


 セラフィナだった。まだ少し眠そうな目をしながら、ゆっくりとリビングへ歩いてくる。


「おはよう」


 カナタは振り返って軽く手を振った。


 セラフィナは小さく欠伸をこらえながらキッチンの様子を見る。


「朝早いですね」


「朝ごはん作りたくてさ」


 カナタは卵をかき混ぜながら気軽に答える。


 セラフィナは少し驚いたような顔をした。髪はまだ整っておらず、長い銀髪が肩や背中にゆるく流れている。寝起きのせいか表情も少しぼんやりしていて、いつもの落ち着いた雰囲気とはまた違う柔らかさがあった。


 カナタはその様子をちらりと見て、口元を緩める。


「寝起きのちょっと乱れてる姿もいいな」


 その一言で、セラフィナの表情がぴたりと止まった。


 数秒ほど沈黙し、それから静かにため息をつく。


「……なんでこんな人と一緒に冒険してるんでしょうね」


 呆れたように呟きながら、セラフィナはキッチンの近くの椅子へ腰を下ろした。


 カナタはそんな反応にもまったく気にした様子もなく、フライパンを手に取りながら笑う。


「まあまあ、朝飯できたら機嫌も良くなるって」


 フライパンを火にかけると、馬車のキッチンに小気味よい音が広がった。


 カナタは慣れた手つきでベーコンを並べ、じゅうっと油が弾けるのを確認すると、次にパンを網へ置く。


 焼け始めたベーコンから香ばしい匂いが立ち上り、静かな馬車の中にゆっくりと広がっていった。


「いい音だな」


 カナタは満足そうに呟きながらフライパンを軽く揺らす。ベーコンの脂がほどよく溶け、表面がこんがりと色づいていく。焼き目がついたところで皿へ移し、今度は卵の準備に取りかかった。


 ボウルに割り入れた卵を素早くかき混ぜ、塩をひとつまみ。フライパンへ流し込むと、すぐに柔らかな黄色が広がる。


 セラフィナは椅子に座ったまま、その様子を静かに見ていた。


「手慣れてますね」


「まあな。料理ぐらい普通にできるぞ」


 カナタは木べらで卵をまとめながら答える。ふわりと半熟に固まり始めたところで形を整え、きれいなオムレツに仕上げて皿へ乗せた。


 続いて鍋を火にかける。


 中に入っているのは簡単な野菜スープだった。温め始めると湯気が立ち、やがて優しい香りが漂い始める。


 パンもそろそろ焼き上がりだ。表面がこんがりと色づき、外はカリッと、中はふんわりとした焼き具合になっていた。


 こうして、皿の上には次々と料理が並んでいった。


 パン。


 ベーコン。


 オムレツ。


 そして温かいスープ。


 シンプルだが、朝食としては十分すぎる内容だった。


 そのとき、寝室の扉ががちゃりと開いた。


「……なんかいい匂いする」


 少し眠そうな声とともに現れたのはエステルだった。金髪はまだ整っておらず、寝起きのせいで少しふわふわと広がっている。


「お、起きたか」


 カナタが振り向く。


 エステルはキッチンの方を見て、目を少し大きくした。


「朝から料理してるの?」


「見りゃ分かるだろ」


 その直後、もう一つ扉が開く。


 今度はリヴィアだった。黒い長髪を軽く押さえながらリビングへ出てくると、すぐにキッチンの方へ視線を向ける。


「……いい匂いね」


 短くそう言う。


 ベーコンの香ばしい香りと、焼きたてのパンの匂いが馬車の中いっぱいに広がっていた。


 テーブルの上には、朝食の皿が並んでいた。焼きたてのパン、こんがりと焼かれたベーコン、ふわりとした黄色いオムレツ、そして湯気の立つ温かいスープ。


 豪華というほどではないが、旅の朝としては十分に満足できる食事だった。


「よし、できた」


 カナタが最後の皿を置くと、三人の視線が自然とテーブルへ集まる。


 エステルは椅子へ座りながら腕を組み、料理をじっと見ていたが、やがて小さく息を吐いた。


「……まあ、悪くなさそうね」


 リヴィアも席に着き、皿の様子を静かに確認する。


「普通の朝食ね」


 セラフィナは柔らかな笑みを浮かべながら椅子へ腰を下ろした。


「美味しそうです」


 カナタはパンの皿を中央へ寄せながら言う。


「冷める前に食べようぜ」


 四人は自然と手を合わせる。


「いただきます」


 朝食が始まった。


 最初にパンを手に取ったのはリヴィアだった。ひと口かじり、ゆっくりと咀嚼してから短く言う。


「外はカリッとしてるわ」


「だろ?」


 カナタが得意げに返す。


 エステルはベーコンをフォークで刺して口へ運び、少しだけ目を細めた。


「……香ばしいわね」


「ちゃんと焼いたからな」


 カナタは肩をすくめる。


 セラフィナはオムレツを切り分け、静かにひと口食べた。


「ふわふわですね」


「火加減が大事なんだよ」


 カナタはそう言いながら自分もパンをかじる。


 エステルは今度はスープを口に運び、少し驚いたような顔をした。


「これ、普通に美味しいじゃない」


「普通にってなんだよ」


 カナタが呆れたように言う。


 セラフィナもスープを飲み、小さく息をついた。


「体が温まりますね」


 馬車の中に、穏やかな空気が広がっていく。


 朝食が半分ほど進んだ頃だった。テーブルの空気もすっかり落ち着き、四人はそれぞれ皿の料理をつまみながらのんびりと会話していた。


 そのとき、エステルがふとフォークを置く。


「そういえばさ」


 何か思い出したような顔で、カナタをじっと見た。


「あんただけ罰ゲーム受けてないのズルくない?」


 唐突な言葉に、カナタはパンをかじりながら眉を上げる。


「は?」


「だってそうでしょ」


 エステルは腕を組みながら続けた。


「昨日も結局あんた一位だったし」


 カナタは肩をすくめる。


「罰ゲームだから勝ったやつは受けないだろ」


 当たり前のことを言ったつもりだったが、その横からリヴィアが静かに口を開いた。


「でも、いつもカナタがゲーム決めてるわ」


 淡々とした指摘だった。


 カナタは一瞬言葉に詰まる。


「いや、それは……」


 さらにセラフィナが穏やかな顔で続ける。


「それは少し思ってました」


 にこやかな口調だが、内容は完全に同意だった。


 カナタは二人を交互に見てから、少し不満そうに言う。


「でもお前らいつもノリノリでやってるじゃん」


 するとエステルがすぐに声を上げた。


「うるさい!」


 フォークを軽く机へ置き、身を乗り出す。


「一回ぐらい罰ゲーム受けろ!」


 完全に怒った口調だった。


 カナタは呆れたように息を吐く。


「じゃあさ」


 パンを皿へ戻しながら三人を見渡した。


「俺が罰ゲームになったら何するんだよ」


 少し考える空気が流れる。


 最初に答えたのはリヴィアだった。


「一発殴る」


 あまりにも即答だった。


 カナタは思わず固まる。


「……え?」


 聞き間違いかと思ったが、リヴィアの表情は真顔のままだった。


 その横でセラフィナが静かに頷く。


「妥当だと思いますよ」


 柔らかい声なのに内容はまったく優しくない。


 カナタはしばらく二人を見つめ、それから深くため息を吐いた。


「俺、絶対負けないようにするわ」


 その言葉に、エステルは小さく鼻で笑った。


 朝食も終わりに近づき、テーブルの上の皿もだいぶ片付いてきていた。


 パンはほとんどなくなり、ベーコンも最後の一切れが残るだけである。四人はそれぞれスープを飲みながら、ゆっくりとした朝の時間を過ごしていた。


 そのとき、リヴィアがふと口を開く。


「最近遊んでばっかで全然ダンジョン行けてないわ」


 短い言葉だったが、妙に現実的な指摘だった。


 カナタはスープを飲みながら頷く。


「確かに」


 エステルは椅子の背にもたれながら腕を組んだ。


「冒険って言うけど遊んでばっかだったしね」


 セラフィナも小さく頷く。


「楽しいですけど、強くならないといけませんね」


 パーティとしては当然の話だった。旅の途中でのんびり過ごす時間も悪くはないが、冒険者はダンジョン攻略こそ本来の仕事である。


 カナタは顎に手を当てる。


「じゃあ近くにダンジョンあるか見てみるか」


 三人が一斉にカナタを見る。


 カナタは特に大げさな動作もなく、軽く意識を向けた。すると彼のチート能力が周囲の情報を瞬時に検索し、頭の中にダンジョンの情報が表示される。


 その情報をそのまま口に出す。


 【DATA】

 ▷名称:ヴァルクス・ダンジョン

 ▷区分:迷宮型ダンジョン

 ▷階層:全7階層


 カナタは軽く肩をすくめる。


「近くにダンジョンあるけど行ってみる?」


 少しの間もなく、リヴィアが即答した。


「行く」


 迷いのない返事だった。


 エステルも腕を組んだまま頷く。


「七階層ならちょうどいいじゃない」


 セラフィナも柔らかく微笑む。


「ウォーミングアップには良さそうですね」


 カナタはその反応を見て小さく笑った。


「よし、決まりだな」

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