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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第1章 異世界転移&チート持ち──確かにハーレムだけど、想像してたやつと全然違った件

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第27話 ネクロディアス攻略報告──ギルド騒然、特例でSランク昇格

 冒険者ギルド支部の奥にある扉の前で、カナタは軽くノックをした。


「どうぞ」


 中から落ち着いた声が返ってくる。カナタが扉を開けて中に入ると、広めの執務室の中央に置かれた机の向こう側に、一人の男が座っていた。


 ギルド支部の責任者――支部長だ。


 男は書類から目を上げ、カナタを見た。


「本日はどういったご要件でしょうか」


 事務的で穏やかな声だった。


 カナタは机の前まで歩いていき、特に前置きもなく答える。


「ネクロディアスダンジョンを攻略してきた」


 一瞬、部屋の空気が止まった。


 そして次の瞬間、支部長は小さく吹き出す。


「……はは」


 肩を揺らしながら、笑いをこらえるように口元に手を当てる。


「申し訳ありません。冗談だとは思いますが……」


 支部長は椅子にもたれながら続けた。


「ネクロディアスダンジョンは、この世界でも最も危険なダンジョンの一つで、誰も入れない。そんな場所を――」


 そこで言葉を区切り、カナタを見直す。


「あなた一人で攻略した、と?」


「そうだけど」


 カナタがあっさり答えると、支部長はゆっくりと首を横に振った。


「冗談はやめてください」


 その声は先ほどまでよりも少しだけ硬くなっていた。


「ギルドに対する虚偽報告は、軽い問題ではありません。場合によっては犯罪として扱われることもあります」


 机の上で指を組みながら、支部長は真面目な口調で続ける。


「特にネクロディアスのような危険ダンジョンに関する報告は、世界にも影響を与えます。軽率な発言は控えていただきたい」


 完全に信じていない顔だった。カナタは少しだけ肩をすくめる。


(まあ、普通はそうなるよな)


 ネクロディアスダンジョンの攻略。


 それがどれだけ非常識な報告かは、カナタ自身も理解していた。


「……じゃあ、証拠を見せるか」


 そう言いながらインベントリから取り出したのは、一振りの杖だった。


 支部長の視線が自然とそこへ向く。


 黒い杖。


 ただ黒いと言っても、普通の木や金属とは違う。光をほとんど反射しない深い闇のような黒で、見る角度によってわずかに紫色の光が内部から滲むように揺れていた。


 柄の部分には、細かな紋様がびっしりと刻まれている。


 単なる装飾ではない。複雑な魔法陣が幾重にも重なり合うように彫り込まれており、まるで杖そのものが巨大な魔導装置のようだった。


 そして先端。


 そこには拳ほどの大きさの紫色の宝石が埋め込まれている。宝石の内部では濃密な魔力がゆっくりと渦を巻き、呼吸するように淡く光を脈動させていた。


 カナタがそれを机の上に置いた瞬間、支部長の表情が変わる。


「……これは」


 部屋の空気がわずかに重くなった。


 杖から溢れ出る魔力は、何もしていなくても周囲へ静かに広がっている。長年ギルドで魔導具を扱ってきた支部長には、それがどれほど異常なものかすぐに分かった。


「……この魔力は」


 支店長は思わず椅子から身を乗り出す。


 カナタはその様子を横目で見ながら、心の中で小さく呟いた。


(本当の証拠は別にあるんだけどな)


 賢者の石。


 あれを見せれば、ネクロディアスダンジョンを攻略したことなど一瞬で証明できるだろう。


 だが同時に、世界が混乱する。国家も宗教も動くレベルの代物だ。


(さすがに出すわけにはいかないか)


 だからこそ、カナタはこの杖を出した。


 支部長はしばらく無言でそれを見つめていたが、やがてゆっくりと息を吐いた。


「……信じられませんが」


 指先で杖に触れることなく、その魔力を確かめるように眺める。


「これほどのマジックアイテムは……見たことがありません」


 そして椅子に深く座り直すと、すぐに机の引き出しから紙とペンを取り出した。


 さらさらと何かを書き始める。


「こちらでは判断できません。ギルド本部へ行ってください」


 書き終えた紙を封筒に入れ、カナタの前に差し出した。


「紹介状です。本部にも連絡しておきます。本部で正式に鑑定を受けてください」


 カナタはそれを受け取る。


「了解」


 封筒を軽く振りながら立ち上がると、そのまま扉へ向かった。


 * * *


 カナタはテレポートで、ギルド本部の前へと移動した。


 街の中心に建つその建物は、支部とは比べ物にならない規模を誇っている。


 巨大な石造りの建築は五階建てで、正面には高い柱が何本も並び、その上にはギルドの紋章が大きく掲げられていた。


 入口の扉だけでも普通の家の二階ほどの高さがあり、冒険者や職員たちが絶えず出入りしている。


「……でかいな」


 カナタは軽く呟きながら中へ入った。内部はさらに広い。


 天井は高く、広いホールの中央には受付カウンターがいくつも並んでいる。壁際には依頼書がびっしりと貼られた掲示板があり、多くの冒険者たちがそれを眺めながら次の仕事を探していた。


 だがカナタはそのまま受付へ向かい、支部長から渡された紹介状を見せる。


 職員が内容を確認すると、すぐに奥の部屋へ案内された。


 重い扉を開けて中に入ると、そこはギルドマスター室だった。


 部屋の奥には大きな机が置かれ、その向こう側に一人の男が座っている。年齢は五十代ほどだろうか。

 

 落ち着いた雰囲気を持つ壮年の男で、静かな目がカナタを見ていた。


 男は机の上の書類から視線を上げる。


「来たか。話は聞いている」


 低く落ち着いた声だった。


 カナタは机の前まで歩いて止まる。


「支部長から?」


「ああ。ネクロディアスダンジョンを攻略した、という報告だな」


 ギルド長はそう言うと、椅子にもたれながら続けた。


「正直に言えば、信じれない。どうやって入れない場所を攻略したと?」


 だがその声には嘲笑はなかった。ただ事実を確認するような冷静さだけがある。


「しかし、証拠があると聞いた」


 カナタは軽く頷くと、インベントリから一本の杖を取り出した。


 黒い杖を机の上に置いた瞬間、部屋の空気がわずかに揺れる。


 先端の紫色の宝石から溢れる濃密な魔力が、静かに周囲へ広がった。


 ギルド長の目が、ほんのわずかに細くなる。


「……ほう」


 ゆっくりと椅子から身を起こし、杖を見つめる。


 しばらく何も言わずに観察していたが、やがて静かに息を吐いた。


「これは確かに……普通ではない」


 指先で触れることはせず、魔力の流れだけを確かめるように眺めている。


「この場の判断では結論は出せない。鑑定を行う」


 そう言うと、近くに控えていた職員に視線を向ける。


「彼を呼んでくれ」


 短く指示が出され、職員はすぐに部屋を出ていった。


 それから数分後。


 扉が再び開き、一人の男が部屋に入ってくる。


 年齢は六十代ほどだろうか。白髪混じりの髪を後ろでまとめ、作業用の革エプロンを身に着けている。職人のような雰囲気を持つ男だった。


「呼ばれましたかな」


 落ち着いた声でそう言うと、ギルド長が軽く頷く。


「紹介しよう。この男はこの国で最高の鑑定士であり、同時に最高の魔導具職人でもある」


 ギルド長は机の上の杖を指さした。


「このマジックアイテムを鑑定してほしい」


 男の視線が杖へ向く。表情がわずかに変わった。


「……ほう」


 ゆっくりと机へ近づき、慎重に杖を観察する。


 先端の紫色の宝石。柄に刻まれた複雑な魔法陣。そして何より、杖から静かに溢れ続けている濃密な魔力。


 男はしばらく無言で見つめたあと、静かに目を閉じた。


「では、鑑定を」


 次の瞬間、淡い光が男の瞳に宿る。鑑定スキル。


 対象の能力や構造を読み取る特殊技能だ。


 だが――


「……?」


 男の眉がわずかに動いた。数秒。さらに数秒。


 やがて男はゆっくりと目を開く。


「……結果が出ませんな」


 部屋の空気がわずかに静まり返った。


 ギルド長が眉を上げる。


「出ない?」


「ええ。鑑定が弾かれています」


 男は杖を見ながら続ける。


「ここまで情報が読み取れないマジックアイテムは初めてです」


 そう言うと、今度は持ってきた小型の装置を机の上に置いた。


 金属製の箱のような装置で、中央には透明な水晶がはめ込まれている。


「魔力測定機です。これなら魔力出力くらいは分かるはずですが……」


 男が杖を装置の上へ置いた瞬間だった。


 水晶が強く光る。


 そして――


 バチッ。


 火花が散り、装置が大きく震えた。


「……おっと」


 水晶の光が不規則に点滅し、やがて完全に消える。装置は沈黙した。


 男はしばらくそれを見つめたあと、ゆっくりと息を吐く。


「……機械がエラーを起こしました」


 そして杖へ視線を戻し、静かに言った。


「結論としては一つですな。この杖は――常識の範囲外のマジックアイテムです」


 部屋の中が一瞬、静まり返る。


 ギルド長はしばらく机の上の杖を見つめていたが、やがてゆっくりと息を吐いた。


「なるほど」


 そして視線をカナタへ向ける。


「ネクロディアスダンジョンを攻略した、という話だが……」


 少し間を置き、静かに続けた。


「少なくとも、この杖の存在はその可能性を十分に示している」


 ギルド長は椅子に深く腰掛け直した。


「通常ならば正式な討伐調査や証拠確認を行う必要がある。しかしネクロディアスの調査は不可能だ」


 そこで一度言葉を切る。


「つまり、今ここで判断するしかない」


 ギルド長はゆっくりと口を開いた。


「カナタ」


「はい」


「特例の特例として――あなたをSランク冒険者に昇格させる」


 その言葉に、部屋の空気がわずかに動いた。


 だがカナタは特に驚く様子もなく、軽く肩をすくめる。


「了解」


 そして机の上に置かれている杖へ視線を向けた。


「あとこれ。ギルドに寄付するよ」


 一瞬、鑑定士と職員の動きが止まった。


「……寄付?」


 思わず聞き返す声が漏れるが、カナタはあっさりと頷いた。


「俺が持ってても別に使わないしな」


 それはこの世界の魔導具の常識からすれば、信じられない発言だった。


 常識外の性能を持つマジックアイテム。


 それを、あっさり手放すと言っているのだ。


 ギルド長は数秒ほど黙っていたが、やがて静かに言った。


「……本当にいいのか?」


「問題ない。その代わり、一つ頼みがある」


 ギルド長が視線を上げた。


「この件は秘密にしてほしい」


 ネクロディアスダンジョンの攻略。


 そして、この杖の存在。


 どちらも大騒ぎになるのは間違いない。


 ギルド長はしばらく考えたあと、ゆっくりと頷いた。


「……分かった」


 こうして話はまとまった。カナタは軽く手を振ると、そのまま部屋を出る。


 そしてギルド本部の外へ出ると、街の通りをゆっくり歩き始めた。

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