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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第1章 異世界転移&チート持ち──確かにハーレムだけど、想像してたやつと全然違った件

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第25話 全長60mの超巨大リッチ襲来──チートVSネクロディアス最深部ボス

 カナタの前にある扉は、これまで見てきたどの扉とも比較にならない大きさだった。


 高さが何メートルあるのかすら分からない。見上げても上端が暗闇に飲み込まれていて、どこまで続いているのか判断できないほどだ。


 扉は黒い石で作られており、表面には無数の魔法紋様が刻まれていた。複雑に絡み合うその紋様は淡く光り、まるで生きているかのようにゆっくりと魔力を流している。


 そして扉全体からは、明らかに普通ではない禍々しい魔力がにじみ出ていた。


 カナタはしばらくその巨大な扉を見上げたあと、小さく呟く。


「デカすぎだろ……」


 普通、ダンジョンのボス部屋といえばもっと分かりやすいものだ。巨大な扉の向こうに少し広い部屋があり、その中央にボスが待ち構えている――カナタはなんとなくそんな光景を想像していた。


 頭の中に浮かんだのは、昔遊んだゲームのイメージだ。


(ここに来るまではゼ◯ダの伝説のダンジョンみたいな感じかと思ってたんだけどな)


 だが目の前の扉は、そんな想像とはまったくスケールが違っていた。


「まあいいか」


 カナタは軽く肩をすくめると、そのまま片手を持ち上げる。


 次の瞬間、重々しい音が空間に響き渡った。


 ゴゴゴゴゴ……


 巨大な扉がゆっくりと動き始める。何十トンもありそうな石の扉が左右へと開き、その隙間から暗闇が広がっていく。


 やがて人が通れるほどの隙間が開くと、カナタはそのまま中へ足を踏み入れた。


 そして次の瞬間、思わず周囲を見回す。


 広い。いや、広いという言葉では足りない。


 床はあるが、その先がどこまで続いているのか分からない。天井も見えない。壁すら見当たらない。


 視界の先にはただ暗闇だけが広がっており、ボス部屋というよりも、巨大な異空間だった。


「……広すぎだろ」


 カナタが小さく呟いた、そのときだった。


 暗闇の奥で、何かが動いた。


 最初はただの影のように見えた。だが、よく見るとそれはゆっくりとこちらへ向かって姿を現している。


 巨大な影。


 少しずつ輪郭がはっきりしていく。


 やがてその全体像が闇の中から浮かび上がった瞬間、カナタは思わず目を細めた。


「……うわ」


 そこに立っていたのは、巨大なアンデッドの魔術師だった。


 顔は骸骨。肉も皮も一切なく、むき出しになった骨の頭蓋骨の眼窩の奥では、青白い光が静かに揺れている。


 身体には長い魔術師ローブがまとわれていた。ローブは黒く、裾は床の上を引きずるほど長い。その布の隙間からは、骨だけの腕がゆっくりと動いている。


 そして右手には巨大な杖。


 普通の人間なら持ち上げることすらできないような大きさの杖を、まるで小枝のように軽々と握っていた。


 さらに頭には王冠。


 黒く歪んだ金属で作られたその王冠は、まるで死の王を象徴するかのように不気味な光を放っている。


 その姿を確認した瞬間、カナタの視界の前に半透明のウィンドウが展開された。


 【DATA】

 ▷ 名前:ネクロリッチ

 ▷ 種族:ネクロダンジョン生成リッチ

 ▷ 身長:60m

 ▷ 特徴:すべての魔法を使用可能


 表示された情報を見て、カナタはゆっくりとその巨大なアンデッドを見上げた。


 身長六十メートル。


 人間どころか、普通の建物よりも大きい。


 カナタは少し呆れたように息を吐く。


「……超大型巨◯並の大きさじゃん」


 ネクロリッチはゆっくりと巨大な杖を持ち上げた。


 その瞬間、空間が揺れる。


 杖がわずかに振られただけだった。だが、その動きに合わせて凄まじい風圧が周囲に吹き荒れ、カナタのローブの裾が大きく揺れる。


「うわ、風圧だけでこれかよ」


 その直後、黒い床のあちこちに、巨大な魔法陣が浮かび上がる。


 一つではない。


 二つ、三つ、十、二十――数え切れないほどの魔法陣が同時に展開され、暗い床一面を埋め尽くしていく。


 そして、魔法陣の中から次々と影が現れた。


 半透明の霊体。


 骸骨の兵士。


 巨大な骨の翼を持つドラゴン。


 黒い鎧をまとった騎士。


 今までカナタがこのダンジョンで戦ってきたアンデッドモンスターたちが、次々と召喚されていく。


 その他にも名前も分からないようなアンデッドが無数に現れ、空間を埋め尽くしていった。


 しかも、その数が止まらない。


 魔法陣は消えることなく次々と増え続け、モンスターも際限なく出現していく。


「いやいや、上限なしとかありかよ……」


 カナタは呆れたように呟くと、軽く手を前に出した。


 次の瞬間、膨大な魔力が一気に解き放たれる。

 

 空間そのものが揺れた。


 直後、召喚されていたアンデッドたちは一斉に消し飛ぶ。ゴーストは霧のように消え、スケルトンドラゴンの骨は粉々に砕け、デスナイトの鎧も一瞬で崩壊した。


 ほんの数秒で、無数にいたモンスターはすべて消え去る。


「最初の攻撃にしてはインパクトあるな」


 カナタはそう言いながら、今度はネクロリッチの方へ視線を向けた。


「……まだ死ぬなよ」


 そう呟くと、カナタは片手を持ち上げ、巨大な魔力が一点に収束した。


 次の瞬間、圧倒的な魔法がネクロリッチへ向かって放たれる。


 光の奔流(ほんりゅう)が一直線に走り、六十メートルの巨体へと直撃した。


 轟音と共にリッチの身体が吹き飛び、骨の体が粉々に砕け散る。


 ――はずだった。


「……ん?」


 砕けたはずの骨が、次の瞬間には元に戻っていた。


 まるで時間が巻き戻ったかのように、ネクロリッチの身体が一瞬で再生する。


 何事もなかったかのように、巨大なアンデッドは再びそこに立っていた。


 ネクロリッチは、ゆっくりと巨大な杖を掲げた。


 空間の魔力が一気に膨れ上がる。


 それまで漂っていた禍々しい気配とは比べ物にならないほどの魔力が、部屋全体を埋め尽くすように膨張していく。


「おいおい……」


 カナタが思わず空を見上げる。


 ネクロリッチの周囲には黒い魔力が渦のように巻き上がり、まるで嵐の中心のような光景が広がっていた。


 次の瞬間、杖の先端が光り、巨大な光の奔流が一直線に放たれた。


 極太の魔力の柱が空間を貫き、カナタのいた場所へ向かって突き進む。


 だが、カナタの姿はふっと消える。


 ビームは床をえぐりながら遠くの暗闇へと突き抜け、轟音と共に空間を震わせた。


「次はビームかよ」


 カナタは少し離れた場所に浮かびながら、呆れたように呟く。


 しかし攻撃はそれだけでは終わらなかった。


 ネクロリッチの周囲に黒い魔法陣が次々と浮かび上がり、部屋全体の空気が一変した。


 空間に満ちていた呪いの魔力が、さらに濃くなる。


 圧力のような重さが周囲に広がり、普通の人間なら立っているだけで命を削られるような環境へと変わっていた。


「環境ごと強化してくるのかよ」


 カナタが呟いた直後、ネクロリッチの攻撃が一斉に放たれる。


 呪い魔法。


 黒い霧が波のように押し寄せる。


 召喚。


 空間のあちこちからアンデッドの影が現れる。


 魔力弾。


 無数の光の球が弾幕のように降り注ぐ。


 さらに再びビーム。


 極太の魔力の柱が何本も空間を貫く。


 そして最後に、空間そのものが歪んだ。


 見えない刃のような衝撃が、空間ごと切り裂くように襲いかかる。


 普通の冒険者なら、一瞬で消し飛ぶだろう。


 だがカナタは落ち着いた様子でその攻撃を眺めていた。


 黒い霧は彼の体に触れる前に消える。


 魔力弾は見えない壁にぶつかって弾かれる。


 ビームは直撃する寸前で軌道を外れる。


 空間攻撃も、彼の周囲でぴたりと止まった。


「まあ、当たらなければ意味ないよな」


 カナタは軽く肩をすくめながら、巨大なネクロリッチを見上げる。


 ネクロリッチの攻撃を軽く避けながら、カナタはふと周囲の空間へ視線を向けた。


 黒い床がどこまでも続き、その先は暗闇に飲み込まれている。


 戦闘は続いているが、それ以上にこの空間そのものが気になっていた。


「……そういえば、この部屋、どれくらい広いんだ?」


 普通なら壁や天井があるはずだが、この空間にはそれらしいものがまったく見当たらない。


 カナタは少し考えたあと、そのまま真上へと飛び上がる。


 ネクロリッチの攻撃が下からいくつも飛んでくるが、カナタは特に気にする様子もなく上昇を続けた。


 十メートル。二十メートル。百メートル。


 それでも天井は見えず、さらに上へ飛ぶ。


 数百メートルほど上昇しても、視界に入るのは暗闇だけだった。


「いや、どこまで続いてるんだよこれ」


 カナタが呆れたように呟いた。そのとき、視界の前に半透明のウィンドウが展開される。


 【DATA】

 ▷ 空間情報:この空間は無限拡張構造


 表示された文字を見て、カナタは一瞬動きを止めた。


「無限?」


 カナタは少しだけ考え込むが、すぐに肩をすくめる。


「まあダンジョンだし、そういうのもあるか」


 そう呟くと、今度はそのまま下へ向かって降下した。


 元の戦闘場所へ戻る。


 そして地面の近くまで降りた瞬間、カナタの動きがぴたりと止まった。


「……ん?」


 視線の先を見る。そこには、さっきまで戦っていたネクロリッチが立っていた。


 ――いや、違う。


 ネクロリッチは一体ではなかった。


 二体。


 三体。


 さらにその奥にも、同じ姿の巨大なアンデッドが立っている。


 王冠をかぶった六十メートルのリッチが、いくつも並んでいた。


 カナタはしばらく無言でその光景を見つめたあと、小さく呟く。


「……は?」


 ネクロディアスダンジョン最深部。


 本当の戦いが始まる。

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