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ココロノツバサ - distant moon  作者: Kanra
第二章 月明かりに照らされて
22/78

20 拓洋の言葉の意味

秩父から帰宅した。

そして、そのまま、変わらず、いつもの日常を過ごすが寝る間際、

「どうしてもと言うのなら、軽スポーツカーに乗り換えるのをおすすめする。」

と言う、拓洋のセリフが頭の中に響く。

「無理だって事かよ。」

と、溜め息を吐く。

翌日も仕事だ。

今日はどういうわけか、いつもと少し違うパターンの入換が入っていた。

廃車になった旧式の貨車の疎開回送が来るので、それに伴う入換だ。

と、言っても、いつもより扱う列車が1本多いだけで、おまけに回送されてきたのは、JR東日本で使われていたホキ800が4両だけ。

さっさと、南ヤードの端に押し込んでおしまいである。

それを終えると、いつもより遅いが、夕食を貪って、夜半頃に仮眠休憩の後、明け方の仕事を終える。

「さぁて、今日はどうしようかな。」

と、仕事を終えた小岩剣が伸びをしながら言った。

(からっ風でも走りに行くか。)

と決め、からっ風街道へ走りに行く。

(明日も仕事だし、軽くな。軽く。)

と思うのだが、いざからっ風街道に入ると、思いっ切り攻め込んでしまう。

と、言うのも、後ろから、両毛連合所属のS660が来ていたからだ。

必死になって逃げるが、小岩剣のN‐ONEではいくら攻めても逃げ切れず、遂に力尽きて道を譲ってしまった。

「結論言う。無理!」と、秩父で拓洋に言われた事が蘇る。

悔しく思うが、このようなものを見せ付けられては、嫌でも認めなければならないだろう。

「無理か。」

と、溜め息をつく。

大間々のあたりで、からっ風街道を折り返して、三夜沢から赤城サンダーボルトラインを登るが、その途中で、ロータスの隊列とすれ違った。

安全な場所に停車した上で、「後でAK50にお伺いします。」とだけ連絡した後、赤城サンダーボルトラインを1往復し、からっ風街道から、渡良瀬川沿いを走って草木ドライブインに行くと、さっきのS660の姿があった。

「からっ風で随分無理していたな。」

と、S660のドライバー(名前は磯風)に言われる。

「無理しないと、置いていかれそうで―。」

小岩剣が答えると、

「例のロータス三姉妹か。止めとけよ、死ぬぞ。」

と、磯風は言う。

「あいつらはキチガイだよ。特に、一番下の妹。その辺の中学生からヒデェと小学生まで襲って喰っちまう。噂じゃ、事故で弟を亡くしたショックでそうなったらしいけど、あれはもうどうしようもない。」

と、隣にいたシビックの野分が言う。

「実際問題、後ろから見てたっけ、ひっくり返りそうだったぜ。ロータスやエスロクと同じ走りをしようにも、それに達する前に、ドガンってやるぞ。」

「死にたくねえなら、身を引くか、どうしてもなら、車変えるか、しこたま生命保険やら自動車保険やら掛けとくんだな。まっ任意保険には入ってんだろ?」

当たり前の話だ。小岩剣は人身対物両方の任意保険には加入している。が、中にはそれをケチって任意保険に入らないアホが居るらしい。そして、そんな奴に限って大事故を起こしていると言う。

最も、この一連の話で小岩剣は、三姉妹の悪口を言った野分には良い印象は無く、任意保険がどうしたこうした言った野分の話は右から左へ流してしまった。

(俺の大本命は、加賀美さんだ。)

と、小岩剣は舌打ちする。

草木で少し屯した後、桐生の飯屋に行くらしいが、小岩剣は50号沿いのAK50に行く。

AK50に入ると、レーシングカートを積載した軽トラとすれ違った。

「ちっ。いい気なものよホワイトレーシングプロジェクト。自分の家以外で実戦訓練って、なんで敢えて敵地でやるのさ。」

と、日奈子が吐き捨てる。

「つぅか、愛衣って、もうカート引退でしょ?」

「さぁ。旦那に見せたかったんじゃねえの。」

「あーあっ。幸せ街道一直線。あーっうっぜぇ。」

三人姉妹は機嫌が悪い。

(どいつもこいつも悪口大会。知的障害者の鉄ヲタかよ。こりゃ、下手に刺激しねえほうがいいや。)と、小岩剣は思った。

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