第12話 テーマパーク来たけど質問ある?
「妹の花梨です。お姉ちゃんともども、よろしゅー! いえい!」
早速、わたしのクラスメイトに我が大切な妹を紹介した。
右目を囲うようにピースする妹の花梨。
兄であるわたしが言うのもなんだが、サイドテールの揺れる活発な妹は、バチクソにかわいい
「わあ! コギャルだ!この子がバンちゃん………じゃなくてチカちゃんの妹か」
「バンチョー、じゃなくてチカぽよにクリソツなんやけど、ウケ! あーしは小林瑠美華。よろー。」
「それな! マジリアリー美人ギャル姉妹ってカンジ! あたしは小比類真希。ちょっち珍し苗字みたいな名前ー。ウケるっしょ。」
どうやら妹の紹介もつつがなく終わったようだ
「えー! ルミカ姉さんたちのネイル夢カワですけどー! それどうやったの? 肌すべすべだし、化粧水なにつかってる感じです?」
「お? わかる? マキとおそろでこのブランドの新作コスメゲットしたんよ。まじキャワたんだから、花梨たそにもおすすめするし」
「ありがとー! 私も絶対中学に上がったらネイルするし! なんなら毎日練ちゅーして中学入学に備えるしー! ウチの小学校、学校ではおしゃれ禁止してっからなー。おしゃれ楽しめなかったら女子じゃねーし!」
「わかるー! なんならガッコのジュギョーでもおしゃれ教えた方がいいまで説あるくね?」
「説あるコアトル。なんなら男子もさ、ガッコで髪のセットの仕方を教えるとかさ。ケッキョク大人んなったら全員髪の毛ビシッとセットして身だしなみに気を使ってカイシャに出勤するんだし、ガッコなんて大人になるための準備期間なんだから、大人になった時に困らないように、ちゃんとガッコでおしゃれを学ばせろって思うワケ」
「「それなー」」
「ショーシコーレーカのこの時代におしゃれも学ばない自分をよく見せる努力もしない男と女がケッコンなんてできるわけねーっての。自分を可愛く見せる努力はあーしらもアガるし相手もアガる。win-winじゃんねー? おしゃれ禁止とかマッジでありえんティ」
「「わかりみー」」
恐るべし、ギャルのコミュ力。わかるとそれなの返事で会話が成立してしまう。
しかもなにやら少子高齢化にまで言及する深い話をしていらっしゃる様子。
出会ったばかりだというのに、さっそく気が合ったのか、花梨はギャルたちと連絡先を交換しているようだ。
「それで、花梨たそ。そっちのちっこいのはなに? 花梨たそのイモート?」
と、今度はルミカが花梨と手を繋いでいる5歳くらいの女の子、ヒメを指さす。
「んーん。この子はヒメちゃん。今日はこの子も一緒にアクアパークに行くんですよ。」
「ふーん? ワケアリあり的な? ま、楽しければなんでもおっけーっしょ。よろしくおヒメさま」
「んふー! よおしく! おねます!」
急に事前連絡もなしに幼い子が増えたというのにさっそく受け入れられるヒメ。
マキとルミカにしゃがんで目線を合わせてもらってうりうりと緑色の髪を撫でてもらってご満悦の様子。
「みんな、集合時間に遅れちゃってごめんね。ちゃんと時間内に着くように家に出たはずなんだけどな」
ご挨拶と自己紹介もすんだところで、わたしはみんなに向き直って改めて遅刻の謝罪をする。
どうして遅刻しちゃったんだろう。みんな待っててくれて本当によかった………。
わたしはいい友達を持ったよ
「しょうがないよ。海上都市を巡っているモノレールが全線停電で運休してたもんね」
と、正勝がそんなことを言った。
「なんなら俺たちがここについたのも、千景たちとそんなに変わらねえぞ」
太一もここについたばっかりだったらしい。
あれ、遅刻に怒ってなかったっけ?
そんなふうに思って首を捻ると、正勝が顔を寄せて耳打ちしてくる
(曽我のやつ、バンちゃんがそんなかわいい格好できて、似合ってて恥ずかしくて誤魔化してるだけなんだ)
とな?
カワイイやつめ。ランク7のもと開発区第二中学の番長が聞いて呆れる。
「でも、モノレールの停電か………。」
「お姉ちゃん、そんなのあったっけ?」
花梨がわたしに聞いてくる。
開発区画からここに移動してきてるってことは、わたしたちも間違いなくモノレールで移動しははずだ。
なのに………。
「全然覚えてない。」
「私も………」
家を出てからの記憶があやふやだ。
時間が飛んでいる。
なにがあったんだっけ………。
家を出て、モノレールに乗って、あれ、いつの間にヒメを預かったんだ?
誰に?
スマホを開いてニュースを確認すると。たしかに停電による運休が、復旧したとのニュースと、
異界区画で飼育中の特定外来生物の脱走にともなう異界区画の出入りを全て一時閉鎖をしらせるアナウンス。
「だめだなにも知らない、思い出せない………。」
思い出そうとしても靄がかかる………
不安が膨らむが
「おーい、そろそろパークに入ろうぜ」
との太一の一言によりその不安はすぐに霞にのまれて消えた。
「それもそうだね、遅刻したのに遊ぶ時間がなくなっちゃったら大変だ」
ま、ちゃんとアクアパークに来れたことだし、さっそく楽しんじゃお!
パークの入り口で電子バーコードを3枚分用意して俺と花梨とヒメの入場が完了し、スマホに入っているチケットを全て使い切った。
4枚もチケットをくれた白鳥さんには感謝しかない。
入場者の右腕には施設の利用に使えるバーコードのついた、icチップ入りのブレスレットの装着が義務付けられており、施設内の飲食などはこのブレスレットで行い、施設の入館時と退出時にタッチすることで代表者の電子財布から引かれることになっている。
こまめにスマホで利用状況を確認しておかないとな。
「ヒメちゃん、今日はパークでぷいきゅあショーもやるんだって。たのしみだね」
「ぷいきゅあー?」
「うん。魔法を使って悪い奴を倒す、正義のヒーローだよ」
「おおー!! たのしみ! ぷいきゅあ!」
にこにこと笑うヒメちゃんの笑顔は守らなくては。と心に強く決意した。
今日はクラスメイトたちといーぱいあそぶぞぉ!
あとがきちゃん
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展開も、ましてや名前なんかは何も考えず書きながらその場で決めてます。主人公の名前もギャルの名前も。だからいつか間違うかもね。
次回【ギスギスだけど質問ある?】




