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第13話 ギスギスだけど質問ある?

間違って1話先を投稿してた

ごめんね。

削除して投稿し直すで



「おーい、チカちゃーん! みてるー?」

「ぎゃー!! おねえちゃーん! たすけでぇー!?」

「ぎゃははは、花梨たそ大絶叫で草!」

「楽しんでなんぼっしょFoooooo!!!!」



 絶叫マシンから涙を流しながらこちらに手を伸ばす妹の花梨と、楽しそうに手を振るユウカ。

 ギャルたちも楽しそうに絶叫している。


 そんな彼女たちに手を振りながらベンチに座ってヒメちゃんの面倒を見るわたし、生嶋チカ。


「それにしてもよお」


 と、絶叫マシンには乗らずわたしと一緒にお留守番してくれている太一がつぶやいた。


「そんな格好してまで、番長になりたくなかったんだな。」

「ん。まあね。似合ってるでしょ。我ながら可愛いと思ってる。」


 わたしは女装している。

 サイコキネシスがちょっとばかし強かっただけで番長の曽我太一くんを転入初日に倒してしまったばかりに。

 そこから成り行きで番長になってしまった。


「ここでは能力を使った喧嘩はコミュニケーションの一部かもしれないけどさ、こんな超能力、銃と一緒だよ。子供に持たせるべき能力じゃない」


「それは、まあ、俺もそう思わないわけではないな。能力格闘倶楽部(イノーファイトクラブ)ではよくスパーリングをするが、ランク8の怪物どもやランクが下の発火能力者(パイロキネスシト)共にはいいようにやられて極たまに負けることもある。大怪我しなかったヤツはこの海上都市にはいねーんじゃないかって思う。」


「やっぱり超能力は危ないものじゃないか。超能力者は海上都市に隔離して正解だよ。」


わたしも含めて。と太一を睨む。

やっぱりそもそも喧嘩なんかしたく無いもの。


「はん。そんなこと言いつつ、テメーも能力鍛えてんだろ。矛盾してんだよ。手に持ったおもちゃのエアガンから銃に、そしてライフル、ランチャーと鍛えて今があるんだろうが。」


「矛盾はしないよ。鍛えるのが楽しいことと危険はイコールじゃない。全部、使う人の心次第だと思う。わたしらが持ってる超能力は、人を傷つけるための銃や凶器じゃない。プラスチックやセラミックでできた、ただの子供用の包丁だよ。もちろん、それらを研いで鋭くすることはできるでしょ。これが、わたしの考え。」


単純に、楽しいんだ。超能力を鍛えることは。

だからこそ、こんな危ない力をわたしたちみたいな子供が持つことに不安がある。


「ふぅん。俺には違いがわかんねーな。どっちだろーと人間を傷つけられる凶器にはかわらねえ。」


と言って眉をひそめる。


「だから言ったでしょ。使う人の心しだいだって。わたしの中では超能力はただのおもちゃで、そこそこ便利なライフハックツールだ。太一の中ではそれは喧嘩のツールだっただけだ。その能力、夏場に窓際で発動してみなよ。みんなの見る目の変わると思うよ」


わたしがそう言って太一に笑いかけると

太一はふんと息を吐いてからわたしの座るベンチにどかっと腰掛けた

太一の能力は凍結能力(パーゴキネシス)。氷使い。夏場はきっと引っ張りだこだ。


「そういうもんかねえ」

「そーゆーもん。番長の言葉は聞いておくもんだよ。」


わたしが胸を張ると、太一はわたしの頭を軽く叩く。


「いで。」

「今日のてめーは番長じゃねーんだろ。」

「おや、じゃあ言うことは聞かない?」


と聞くと、視線を逸らし、鼻の頭を軽く掻いて


「心の片隅くらいにはおいといてやる。お前が能力を鍛えるのが好きなように、俺も喧嘩が好きだ。能力(チカラ)の使い方は人の心次第だと言ったお前が否定はしねーよな。」

「あー、うん。そうだね。そこまで言われちゃ納得はしないけど割り切るよ。そんな子たちばっかりなんだろうか、超能力者って。喧嘩さえ売られなければそれでいいんだけどな。」


ヒメを膝の上に乗せて頭を撫でる。

気持ちよさそうに、んふふと目を細める


そこで僕らの話を聞いていた正勝が


「もっと人間は単純かもしれないよ」


つ答えた


「というと?」


「たぶんバンちゃん…、じゃなかった。チカちゃんも覚えがあるかも知らない。思いっきり超能力を使ってみたいって気持ち」


そういって正勝は左腕に装着されたウォッチを見せる。


「ああ、なるほど」


それなら少し理解できる。


能力が成長する前から、埃に向かって、羽根に向かって、風船に向かって超能力を思い切り使うことで少しずつ成長させてきた。


それは海に向かって、夜空に向かって念力をぶっ放している今も変わらない


「それを、人にぶつけてみたいって感情になったらおしまいだと、僕は思うね。」


正勝は遠い目をして、絶叫マシンからフラフラになりながら帰ってくる女子たちを見ていた。


「はっ、能力者同士がぶつかるからおもしれーんじゃねーか」

「ま、君はヒトじゃないから、怪物同士がぶつかるにはいいんじゃない?」


「………ヒトじゃない?」


その正勝の言い草にどことなく違和感を覚える。

どこか自虐的で悲壮感にまみれている。


「チカちゃん。僕の能力は残留思念感応(サイコメトリー)なんだ。ランクは3だけどね。」


そこでハッとした。


「曽我。こんな僕にも能力バトルを仕掛けたんだよ、君は。能力を使ったが喧嘩楽しいんじゃ無い。弱いものいじめが楽しいんだ。」


わたしは、サイコキネシスでバリアを張り自衛することができるが、正勝はそうじゃない。

喧嘩が推奨されているこの海上都市で、喧嘩に向かない彼の能力は、能力者にとって恰好の的だ。


わたしは自分が転入する前の曽我太一という人間をよく知らない。

だが、転入初日の様子を見れば、かなり横暴な態度を取っていたのだろうということはわかる。

学校で唯一のランク7。

自分より強いものはいない環境は心地よく、堕落させ、増長する。

そういう環境が出来上がっていたんだ。


そして、釧路正勝という人間はそれを止められる力を持っていなかった。


「粗暴な曽我がちょっと喧嘩で負けたら大人しくなったのがその証拠。僕はちょっと過去を覗くことが出来るだけで、喧嘩なんてできないんだけどさ、君は喧嘩で負かせられる相手が近くにいるのが怖いんだ。

その点、チカちゃんは人に向かって能力を使わない分、ヒトみたいだけどね。」


仲良くしようとしてるのは癪だけど。と呟く正勝。


「ああ、もしかしてわたしが番長になるように積極的に噂を広めたのって…」

「うん。僕だよ。ごめんね、千景くん。」


正勝はバンちゃんでもチカちゃんでもなく、わたしを千景と呼んで頭を下げた。

それは間違いなく、番長として利用して利用したわたしではなく、変装したチカでもなく、生嶋千景本人に対する真摯な謝罪。

わたし、太一を貶めるための噂に都合よく利用されちゃったかー。


「許すよ。別に成り行きで番長になったけど、今のところ、喧嘩売られるくらいで怪我とかはしてないしね。」


「そうかい、ありがとう。」


そういってからは太一に向き直ると


「曽我には謝らないよ。君から受けた暴力は、君の悪評なんかじゃ足りないくらいだ。」


「………そーかよ」


太一は言われたことが図星だったからか、下唇を噛んで俯いた。


二人がある程度仲良く見えていたのは、わたしという強力な障壁が一枚あったから、安心してわたしに守られていたからなのだろう。

きっと、曽我が支配する時代の開発区第二中学は彼に取ってほとんど地獄だったのだろう

転入してきたばかりのわたしに縋るほど。


あとがきちゃん

ご拝読いただきありがとうございます

面白いと感じてくださったらブクマと☆☆☆☆☆→★★★★★にしておいてください。


次回【ランク10の怪力乱神だけど質問ある?】

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