L.S強襲
10
それは突如起こった。
まだ太陽も昇っていない時間、勇斗たちのいるP.Sの施設は強襲された。
相手はもちろんL.S(解放軍)だ。
P.Sの人間は半分何が起きたか認識できない――半分で来ているだけでもすごいが――
状況で応戦していた。
しかし、その戦闘は優勢とは言えない。
なぜならP.Sには能力を使える兵士が決して多くないからだった。凛のような人間は貴重な戦力だった。しかし今、凛は勇斗たちと地下通路を使って逃走している。
これは上の決定だった。相手の戦力は自分たちの数倍いや数十倍いる、しかもこちらが準備不足なのに対して相手はすでに臨戦態勢だ。これはまずもって勝ち目がない。
そこでこれからに役立つ人間を優先的に逃走させることとしたのだ。
結果からいうとこの作戦は失敗だった。
正面から攻めてきていたのは陽動。ただ数にモノを言わせただけだった。
今、地下通路から出て森の中にいる勇斗たちの前にいるのはたった3人。
それに対して勇斗たちは勇斗、玲子、凛、そしてP.Sの中でも優秀な5人。
数では勝っているはずだが勇斗たちは身動きが取れなかった。
「やぁ、やっと会えたね、栖鳳君。」
「お前は誰だ。」
「僕はメフィスト。今回の作戦の責任者といったところさ。
さて、栖鳳君。僕は君に話があるんだけど、後ろの方々はお話をさせてくれるような感じではないね。」
「俺も話をする気はないがな。」
「そっかぁ。じゃあ仕方ないな。真クンやっちゃって。」
「了解しました。」
「あ、くれぐれも殺さないでね?」
緑のマントを羽織った男はメフィストの言葉に頷くと、目にも止まらない速さで勇斗の横を過ぎ去って行った。
その直後に聞こえたのは玲子のくぐもった声。
そして今度は男の眼は凛に向いている。
「ビフレスト!」
凛が叫ぶと真の上方に冷気、下方に熱気が満ちた。
「へぇ、P.Sの中にも結構やるやつがいるじゃん。でも僕の敵じゃないかな。」
男は左手のブレスレットを勢いよく擦った。
すると男の周囲の空気が冷気と熱気に分けられて塊と化して消滅する。。
「君のような空気を操る人間は僕とは相性最悪さ。相手が悪かったね。」
男は次に左手を凛に向ける。すると男の手のから空気塊が発射された。
凛は自分の指輪に力を送り真空の層を作る。空気塊は真空の層に阻まれて凛には届かない。
「あんたが空気を得意としてるように、私も空気が得意分野なのよ。そんな攻撃じゃ私には当たらないわ。」
「へぇ、やるじゃん。少し甘く見過ぎてたかな。」
男は両手を突き出した。すると凛の四方に圧縮空気弾が形成された。
凛はそれをひとつずつ真空の層で消す。
そして凛も空気弾を真の後ろに形成する。しかし空気弾は真に当たる前に霧散する。
「確かに君は強いよ。今まで僕が戦ってきた中でもとても強い部類に入る。でも僕に空気弾は効かない。僕の周囲には何層もの空気の層が常時あるからね。」
男は喋りながらでも攻撃の手を緩めない。今度は8つの空気弾が凛を襲う。凛は6妻で対処した。しかし残り2つは間に合わず空気弾が凛を直撃した。
凛はそのまま倒れた。
勇斗も何もせず見ていたわけではない。はじめから凛に加勢しようとした。しかし、そう考えた瞬間にはメフィストが不敵な笑みで勇斗の前に立ちふさがった。そしてメフィストには上下左右どこにも隙がなかった。メフィストは攻撃してこない。かといって隙もないため勇斗は凛を見ているしかなかった。
「凛!」
勇斗がそう叫んだのは真によって凛が倒された時だった。
「大丈夫だよ、まだ(・・)誰も殺してないから。」
「さて、お話をしようか、栖鳳君。」
読んでいただいてありがとうございました。
拙い文章表現ですが、頑張ります…
誤字脱字等ありましたらコメントよろしくお願いします。