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転生しました

拝啓

お父さん、お母さん。

僕は異世界に転生しました。


と言っても幼い頃からぼんやりと記憶があるだけで正直前世の家族や自分のことはほとんど覚えていない。

ただ、よっぽど好きだったのか漫画やアニメのことはびっくりするくらい覚えていた。

前世の僕は相当なオタクだったようで、特にキャラクター同士のカップリングや関係性を勝手に妄想して楽しんでいたらしい。

その影響か今世の僕も色んな人や物で勝手に妄想する癖がついてしまったのはご愛嬌ということで。


さて、みなさんはチートというものをご存知だろうか。

異世界に転生した主人公が圧倒的な力を手に入れて、人生勝ち組やったぜ!(笑)というやつだ。


もちろん僕だって期待したさ。

僕が生まれた世界は俗に言う“剣と魔法のファンタジー世界”だ。

転生したんだなと理解した時にはもしかしたら膨大な魔力を持っていたり、めちゃくちゃな身体能力があったりするんじゃないかと思ったりしたさ。

当たり前だろう?


しかし、現実というものはそう甘くはなかった。

僕にあったスキルは【称号眼】というものだけだった。

教会でスキルを確認した時微妙な顔をした僕を他所に家族は大喜びだったがね。


平民にしては魔力は少し多いらしいけど属性を持っていないから火や水を出したりできる訳じゃない。

身体能力に関しては残念なことにむしろ貧弱な方だった。

体質なのか普通に食べているのにひょろっとしたもやし体型なのだ。

おまけに虚弱体質で季節の変わり目なんかはよく風邪をひくし夜更かしなんてしたら次の日は倒れそうになるしで今世の家族には随分と迷惑をかけた。


そんなこんなで成人を迎えた訳だがこの度祖父が経営していた道具屋を引き継ぐことになった。

理由は簡単。

僕が称号眼を持っていたから。


商人の家系だった事もあり称号眼を持っていることが分かった時にはお祭り騒ぎになった。

中でも1番喜んでいた祖父は僕が5歳だったにも関わらず「お前の店を作ろう」と言い出す始末。

その時は冗談だろうと聞き流していたのだが、先日僕が成人を迎えた際に「約束だ」と言って突然譲渡されたのがこの店という訳だ。


実はこの店、存在自体は知っていた。

それどころか店の手伝いのつもりでよく出入りしていたので隅から隅までよく知っている。

勝手知ったる店だから譲渡された時には驚いたが引継ぎの手続きさえ済んでしまえば今までとほとんど変わらない。


何せ引継ぎ前からこの店の管理も運営も僕がしていたから。

初めはほんとにただの手伝いだったのに、徐々に仕事が増えていき最終的にはほとんど一人で管理から運営までできるようになっていた。

仕事が増えていく時点で察していればと思わなくもないが、今更考えても仕方がないことだ。


という訳で本日も開店いたします。

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