私だけの生贄王子様
お読み頂き有難う御座います。
ラストです。
「ふへほー!」
「ゴボボ……」
ああ!爽やかな朝!
そして、風にたなびく髪は錆びた銀!うん!今日も目視オッケー!頭の調子も良さげ!!
今日は曇りだけれど、世界は輝いているわ!!キラッキラにね!!片腕に乗るドクロノウエも元気そう!今日も結構巨大ね!枕くらいのサイズになってない!?どうなってんの!?
……あれから半年。
多分、国の大半はご存知ないような感じで、色々有ったわ。
えーと、何だっけ。
取り敢えず、我が国を含む他の国々には、魔物チックな特性を持った人が偶に生まれるということ。
それを各王家は知ってるけど、あんまり表沙汰にしてないけど、防衛とかを任せてるってこと。
その特性を持った人は……ヨカゲツの魔力持ち……魔法使いと相性が良いってこと。
だったかしら。
……ええ、そうよね。
同じ家で、半年間。
好ましい異性と寄り添っていたら、ね。
「うふふふふグフッ。ゴゲフフフフン」
そうなの。
もう少しでゴールインしそうなのよ。私とジョエル様ってば!
まあ、色々叔母様から聞かされたお父様は更に卒倒したらしいわね!滅茶苦茶役立たなくて困ったわ!もう!
あ、ご病気は快癒して素振り中に告げてくださったそうよ。流石お父様の扱いが巧み過ぎるわね!ナイスよ叔母様!
結局お兄様が動いてくださったから問題無し!それに、頭脳労働をさせたい叔母様のご希望とも一致したの!
こ、こき使うおつもり?……良いのかしら。でも止められる気がしない……。
でも、諸々の事情を退けつつ、関係は甘やかに進んだわよ!
距離が一歩近づいたのは、書類をお手伝いくださった時。
「領主教育はされてないけど……計算が無茶苦茶間違ってるよ、コレ」
ニ歩目は、お茶をご一緒した時の照れ顔。
「もう冬だってのに蜂が元気過ぎじゃない?滅茶苦茶興味深いな」
……あれ。
何か違うわね。何か、もうちょいラブラブコメコメなシーンじゃ無かった?
「クリアラ、魔物図鑑の出版社から改定に協力を……どうしたの。闇が漏れ出てるよ」
「え……ええと」
「どうしたの」
はわっ!ゆ、指が!か、髪が!
相変わらず私の髪は剛毛だけど!私の前髪をジョエル様のお手が掬い上げてる!!
これ、何て、ご婦人向け小説のワンシーン!?
「……君の瞳が、漸く見えたね」
「ぐほあ……いえ、べはひ……じゃなくてひえ……」
「言い直さなくていいよ」
おわあああ!恥ずかしい!!最近と言うか、顔が透明になってから喉の調子がおかしすぎて、溜め息が魔物の鳴き声みたいになるの、どうにかならない!?
「仄かに鈍光る銀の瞳に、錆銀の髪。……甲冑を着込むデュラハンの色のようだね」
「えっ……」
あ、あんまり喩えが嬉しくないなぁ。
そういや目の色も水色から鈍色?ってのに変わったらしいのよ。この頃……あまり自分の目玉の色なんて……。睫毛が目に入った時以外、マジマジと見ないからなぁ。
兎に角益々モノトーンなカラーリングだわ。でも、こんなに嬉しそうにお褒めくださるなら嬉しいな。
「君は、僕でなくても……良かったのかも知れないけど」
「え?どうしましたの?」
「あの暑苦しい騎士に憧れていた事も有っただろうし……魔力の相性が良いなら、他の人でも良かったのかも」
「えっ、ぐふっ!まあ」
え、何?ヤキモチですかキャー!!嫌だもうもうもう!ああん!って気持ちが溢れ出て……ちょっと気持ち悪くてなおかつ怖い悶えが声に出てしまった!!
うっ、滅茶苦茶怪訝な顔をされてしまったわ。
「キレット様への憧れは、何と言うか……偶像崇拝的な感じだったんですわ!」
「……まあ、精霊憑きだしね。結局あの精霊パンチで闇も少し引いたし……腹立つな」
……あの闇に私が呑まれてた時……首をポンッてされたのが精霊パンチらしいわ。
ネーミングが安直だけど、分かり易いからツッコませて貰えなかったのよね。そんな雰囲気でも無かったし。
「でも、僕の兄弟姉妹達も……上手く逃れられたようで、良かった」
「各国が力を合わせて、ヨカゲツを占拠したのが先々週ですものね!
私も参加したかったですわ……。
最近石像も胴体部分位なら握り潰せるから、少しはお役に立てると思ったんだけどなぁ」
「他の国々の魔獣人も、そんな事言ってる奴がいるって聞いたから、控えといてね」
「は、はい」
そ、そうなのね。本格的な隣国との小競り合いに石投げでしか参加したことないから、ちょっと冗談だったんだけど。……血の気が多い方も居るものなのね。
魔物な人ってどんな人が居るのかしら。会えたり……するかは分からないけど、将来的に交流が出来たら素敵よね。
「また、闇がボコボコして地面がうねってるね。動揺してる?」
「ジョ、ジョエル様……」
こんな体質になってしまったけど、間近にあるジョエル様の茶色の瞳は本当に……麗しいわ。
きっと、これから……まあ、透明顔になったら外出を控えなければならないけれど。
カラーリングが多少変わった所で、故郷では其処まで大騒ぎされないでしょうし、王都には騒ぐような知り合いも対して居ないし。
「闇が、錆びた銀色になってきた。君は本当に目が離せないね」
「……そ、そうですかしら」
ちょっと、まあ……ズレてる気もするけど。
私達は手を取り合って、これからも寄り添って生きていく。
……傍から見たらちょっとホラーでもね!
彼女の一族はそれから末永く透明顔になったりならなかったり。
お読み頂いた貴方に感謝を!
よき週末をお過ごしくださいませ。




