これが本当に愛の力なりゃいいでしゅね
「おいくそガキ!うるせぇぞ!なにやってんだ!」
「僕ね、お腹空いてるの。」
「だからなんだよ!!んなとこに座ってても、俺から食い物は出ねぇぞ!?」
そう言って急いで食べてしまったり、
「どうしたんだ?」
「僕ね、お腹空いてるの。」
そう言われると、持っていたパンを隠し、
「おじちゃんと一緒だな。可哀想に、何か持ってればあげたいんだが…。」
とか言い出したりしていた。
「こんなの酷いよ。ねえ雪、雪は分かってたから…だよね。」
「和也くん、この人たちが地獄に来ている理由、分かったでしょう?」
でもさすがに、これだったら結構合格者いるんじゃない?
「どうだった?」
雪が聞いた。
「17965人合格、25122人不合格でした。」
こんなので半分以上も不合格なんて…。
「雪ちゃん、あたしもお腹空いたあ。」
舞香がフラフラしながら言う。完全に酔ってるな。
「その辺にあるの勝手に食べていいわよ。」
舞香はしゃがみ、本当に食べ始めた。
「雪様、舞香様は酔ってるだか?」
「ええ、そうよ。」
舞香の酒好きは有名だからね。まだ若いのに…。
「合格者を呼んで。」
僕達いる意味あるの?」
「皆に聞くわ。皆にとっての、闘いや殺しって何?順番に私のところに来て、言って頂戴。」
どうゆうこと?18000人近くの考えを、一人ひとり聞いていくつもり?さすがの雪でも、そこまではしないよね?
「ほら、前にいる人から早く来なさいよ。」
1人目が来た。
「正直に答えるのよ、いいわね?」
「はい。あたしにとっての闘い、殺しを言えばいいのですよね。正直に言いますと、仕事です。金を稼ぐ手段、儲かるんです。」
殺し屋?
「じゃあ、殺すのは好き?」
「…いえ、殺す行為自体は好みません。あたしが好きなのは、その後に貰える報酬のみです。」
金が好きなだけ、か。でも雪の能力を知らなかったら、絶対正直に何て言わないよね。
「へえ。じゃあお金が貰えるんなら、大事な人でも殺すの?」
「はい。だからあたしは、他人を大事になど思いません。皆、平等に思ってます。」
悲しいねえ。
「ふっいいでしょう。貴方達、暇だったら意見をお願いするわ。最初に言っとくけど、用事があるんだったら途中で抜けてもいいからね。それで、そう思う?貴方達の意見で、採用するかを決めるわ。」
雪、兵士にするつもりだね。
「僕は良くないと思うよ。裏切りを何とも思わないだろう?」
「あたしは尤もだと思うわよ。でも、戦いには向いてないんじゃない?」
僕と舞香が言う。酔っぱらいのわりにはちゃんとしてるね。立ち上がることも出来ない状態なのに。
「ふん、不合格ね。」
雪がそう言うと、鬼が連れ去らって言った。
僕達は、この調子で続けていった。
「夜が明けたわね。今何人?」
「合格者が142人、不合格者が11362、全体では11504人でございます。」
ほとんど不合格なんだね。
「ふう、まだまだね。このペースじゃ全然終わらないじゃない。」
「雪はちょっと真面目過ぎるんだよう。」
和也が目をこすりながら言う。
「雪様は全く寝てないの?」
「あっはは、まあね。大丈夫よ。」
雪はホントに真面目だな。皆順番に(舞香はほぼずっと)寝てるのに…。
「次来て。」
「すぃー?何してるんですかい、な!」
次に来ようとしていた人を突き飛ばし、いちごが現れた。
「嘘だろ?今は誰も入れねーよーになってるはず。どーしてだ?」
扉が閉まってる地獄に入れる、ってことは…僕並みかそれ以上の力を持っているね。いちごの力は計り知れないよ。
「すぃー?扉は開けてくれましたぞー。」
「何の要?」
いちごが地獄に来る理由が分からない。何しに来たんだろう。
「すぃー!葵を殺しに来たんですぞ!」
はあ!?
「ってのは冗談ですな。今回は違う理由で来ましたぞー。あのですなー、加奈って人いますかいな?」
加奈?誰だっけそれ。
「あたしに何かあんのか?」
「あなたが加奈ですかいな。回収しますぞ。」
へ?加奈を回収…!?ってことは、稚夏が危ないかも!
「雪様ごめん。僕、大事な予定が出来ちゃった。じゃあねっ!」
僕はあまり得意ではない転移魔法のスペルを唱え、華世界に転移した。
「稚夏!大丈夫!?」
急いで城に駆け込むと、稚夏は目に涙を浮かべていた。
「…葵、どうしようです。」
珍しい、稚夏は強い子なのに。
「…また、美希を、守れなかったです。…今回は、妹の蘭すら守れなかったのです。…だから葵、私もさらわれたいのです。…ひっ怖い…、です。」
稚夏がここまで…。
「…ごめんなさいです。…桜も、頼まれてたのに、守れなかったのです。…だから、葵にせめてお願いです。…私でなく、由里を護ってです。」
稚夏が7位、由里が多分9位。あれ、8は?そもそもこの数字、神様が見た戦いの順位。だから大まかな強さじゅんなんだよね。神様が見てたやつだから普段通り、皆手加減もできないだろうしさ。ちなみに僕は12位だったんだよね。
「…それよりも葵、その格好何なのです?…とても似合ってるですが。」
「あっ!!」
まだ女装のままなんだ。忘れてた…。
「瑠美に着せら…。」
そこで、僕の言葉は途切れた。
「稚夏、いちごが来た。隠れて。」
「…ですが。」
「隠れて。」
僕は得意の幻惑魔法で稚夏と僕を壁に紛れさせた。そして変化魔法で壁と一体させ、気配を消した。
「ここまですれば大丈夫でしょ?」
「…ですが、ですが私は…。」
「静かに!」
稚夏をいちごなんかに渡すわけにはいかない。僕は息を殺し、耳を立てた。
「すぃー!稚夏はどこにいるんですかいなー!!」
いちごの声と共に、凄い音が聞こえてきた。とその後、驚くべき言葉が聞こえてきた。
「姫様は今、音楽世界に、行って、……ますっ。」
音楽世界って、聞いたことあるけど…。かなり遠いんだよね。僕的には、ちょっと行ってみたい。
「本当でしょうなー!?」
「はい。他人の為に、自分の命捨てられませんから…。」
「すぃー、ですよな。分かりましたぞ、すぃーすぃーすぃー。」
もういなくなったかな?
「姫様、もう大丈夫です。奴はワープを使いました。この世界からいなくなったでしょう。」
華世界の人はやっぱ凄いね。地獄の人とは大違いだよ。
「…他人の為に、自分の命捨てられない…ですか?」
「あれは違うんです。騙す為の嘘でして。」
「…分かってるです。…ありがてろです。」
姫がバカだと、国民までバカになっちゃうんだね。
「稚夏、国民をできるだけ、すぐに集めて。」
「…はいです。」
いちごが戻ってくるまでにやんないと…。ばれたら僕だって不味いからね。
「…OKです。」
城の外を見ると、たくさんの人が集まっていた。これが稚夏の力か。
「皆!もうすぐいちごって言う、女の子が来ると思うんだ!!だから稚夏の居場所を聞かれたら!音楽世界から戻って来て!すぐに恐怖世界に行ったてt!言ってくれ!頼むよっ!!」
これで、いちごが聞いて回っても大丈夫だろう。
「稚夏、来て。」
僕は稚夏を部屋まで連れて行き、ワープで地獄まで行った。
「…何なのですか?…この地獄のような場所に私を連れて来て、どうするつもりなのです?」
「稚夏、違うよ。地獄のようなじゃなくて、ここは地獄だよ☆」
稚夏、来たことないのかな。
「雪様!稚夏の意見も入れてあげて。」
「ん?えっええ、分かったわ。」
雪の隣に来た稚夏は、また目が潤んでいた。
「…葵、どうゆうつもりなのですぅ?…雪様の、あの、大王様の隣に、私を連れてきたりして。…酷い、のですぅ。…うぅ。」
そうだよね…。知り合いでもない限り、雪の隣に立つのは怖いよね。怒らせたら終わりだもんね。
「ってどうゆうこと?貴方、名前は?」
雪が驚いた様子で、稚夏に聞いた。どうしたんだろう。
「…田中稚夏です。」
「そうよね…。じゃあ、歳は?」
雪がそんなに質問するなんて、ホントにどうしたんだろう。
「…13です。」
瑠美と稚夏って同い年だっけ。
「歳もそれくらいだったわ。そっくり…。」
何にそっくりなの?雪が驚くって、何があったの?
「…ごめんなさいです。」
「いやいや、何で謝るのよ。やっぱり怖いの?」
稚夏、結構怯えっちゃってるな。珍しい。
「まあ次が待ってるし、何で来たのかは後で聞くことにするわ。」




