日常を簡単には終わらせないわ
オレたちは、とても豪華な城まで連れてこられた。
「…勇者さんなのです。」
「姫!? どうしてここに? あれっ?」
「何なのよぉ。」
「オレだって分かんねぇよ。」
由里はもともと人見知りが激しい子だった。最近は、だいぶ大丈夫になってきたが、たくさんのおっさんたちを見て涙目で震えている。オレだってちょっと怖いくらいだからな。
「…どうぞです。」
オレたちは、いかにも王様の部屋という感じの部屋に連れてこられた。
「…座ってほしいのです。」
オレたちは、訳も分からないままとりあえずそこの椅子に座った。
「…勇者さんにお願いなのです。」
「勇者って何の話よ。」
「オレたちは、ただの高校生だ。」
勇者なんて、ゲームじゃあるまい。
「…」
「…」
「…」
沈黙が続いた。
「…指輪を持ってるですし。」
「これはだから、」
「…いつのまにかついてたのなら、指輪に選ばれたのですよ。」
「何も出来ないけど、出来るだけ協力したい。由里はどうだ?」
「健人が行くなら。」
「…たのむのです。」
「何をすればいいのよ。」
勇者って、言ったってな。
「…魔王をたおして世界を救ってほしいのです。」
悲しそうな表情で言った。
「…探してたおすのです。…頑張れなのです。」
オレたちは、剣とリュックをもらって魔王を探す旅に出た。
普通の高校生のごく普通の日常を描いていくだけのはずが…。




