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第5話 満足な死と不満足な生

 いやはや、町に出るのは嫌いじゃない方なのに、今日ほどすぐに大使館にとって返したいと思った事は無い。町に出てすぐ、そこら中の壁には『ダムを作るラシケントに神罰を』などという紙が、至る所に貼られている。ラシケントの情報管理は、いったいどうなっているんだろうか。

「いやあ、僕達注目の的ですねエンドさん」

「そうだね。ぶち殺すぞガイジンっていう視線がビンビンだわ」

 道を歩けば、自分達が明らかにラシケント人だと分かってしまう。そして、そんな自分達に向けられる視線は、まるで親の仇を見るかのよう。これは素敵だ。思わず理由も無く誰も彼もに宣戦布告をしたくなる。私の鉄拳が火を噴く五秒前。まあ、ケンカとかしたこと無いんだけれど、そんな気がするくらいはいいだろう。

 吹き抜ける風、人々のひそひそ声、そして突き刺さるような視線。今日ほど、父亡き後にその派閥を解体する見せしめとして、自分をこのエフェスの大使に任命したルアドをぶち殺したいと思った事はない。

 たまに本気で拳を握っている私を見て、カルは必死で抑えるようにと言ってくる。

「ねえ、これルアドの奴がわざと情報を奴らに流してるんじゃない?」

「その可能性は否定できないとは思います。僕らが死ねば、国民の結束を固める事もできるし、厄介払いもできて一石二鳥ですから」

「でも、私の亡き後は戦争になっちゃうし、戦力の差を考えれば、和平を延長させる方が良いんじゃないかしら?」

「ラシケントにはほら、アレがあるでしょう」

「あー……」

 その言葉に、マーシャから購入した銃の事を思い出す。結局、まだ実戦に投入はされていないが、その威力は凄まじいものだ。あの悪魔の兵器があれば、いくら国力に大幅な差があるエフェスを相手と言えど、負けるとは限らないと思う可能性も高い。

「ダムの件はもう話しても問題無いけど、あいつらの神経を逆撫でしかねないから、一応控えましょう。あと、アレの件は絶対に今後口にしないこと。いいわね」

「はい」

 やがて、二人は目抜き通りで裏道に入り、バザールにほど近い高級住宅街の中にある、バドルの屋敷の前に到着する。辺りは静まり返っており、重たい鉄の門は閉じている。

「ラシケント大使、エンド・ガーウィンです。ご挨拶に参りました」

 声を張り上げると、重い門がきしむような音を立てて開き、中から年若い使用人が姿を現す。

 バドルの世話をしている、ホルン・リトヴィエだ。

「こんにちは。何だか町は大変な事になっていますが、大丈夫でしたか?」

「ええ、三国協定がまだ有効ですから、一応手は出してきません」

「では、どうぞお入り下さい」

 赤い絨毯が敷かれ、水不足だと言われながらも、この邸内にはまだ、噴水が涼しげな音を立てている。だが、その辺りは「まだエフェスは健在だ」という意思表示の可能性もある。無理に藪をつついて蛇を出す必要も無いため、黙ってホルンの後を付いていく。

 すると、不意にくすくすとホルンが笑い出し、こちらを振り向いた。

「言っても良いんですよ、噴水のこと」

「さて、何の事でしょう」

「心配せずとも、あれはあなた方に対する示威行動に他なりません」

「やけに開けっぴろげですね」

「バドル様は長老衆の中でも、ラシケントと事を構えるのは良くないと思っている穏健派です。そのため、軟弱だ、軟派だと思う長老衆も多く居ます。なので、頻繁に大使であるエンド様達が来られる屋敷には必ず噴水を絶やさぬようにして、ラシケント側にケンカを売るような態度を見せ付けておかねばならないんです」

「はあ……エフェスの人達も色々大変なんですね……」

「こうして正直にあなた方に話すことで、私達の事を信じて頂きたいのです。バドル様は和平の延長を望んでおられますし、あなた方もそのはず、でしょう?」

「そうですね。それだけ正直だと、こちらとしても逆に怖いくらいです」

 その言葉に、ホルンはいっそう笑みを深めて言う。

「別に、いざとなればあなた方を殺す事なんていつでも可能なんですから」

「…………」

 思わず舌打ちをしそうになった。バドル本人ならともかく、たかが使用人風情に、仮にもラシケントを代表する大使である私の生殺与奪について語られる。どこまでも私は舐められているのだろうか。

 だが、ここで私が取り乱すわけにはいかない。黙っていれば良い。バドルはこんな愚かな挑発をするような男ではない。

「おい使用人」

「私はホルンです。きちんと名前がございますわ」

「今のはラシケント大使に対する言葉か」

「そうですが、何か?」

「ありがとうカル。それ以上はやめなさい」

 懐に隠していたナイフを取ろうとしたカルを制止する。彼はラシケントよりも、自分の命よりも、私を大切に思ってくれている。それはとても嬉しい。

 彼がガーウィン家に来た時、しばらくの間武装神官として教練を受けた事がある。

 対暗殺者、対重装兵、対軽装兵、対弓兵など、あらゆる状況に於ける戦いを学び、その全てを最速で修了するという、前代未聞の記録を打ち立てた事でも知られている。

 あらゆる軍の連中が、指揮官としてカルに教えを請うようになったが、彼はあくまでも私の従者であるという事を貫き、甘んじたいと願った。私が父と違って殺されなかったのは、カルが居てくれたから、ということもあるのではないだろうか。

 急すぎる父の死は、事故として処理されたが、暗殺されたとも噂されている。今となっては、真相は闇の中。ただ、慌ただしい日々の中で、私は考える事にも、父を悼む事にも疲れていた。

「あなた、同じ匂いがしますね」

「私か?」

「いいえ、その隣にいる色男さんです」

 ぺろりと唇を舐め、指先でそれをなぞってから、カルの前にそっと突き出す。

「何人殺しました?」

「さあて、何の事やら」

「なるほど、そちらの青臭い女に聞かれたくないってわけですか」

「…………」

「青臭くて悪かったわね」

 黙っているカルを弁護するように、私は敢えて口を挟む。

 武装神官をしている時代に、何があったかは聞かない事にしている。

 今喋れば、きっと口と同時に手が出るだろう。だからカルは、黙っていることしかできない。それを分かっているこの小娘は、きっとこのままでは頭に乗る。そんなことは私が許さない。

「あなたが羨ましいです。そして悔しい。

その肩に入った焼き印、あなたも奴隷上がりでしょう? 私もそう。あなたと私は同じもののはず。なのになぜ、そんな風に笑えるのかしら? 気に入らないです。とても」

「犬は自分を飼う主人を選べない。しかし主人ができたなら、その主人に忠義を果たすものでしょう」

「ええ、その通り。吐き気がするほど正論ですね」

 そこまで喋り、彼女はくるりと背を向ける。さっきまで全身から発していた敵意はもう無く、いつも通りの使用人、ホルン・リトヴィエに戻っている。だが、最後に吐き捨てるように彼女は呟いた。

「何がダムだ。薄汚いラシケントの異端者共」

「その言葉は甘んじて受け止めます。申し訳ありません」

「バドル様が穏健派だからといって、あまり調子に乗らないで頂きたい」

「分かっています」

 バドルの部屋の前に着くと、さすがのホルンも口をつぐむ。一応、建前上ではラシケントと争うような事は厳禁だ。仮にも奴隷の立場である彼女は、主人の前では許可も無く吠え立てるわけにはいかない。

 ノックをしてすぐ、落ち着いた初老の男の声で、入室を促す声がする。

 中に入ると、いつも通り深々と頭を下げた。

「ラシケント大使、エンド・ガーウィンです」

「書記官のカル・サルードです」

「ようこそ。召使いのホルンがおそらく無礼をしでかしたと思う。申し訳ない」

 その言葉を聞いて、ホルンは顔を真っ赤にして俯く。

 全ては筒抜けだったのだ。

 カルはバドルに見えない角度でこちらを向いて、にやりと笑った。私もそれに軽く微笑みを返す。実にいい気味だ。

「今日は本来、互いの国の休戦の延長について、今後具体的にどう進言するかについて話し合う予定だったのだが、その件についてはどうやら保留せねばならない。なぜかはもうお分かりだね」

 敵意や殺意は無いものの、明らかに不快感を滲ませた丁寧な言葉に、粘着質の嫌な汗が吹き出してくる。ラシケント本国では、いったい何が起きているのだろう。ひょっとして、自分達よりも彼らの方が、事情を良く把握しているのではないだろうか。

 そんな不安もあるが、まさか自分の国の事情を、敵国に聞くなど愚の骨頂と言える。もしそんなことをすれば、大使が自国の情報さえ入手できないような国と侮られ、和平の延長は愚か、戦禍は一気に拡大する事だろう。

 そして、もし彼らが銃の存在に気付いていたら? ああ、それはもう、考えない方が良いだろう。頭痛の種を自ら増やす必要もない。

「ダム建設に関しては、正直言って私は反対の立場です。それは休戦の延長を望んでおられるバドル様ならば、よくお分かりだと思われます」

「まあそうだろう。で、これについて、止める事は可能かね」

「正直言って、分かりません。父が健在な時代であればともかく、今の私には議会に対しての力を何ら持ち合わせていません」

「やけに正直だね。しかし、誠実であることは大切だ。私は信頼関係を望む」

 長いあごひげを指で触りながら、感情のこもらない声で言われる。

 今までは大使として、一定の敬意を払われていたが、ここに来てのダム建設で、天秤は一気にあちら側に傾いてしまった。こちら側としては、粛々と相手の言う事に耳を傾けるしかない。

「もしダムが完成し、我々の国に水が運ばれなくなれば、どうなるかは分かっているかな」

「ある程度は、想像に難くありません」

「正直言って、我が国としては戦争に使う金を惜しいと思っている。休戦の延長はむしろ歓迎したい事柄なのだ。それを貴国の方から破棄したいとあらば、我々は収めた刃を再び抜く事になるだろう」

「存じております」

「私をあまり失望させないでくれ。若き大使殿」

「耳に痛い限りです……」

 結局この日は、バドルの皮肉たっぷりの愚痴を延々と聞かされるだけで全ては終わった。

 正論ほど強いものはこの世の中に無い。彼は宗教の違いなどには全く触れず、純粋にダムを造ろうとしているラシケントに対して、厳しい批判を展開したのみだ。

 どこから漏れたのかは分からないが、ダム建設の噂は町中に広がっており、不安は連鎖し、ラシケント人に対する風当たりも強くなっているという。

 館を出た帰り道、思わず誰も居ない無人の家に蹴りを入れ、逆に足が痛くなって悲しくなる。

 なぜこんな仕打ちを受けねばならないのか。私が何をしたというのか。

 思い出すだけで、やるせなさと腹立たしさが込み上げる。

 父は国のため、民草のため、メフィウス法皇のため、唯一神ソーリアのため、身を粉にしてきたはずだ。少々強権的な部分はあったが、その功績は称えられこそすれ、咎められるような事はあるはずがない。

 勝てるはずもなかった戦争に奔走し、翻弄され、殺したり殺されたり、奪ったり奪われたり、それでもラシケントは発展を遂げてきた。それは一丸となった国民の力もあるが、迷い惑う国民達を束ね続けて、私を含めた家族を犠牲にしてきた父の功績ははずせない。しかし、死後は一変してヨシュア批判が繰り広げられ、私は追いやられるように、新しくできて、かつ危険と名高かったこの駐エフェス大使という役職に任ぜられた。

 最後のとどめに水不足の中のダム建設。まさにチェックメイト。私にはもはや逃げ場が無い。ダム建設を批判すれば、ラシケントから売国奴とそしりを受けるだろう。推進すれば、エフェスの国民や兵達によって、私は血祭りにされてしまうだろう。

「あーあ、もう何もかも嫌になっちゃうよ」

「お気持ち、痛いほど理解できます」

「いっそのことラシケントなんて捨てて、逃げ出しちゃおうかな!」

「…………」

「止めてよカル。冗談なんだからさ」

「もし本気なら、僕は手伝いますよ」

 やれやれ、この従者は最悪だ。最悪すぎて、嬉しいよ。

 世界を敵に回しても、きっと君は私の味方をしてくれるんだろうね。

 私がもう少し素直だったら、君に愛の告白でもして、君と私は夫婦になって、今頃私は政治の一線から離れ、ただの主婦として幸せを謳歌していたのかな。

 実際の私は政争に次ぐ政争で、君に迷惑を掛けるだけのご主人様。いや、友達だ。

 ただし私は最低の、ね。

「あれ、何か人だかりができてますね」

「うちの大使館、ひょっとして暴動の真っ最中?」

「僕が見てきます。エンドさんはここに居て下さい」

 言ってすぐ、彼は小走り気味に大使館の方に走っていく。すると、すぐにカルに向かって人々は一斉に頭を下げた。

「おおラシケント大使様。お願いです、ダム建設を止めて下され」

「私には四人の子供が居ます。水がこれ以上値上がりしたら、私達はもう生活ができません」

「水を飲む自由さえ無いのですか? あなた方の信じる神は、そんな非道なものですか?」

 頭を下げては天を仰ぎ、もう一度頭を下げ、再びすがるような声を浴びせてくる。

 なるほど、泣き落としか。

「ちょっと待って下さい。僕は大使じゃありません。ただの書記官です」

「はいはいお待たせ。私が大使ですよー。ラシケント大使のエンド・ガーウィンですよー」

「ラシケント大使様! あなたが!」

「私です、ええ。若くておっぱいが小さくて、青臭くてアレでナニだけど、一応これでも大使なんですよー」

「エンドさん、何か色々余分な自虐が入ってます……」

 老若男女、本当に見境無く色々な年齢のエフェス人達が、大使館前に詰めかけている。ちょっとした近所迷惑とも言われそうなほどだ。

 みすぼらしい格好をした人も居れば、明らかに高そうな砂蚕の絹で作った衣装に袖を通している、商人風の男も居る。そして、これから何かが始まるような、少し異様な昂揚感が辺りには漂っている。

 なぜだろう。誰も彼もが涙を流し、悲しそうなはずなのに、それはとても嘘臭い。

「中に入っちゃいましょう。もうすぐ祈りの時間ですから、彼らも大人しくなるはずです」

「え、あ、うん……」

 カルが手を引いたとき、一人の男性が古代エフェス語の、あの歌うような祈りを叫びながら、懐から出した小刀で喉をかき切る。

 一瞬、何が起きたか分からず、カルに手を握られたまま、呆然とその場に突っ立っていた。

 みすぼらしい服装をしていた老人の、首が斜めに傾いて、溢れ出す血が雨のように降り注ぐ。

 続いて今度は、年端も往かない少年が、同じように祈りを歌い上げながら、喉をかき切った。

 私の大使服は、二人の血にまみれ、べっとりと肌に貼り付いている。

 照り付ける太陽よりも、吹き抜ける灼熱の風よりも、もっと嫌な温度が全身を駆け抜ける。

 それでも私は気を失わず、目を逸らしもせず、その様をじっと見届けねばならない。

「エンドさん、見ちゃ駄目だ!」

 私の目をふさごうとした手を、敢えて払いのける。

「見なさいカル。これがラシケントとエフェスの今よ」

「こんなものは、エンドさんが見なくていい!」

「こんなもの? 訂正なさい! カル、例えあなたでも言って良いことと悪いことがあるわ!」

 私達が言い争っている間にも、今度は中年の女性が、そしてまだ働き盛りだろう男が、次々に首を切り裂き、祈りながら血の雨を降らせ、倒れていく。

 利己主義、狂信、さまざまな汚いものが集まって、彼らの命を奪っていく。見せ付けているのだ。私達の愚かさと、自分達の愚かさを。

 神も悪魔も共に愚かだ。共に価値が無い。見ろ、この有様を。最悪で最低だ。こんな人間達を作ったり、騙したり、導いたり。最後に残ったのはこれか?

「満足か? 死んで満足か? 見せ付けて満足か? お前達の死は無駄だ。私に見せ付けたからと言って、雨も降らなきゃダム建設も中止にはならない。まだ死ぬか? 死にたいなら死ね」

「満足だよ。あなたに死を看取ってもらえて」

 最後に残った自分と同い年くらいの青年と、その妹らしき幼い少女は、私を見て、にやりと笑い、互いの首をかき切った。

 なるほど。お前達はそれで満足なのか。それは悪かった。

 そう言えば、この国では悪いことがあった時、神に向かって供物となる事で、天国に行くことができるという信仰がある。彼らが戦争に強いのは、それが「悪いこと」であり、その中でもとりわけ「最悪のこと」だから、そこで無駄に犬死にする事は、自らを供物として天国に近付く事ができるからだと、生前の父は私に教えてくれた。

 死に意味を見出す。死に理由を与える。そして人々を死に追いやる。狂気の果てに放逐する。

 おこがましい。腹立たしい。気分が悪い。唾棄すべきものだ。

 子宮でものを考える生物だと、やたら馬鹿にされる愚かなメスの私にだって、これがおかしな事だと分かる。おい、オス野郎共。お前達が作った素敵な世界の末路はこれか?

「全部で十八人……壮絶な死でしたね……」

「カル、葬儀屋を手配して」

「はい」

「私達が用意できる限りの、一番豪華な葬儀を。それもエフェス式で。大至急よ!」

「はいっ!」

 女なら女らしく、気を失うくらいすればカルの面子も立ったのかなあ。

 私は可愛くない奴だ。これほどの屍山血河を目前にして、震えてさえいない。

 死は誰もの下に平等に訪れる。遅いか早いか、病気か老衰か、こうして自ら命を絶つか。

 ただ、無駄に死ぬことに意味は無い。分かるかお前達? お前達が死んで、悲しむ人間達の声を聞け。これはもちろん、政治的な配慮もあるが、私個人の、勝手に死に腐ったお前達に対する嫌がらせだ。

 死んだら生き返れない。だから一生懸命に生きる。違うか? 無駄に死ぬな馬鹿者共。

「唯一神ソーリアよ。この者達に安らかな眠りと、聖天への誘いを」

 いつも通りに祈ってみる。居るか居ないか分からない神。それも、お前達の信じているものとは違う神のやり方だが、これが私にできる精一杯だ。

 ひざまずき、血の海を見渡し、空を見上げる。

果たしてダムは必要なのだろうか。もし必要だとしたら、例えどれほどの民が死のうとも、私はその計画を推進するべく、多くの血を浴びせられる事になったとしても構わない。

私はラシケントの手先。ラシケントの犬。その為には血も涙も厭わない。

しかし、もしダムが不必要なものだったとしたら――

 考えるだけで吐き気がする。私はぼんやりと、腑抜けたように空を見上げた。

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