繋ぐ者達
第二章最終回です!
今後の予定なんかを後書きと記事に書きますのでよければご覧ください!!
統合再編の話をアリシアにして一週間後。
どうやら制度撤廃によよるクラスの再編成は思いのほかうまく事が運び明日から新クラスでの授業体制が始まるという。
しかし今それは関係なく俺達はある別件のためにある場所へと向かっていた。
「こっちだねぇ~」
「おぉ、随分と薄暗いな」
「ここにあるのですね」
シュヴァリア勇者学院内の地下倉庫。
そこでは学院内で使用する様々な道具が保管されている。
入学式に俺に話しかけたフェイルの案内の元、俺とネスティはそこに足を踏み入れる。
普段は生徒の立ち入りは禁止されているようだが、ある特例として今回入る事を許可された。
というのも、ある事を確認するためだ。
「お、これではないか?」
地下倉庫の奥へ進むと、俺は本棚に本を並べるように立て掛けられている目的物の数々が目に入った。
俺達の目的は天啓板だ。
「お待ちしておりました」
すると、そこには一人の女性が俺達を待ち受ける。
「誰だ貴様は?」
「はい。私はマリーン、この地下倉庫で天啓板の番をしております」
そう言うと、マリーンは俺達と来たフェイルを見る。
「で、マリーンさん。昇華した天板は?」
「はい……こちらですね」
フェイルの問いに、マーリンは先導するようにある天啓板を指し示す。
それはどうやら、今回俺達がここに来た目的である「ネスティの天啓板」らしい。
「……む?」
それを見た俺は、そんな思わずそんな声を漏らす。
ネスティの天啓板――――それは光っていた。
光っていると言っても、本当に微かな光だが並べられている他のものと比べ、明らかに異質であるためとても目立つ。
「……」
それにつられるように、ネスティは歩く。
そして、その光っていた「天啓板」を手に取り見た。
「イブル様」
それを持ったまま、ネスティは俺とフェイルの元に戻って来る。
「へ~すごいね。まさかこんな短期間で……」
フェイルは驚くように呟き、そこに書いてある文字をしっかりと認識した。
天啓板には、その者の名前と見出された天職が記載されている。
つまりネスティの天啓板にはその名前と、彼女の天職である『魔導士』が書かれているはずだ。
しかし、
「『黒魔導士』……変わっているな」
俺の言う通り、ネスティの天職は変化していた。
「与えられた天職は、その者が成長を遂げれば、その派生や上位互換の天職へと変わります。天職が変われば、その証拠として天啓板は輝く光を発するのです……私たちはこれを『昇華』と呼びます」
補足するようにマリーンは説明する。
「輝く光か。それにしては随分と弱弱しく見えるが?」
「それはネスティさんの天職に影響が及んでから少し時間が経過しているためでしょう。時間の経過と共に光の程度は弱くなっていますから」
「ほぉー」
大して眩くない天啓板を尻目に、俺は納得する。
「それにしても『黒魔導士』か。他にこの天職の者はいるのか?」
「ん~、僕が知る限りこんな天職は目にした事が無いな~」
「では、この天職は……」
ネスティは天啓板に書いてある記述をただ見詰めた。
「な、なぁ。ちなみに、俺の天職が変わっているという事は……」
俺は恐る恐るマリーンに聞く。
何故なら俺の呪いは一つとは言え、解呪されたのだ。
であれば何か俺の天職に影響を及ぼしているかもしれない。
そう思い聞いたのだが、
「私の仕事はここで常に学院生の天啓板の変化を確認する事です。最近昇華を確認した天啓板はこれ一枚でしたが……、確認しますか?」
「……いや、いい……」
マリーンの有難い申し出を俺は断る。
彼女の説明だけで、俺の天職に変化は生じていない事が容易に想像できたからだ。
「一先ずおめでとう。ネスティさん」
「ありがとう、ございます」
フェイルはネスティにそう言うが、当の本人は何やら現実感が湧いていないようである。
「ま、何だ!! とりあえず俺の幹部がまた成長したという事だろう!! めでたいことではないか!! よし!! 今日は祝いだ!! テディ達も同席させよう!! ガハハハハハ!!」
気を取り直した俺は、ネスティと肩を組むと大声で笑った。
◇
「おい起きろ!!」
「ん……? んぅ……」
「起きろって!!」
何やら聞き慣れた声が俺を起床させようと画策する。
当然、起きる理由はない。
「おぉぉぉい!!」
「うぅ……ん。五月蠅いな……、一体誰だ……不敬だぞ」
だがあまりの大声に俺は重い瞼を上げざるを得なかった。
「不敬じゃない! 早く起きろおぉぉぉぉ!!!」
次の瞬間、男はそう言って俺の体から毛布を剥がしベッドから蹴落とした。
「ってぇ!! 何をするテディ!?」
「お前が全然起きないからだろ!? 早く起きろ!! 何時まで経っても寝やがって!! 初日から遅刻するぞ!!」
初日……遅刻……。
テディから羅列される単語が未だ活発化していない脳に流れ込む。
そして俺は状況を理解した。
昨日ネスティの昇華祝いをここで行ったが、門限によって俺とテディ以外は早々に帰宅。
残った俺達は二人でバカ騒ぎをして夜更かし。
そして今日がクラス統合再編した勇者学院の授業初日、それに遅刻しそうになっているという事を。
つまり……、
「テディお前もさっき起きたばかりだな!!」
「いぃ!? こ、細かい事は良いんだよ!! いいからさっさと支度してまたあのスキルで学院まで連れてけ!!」
懇願するようにテディは俺に言う。
ふむ、まぁそこまでねだられては仕方ない。
ベッドから落とされた俺は仕方なく重い腰を上げ胸に銀章が付いた制服を着始めた。
しかし、ここで問題がある。
先日の一件で何故か俺の『空間転移』が使用不可能になってしまったのだ。
これでは当然遅刻してしまう。
そう思ったのだが、
「む……?」
「どうした?」
「いや……『空間転移』が使えるようになっている……」
「はぁ? 何訳の分からない事言ってんだよ!! 早くしてくれてって!」
「あ、あぁ……」
どういう事だ? あの時は確かに……。
一時的な俺の不調……? いや、それは考えにくい……。
「『空間転移』」
そんな思いを他所に、俺はスキルを発動。
学院へと移動した。
◇
「はは……制度が撤廃たりトントン拍子で、まだ実感湧かないぜ……」
俺とテディは今日から通う新たな教室の前に立つ。
『空間転移』を使った事で、授業開始一分ほど前に辿り着いた。
「ふぅむ……」
しかし、俺はまだ先程の不可解な点に頭を悩ませている。
「お~い!」
「うお!?」
「何だミュー?」
そこに、教室の前で立つ俺達の背中にミューは圧し掛かって来た。
「何立ち止まってるの? きっともう皆いるから早く入ろうよ」
「ま、まぁ……そうだよな……。ふぅ……よし!」
ミューの言葉に納得するようにテディは覚悟を決めたような顔をする。
そんな彼が教室の扉を開け、俺達は新たな教室へと入室した。
「イブル様! お待ちしておりました!」
入ると、真っすぐに俺の元にネスティが駆け寄って来た。
そして彼女の後ろには、見知った者達が数々見える。
「……ハハ、ガハハハハハハハ!!」
まぁ、細かい事は良い。
一先ずは、良しとするか!!
ネスティに案内されるように、俺は新たな一歩を踏みしめた。
◇
「……何か弁解はあるか」
「無いですね。あるとすれば、イブルの力が想像を超えていた……とでも言えばよいでしょうか?」
「それは弁解とは言わん。ただの貴様の落ち度だ」
その言葉に対し、彼の目の前に立つ――――右側の顔面の皮膚が存在しない男は言う。
「『剣聖』の暗殺の遂行。そのためにイブルの足止めを可能な限りしたつもりでした。迷宮内に細工をし、大気に毒素をまき散らし、彼の転移型スキルを一時的に使用不可能にもした……だけどそれだけでは足りませんでしたね」
「開き直るな」
「そうは言いますがね……シドレ。イブルの存在は貴方も予期していなかった事でしょう?」
シドレと呼ばれた男は、彼の言葉に何も言い返す事が出来ない。
「……もういいですか? でしたら、話を未来に進めましょうよ。次の作戦に向けて……僕達、繋ぐ者の役目は……まだ終わっていないんですから」
そう言って、イブルのクラス担任であったクルスは絶妙な不気味さを孕む、薄ら笑いを浮かべた。
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