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元魔王VS魔剣

いよいよ第二章最後の戦いが始まります!

「イブル……? シラン、ダガ……タシカニ、ツヨイナ。オマエモ」

「ふむ」


 俺はマナの波動の発生源を目にする。

 そしてすぐに、その存在が何たるかを理解した。


「ガハハハハハハハ!! 魔剣だなお前!! どうりで凄まじいマナの波動だったわけだ!! 合点が要ったぞ」


 魔剣を見た俺はそう口にする。


「ま、マジかよ……こんな事になってるなんて……」

「いやぁ、来て正解だったねぇ~」


 隣に立つテディとミューは目の前の光景を見ながら口を開いた。


「さてと……」

 

 俺は状況を確認する。

 そして、信じ難いものを目にした。


「……ネスティ!!」


 倒れている俺の部下の元に俺はその場から飛び、張ってあった魔障壁を蹴破ってすぐさま駆け寄る。


「おいネスティ!! 大事は無いか!? 返事をしろ!! おい貴様!! どういう事だ!!」


 ネスティの治療に当たっている人間に俺は詰め寄った。


「ネ、ネスティさんは……私を助けるために……庇って……!!」

「何……?」


 涙を流しながらネスティの治療を続ける人間を横目に、俺は意識の戻らない彼女の顔を見た。


「……そうか」


 短く呟くと、俺は彼女の右肺に手をやる。


「サセルカ!! 『暗黒大切断ブラック・ディオディール』!!」

「ふん!!」


 魔剣の妨害攻撃を、俺は魔障壁で防ぐ。


「『回復ヒール』」


 その隙に回復型スキルを使用し、俺はネスティの負傷箇所を完治させた。


「す、すごい……そんな『回復』、初めて見た……」


 治療をしていた女はそう言って俺を見る。


「おい女」

「え……は、はい」

「感謝するぞ!!」

「え……そんな、何ですか!? 私のせいでネスティさんが……!! それなのに!!」


 確かにこの女の言っている事は理解出来る。

 自分のせいで別の者に傷を負わせたのだ、自責の念と罪悪感に駆られるのも無理はない。

 だが、そんな事は最早些末な事だ。


「お前を庇ったのだろう? つまり、ネスティにとってお前は……『大切な者』という事だ」

「っ!?」


 俺の発言に、女は目を見開く。


「俺を含め家族としか関わりを持たなかったネスティが、身を挺して『俺以外』を守ったのだ。その成長を促したお前に感謝はしても、侮蔑を飛ばす理由はない」


 そう言って、俺は立ち上がると魔剣の元へと歩き出す。


「ネスティはその内目覚める。それまで守ってやってくれ」

「……はい!!」


 力強い女の返事を聞き、俺はニヤリと笑う。


「オレノイチゲキヲ、『魔障壁』デウケトメキルトハ、ヤハリタダモノジャナイ。ナニモノダ? オマエハ……?」

「はっ……愚問だな」


 魔剣との距離を詰めながら、俺は鼻を鳴らす。


「俺は人間だ。ただし、『魔王』だがな!!」

「ハハハハハハハハ!!! 『魔王』? ワラエルジョウダンダ!! オマエゴトキガ、ソノナヲナノルナド、オコガマシイニモホドガアルゾ!!」

「まぁ信じなくともよい。ところでこっちも聞きたい事がある。お前は休戦協定の際に人界へ送られた魔剣だろう? 一体誰の命令で動いている?」


 冥域からの使者は未だこの地に現れていない。

 ということは目の前のコイツは千年前にこちらに来たはずだ。


 魔剣は自律的に動けない。

 つまり、第三者が魔剣を運び、目の前のこの肉体に使わせたという事だ。


 その第三者は誰なのか。

 冥域の者でないとすれば、一体誰が裏で手を引いているのか……俺にはそれが分からない。


「ナニヲイッテイル? ソモソモ、ナニヲコンキョニオレガセンネンマエニココニキタトオモウンダ?」


 俺がそんな事を考えていると、魔剣がそんな事を言ってくる。


 何を言っているのだこの魔剣は。


「お前程度の魔剣なら人界に送る品としては適当であろう?」


 俺は至極当たり前の事を答えた。


「……コロス」

「む?」


 先程よりも殺意がむき出しになった魔剣に俺は首を傾げる。


「まぁよい。俺もお前には多少ながら怒りを覚えていたところだ……。ネスティを傷つけた罰、その身でしかと受け止めるがいい」

「ッ!?」


 俺の発した圧に、魔剣は一瞬怯む様子を見せた。


「ナンダ……。ソノアツハ……キサマ、ソモソモニンゲンカ……?」

「さっき言ったであろう。俺は人間で、『魔王』だと」

「……」

「……」


 互いを見合う俺と魔剣、そこで数秒の沈黙が為される。

 静寂が空気を包み、辺りには吹き抜ける風だけが耳に入った。


 互いに、攻撃を開始する契機を見計らっている。

 もっとも効果的に攻撃を下せるタイミングを、見極めている。


 そして、時は来た。


「ッ!!」

「……!!」


 目の前の肉体が魔剣を振るい、俺はそれを手で受け流した。


 それだけ……ただそれだけで、周囲には凄まじい衝撃波と地割れが伴う。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「……」


 テディ、ミュー、エヴァの三人はそれぞれ放たれた衝撃波に対応するように態勢を低くしたり、飛び交う砂塵が目に入らないように腕で顔を隠したりしていた。


「ガハハハハハハハハハ!! 悪くないな!! 気分が乗ってきたぞ!!」

「ザレゴトヲ!! 『暗黒連斬ダークネス・トリビュード』!!」


 黒い闇を纏った剣を乱舞させる斬撃か!!


 俺はその斬撃の一つ一つを避け、時に受け流す。


「アァァァァァァァァァァァ!!!!」

「ガハハハハハハハハハハハ!!!! っらぁ!!」


 魔剣が振り下ろされ、地面に刺さった瞬間……俺はそれを踏み台として利用し魔剣が操っている肉体の頭部に回し蹴りを放つ。

 それを食らった頭部はゼンマイのようにぐるぐると首が回る。


「俺の勝ちだ!!」


 だがその首が飛ぶことは無かった。

 再び首が逆方向に同じ回数回転すると、首はすぐに元に戻ってしまったのだ。


「シネェ!!」

「何!?」


 魔剣が左手で手刀を繰り出す。

 俺の腹部に向かって突くように放たれた攻撃を俺はモロに食らうと後方へ吹き飛んだ。


「っとぉ……中々、良い攻撃ではないか。ゴフッ……」


 魔剣の攻撃は、貫通こそしなかったが俺の内部の臓器を破損させるには十分だった。


「『回復』」

「サセルカァ!!」

「っ!?」


 損傷個所を復元しようとした瞬間、息を吐く間もなく魔剣は俺との距離を詰めた。


「ハァァァァァァァァァァ!!!」

「……!!!」


 再び下される連撃、しかし負傷した俺は先程のように機敏に動けず、正確に攻撃を捌く事も出来なくなっていた。

 

 くっ……!! もっと回復に意識を集中させなければ……!!


 だがそれはこの状況では難しい話である。

 

 それに……!!


 俺は先程の攻撃で魔剣の肉体の凄まじい膂力と回復力を実感する。


 このままでは防戦一方、仮に攻撃に転じたとして俺はこの魔剣に勝てるのか……!?

 くそっ……!! 何という事だ!! この俺が魔剣程度におくれを取るとは……!!


 圧倒的な弱体化を被らせている呪いに俺は忌々しさを覚える。


「ハハハハハハハハハハ!!! サッキノイセイハドウシタ!!」

「五月蠅い!! 黙らんか!! 今考えている最中だ!!」


 なおも攻撃を止めない魔剣に向かい俺は堪らず叫んだ。


「バカカ!! ソンナコトヲイッテ、ジシンノクビヲシメルトハナ!! ソレ、サラニタタミカケテヤルゾ!!」


 魔剣は自身を振るわせる速度を上昇させた。



「ど、どうしよう……!! こ、このままじゃイブルさんが!!」


 先程の位置から、魔障壁に守られながらイブルの戦いを見ているアーシャは彼が押され気味になっている事に不安を覚える。


 ――その時だった。


「ん……んぅ……」

「っ!?」


 未だ意識の戻らないネスティが声を漏らしたのは。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

本作が少しでも気に入って下さった方は是非ブックマークや感想、広告の下の☆から☆☆☆☆☆→★★★★★というように評価などしていただけると幸いです!!

皆さんの応援に日々励まされています!!


※ブックマーク99件になりましたぁ!! 本当にありがとうございます!!

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