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異世界で俺は孤児になりました   作者: 睦月 霊華
8/15

ジーンの家族

 ガタッゴトッ


 俺は今、馬車に乗ってジーンの家族がいるという屋敷に向かっていた。


 人生初の馬車だ。嬉しい。そう、普通なら嬉しいはずだった。だが、俺は今、その嬉しさも感じないほど緊張している。


「レン。今からそんなに緊張してたらもたないぞ。リラックスだ。」


 ガチガチに固まっている俺にジーンは苦笑しているが、そんなことを言われても無理なものは無理だ。リラックスなんてできるわけがない。


「ジーンは少し黙っていて下さい。」

「あ、ああ。すまない。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


 やばい!きつく言い過ぎた!ジーンがシュンとしてしまってるやないかい! 

 ・・・動揺しすぎておかしな方便を使ってしまった。

 というか、今日のジーンはおかしい。俺の言うことに反論もせず大人しく従う。昨日のことを負い目に感じてるんだろうけど、俺からしたら違和感が半端ない。いつもの通りに接してほしい。


「ジーン。今日はどうしたんですか?いつもと何か違いますよ?」

「え、そ、そうか?い、いつもど、通りだ、だと思う、が、がな。ははは」


 ・・・・いや、全然いつも通りじゃないだろ!ただ質問しただけなのに何でそんなに動揺してるんだよ!おかしいだろ!


 だが、俺はジーンの様子がおかしいとは思いながらもそれ以上は追求しなかった。




 それからしばらくジーンの実家に着くまで、どちらも一言も話すことなく、息苦しい雰囲気が続いたのだった。はぁー。


✽✽✽


「レン!起きろ!着いたぞ!レン!」


 俺は何かに揺さぶられる感覚で目が覚めた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。


「おはようレン。起きて早々悪いがもう着いたぞ。」


 俺はジーンの声が聞こえてそちらに顔を向けた。


「おはようございます。ジーン。いつの間にか眠っていたみたいで、すみません。」

「いや、別にいい。それより早く行こう。母さん達のところに俺達がついたという連絡は言っているはずだからな。あまり待たせると後からが面倒だ。」


 後からが面倒って。それ母親に言う言葉じゃないだろ。だがまぁ、俺は利口だ。家族間の問題には絶対口を挟まない。


「はい。分かりました。では行きましょうか。」


 そう言うと馬車を降りて外に出た。


「…うわぁ。」


 俺は思わず声を上げた。今、俺の目には大きな屋敷が映っている。これがジーンの実家らしい。こんなでかい屋敷は日本でも見たことがない。


「ジーン様。おかえりなさいませ。お待ちしておりましたぞ。」


 俺が大きな屋敷に圧倒されていると、家の扉から白髪のお爺さんが一人出てきた。ジーンのことをジーン様と呼んでいるからおそらく使用人とか言うやつだろう。


「ああ。爺やか。久しぶりだな。」

「はい。お久しぶりでございます。」

「わざわざ出迎えしてもらって悪いな。」

「いえいえ。ジーン様と一番最初にお会い出来て、この爺は嬉しいですぞ。」

「そうか。」

「はい。そうでございます。して、そちらの子供がレン様ですかな?」


 俺はジーンとお爺さんが話しているのをボーッと眺めていた為、突然話を振られて驚いた。

 えっ?これどうすれば良いんだよ?

 俺は困ってジーンを見た。そんな俺の視線に気づいただろうに、ジーンはただ笑うだけで助ける気はないようだ。

 俺はジーンに恨みのこもった視線を寄越しながらも、取り敢えず自己紹介をすることにした。


「は、初めまして。爺やさん。俺はレン・サガラと言います。よろしくお願いします。」

「ほほほ。初めまして。レン様。私はこの屋敷で家令をしているジヤン・バーミリオンです。皆様からは爺やと呼ばれていますのでレン様もそう呼んでくださいな。では、そろそろ行きましょうかな。皆様お待ちですぞ。」

「はい。」


 自己紹介をするで正解だったようだ。爺やさん、改め、爺やも笑顔で自己紹介してくれた。ふぅ、良かった。第一印象は大事だからな。

 というか、ジーン酷くないか?

 いつも過保護なくせにこういう時は助けないのな。

 俺はジーンの評価を下げながらも爺やに案内されて屋敷の中に入った。


 屋敷の中は凄かった。天井の明かりが全てシャンデリアで、床や壁には俺の知らない宝石やら鉱物やらで出来ていた。

 場違い過ぎて、居心地の悪さすら感じる。

 

「ジーン様、レン様、こちらの部屋でございます。皆様もう既にお待ちになっておられます。」


 俺が屋敷の中をキョロキョロ眺めながら歩いている間に、目的地についたようだ。

 ジーンの家族は既にこの部屋に集まっているらしい。

 ヤバイ。おさまっていた緊張が、またぶり返してきた。ドキドキする。


「レン。入るぞ。大丈夫か?」

「はい。問題ありません。」


 ジーンが声をかけてきたので、俺は緊張を押し殺して、平気な素振りで答えた。

 

 ジーンはそれに頷くと、扉を開けて部屋に入った。俺もここまで案内してくれた爺やに頭を下げると、ジーンのあとに続いた。

 

「父上。ジーン・アーカー只今戻りました。」


 部屋に入ると、ジーンは右手を左胸に当てた体制で頭を下げて、挨拶をした。俺はジーンの突然の行動に驚きながらも、同じ体勢をとった。

 

 部屋の中には俺たちの他に五人の男女がいた。

 全員、縦長の机を囲むように席に着いており、いわゆる誕生日席というところには四十代くらいのダンディな男性が座っていた。そして、その左側には綺麗な女性とまだ幼い可愛い少女が座っていて、右側にはジーンより少し年上位のかっこいい男性たちが二人座っている。

 ・・・というか、何で全員美形なんだよ!いや、分かってたよ!?ジーンの家族なんだから美形だろうってことは!でもこれは酷くないか!?俺だけ場違い感が半端ないんですけど!?差別ですか!?


「ああ、よく帰ったな。ジーン。」

 

 俺が内心で荒れていると、四十代くらいのダンディな男性がジーンに話しかけた。

 この人がジーンの父親。……威圧感が半端ないな。これが貴族の当主という地位にある人か。凄い。


「ジーン。今日お前を読んだ理由は分かっているな?」

「……はい。承知しております。」

「そうか。…まったく、待ちくたびれたぞ。ジーン」

「はい。申し訳ありません。」

「ふっ。まぁ、いい。で、そこの子供がレンだな?」

「っ!?」


 ジーン達の会話をボーッと聞いていた俺は、話の中に突然自分の名前が出て来て驚いた。

 そんな俺の驚きには気付かないのか、ジーン達は会話を続けている。


「そうです。こいつがレンです。」

「そうか。聞いてはいたが、幼いな。確かまだ七歳だったな。」

「……はい。」

「・・・・・。」


 何かめっちゃ見られてるんだけど!?視線が痛いよ!?


「…レン。顔を上げたまえ。」


俺が内心でビクビクと怯えていると、ご当主様が声をかけてきた。

 まぁ、声をかけてきたって言うより、命令されてるって表現の方が近いんだけどね!

 俺は気を紛らわせるために内心で冗談を言いながらも、恐る恐る顔を上げた。

 

「まぁ!可愛い!!」

「へっ?」


 俺が顔を上げると、女性が何か叫びながら、突然立ち上がった。

 女性の突然の行動に、皆驚いている。


「エ、エリン?どうしたんだ?」

「どうしたもこうしたもありません!この子、とっても可愛いではないですか!あなたもそう思いますよね!?」

「え、あ、ああ。そうだな。」

「そうだな。ではありません!あなたもそう思うなら、何時までもレンを立たせておくのはどうなのですか?レンはまだ幼いのですよ?座らせてあげなさい!」

「あ、はい。……レン、席に座りなさい。」

 

 女性の勢いに、ご当主様はたじたじだ。ご当主様にここまで強気な発言をしていると言うことは、この綺麗な女性がジーンの母親で、ご当主様の奥様なのだろう。この会話を見ていると分かるが、いつの時代も夫は妻の尻に敷かれているんだな。


「失礼します。」

 

 俺は内心で失礼な事を考えながらも、促されるままに空いてる席に座った。


「ねぇ、レン。あなたは魔法に興味があるのよね?」


 俺が席に座ると、奥様が見計らったように尋ねてきた。


「はい。まだ習ってはおりませんが、興味はあります。」

「そう。……なら、私の元で学ぶ気はない?私は水魔法も使えるし、住む所も食事も全て用意してあげるから。」

「えーと。」


 俺は返答に困ってジーンを見た。

 俺的には、この前ジーンにあんな話をされているから、あまり積極的に魔法を習おうとは思っていなかった。しかし、俺が断るのはあまり良くないだろう。そういう思いから、ジーンに断って貰おうとしたのだ。

 

 ジーンは俺の視線に、少し考えるような素振りをして口を開いた。


「そうですね……。では、剣の稽古もきちんとする、と言うことであれば、俺は構いません。」


 ・・・ちがーう!!そうじゃない!そういう事じゃないんだよ!何で了承するの!?ジーン!

 

「ジーンはこう言ってるけど、レンはどう?」


 奥様は嬉しそうに俺に問いかけてきた。

 もう殆ど了承するって決めつけてないかこれ?それに何か断れない雰囲気だし。

 

「……俺も、構いません……。」 

 

 俺はもうどうとでもなれ!という、半分ほどやけな気持ちで頷いた。


「まぁ!!本当!?了承してくれて嬉しいわ!レン!では、早速明日から始めましょうね!」


 それに対して、奥様は大喜びしていた。

 

 俺も合わせた他の人が、若干引き気味だったのは余談だろう。


 


 そして、その翌日から、俺の魔法(ついでに剣術)の修行が始まったのだった。

 

 












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