第一〇回 教科書に欠けた視点
とうとう教科書にケンカを売る回数も十を突破しました。ヒスペディアです。前回は「オリエント世界の風土と人々」でヨーロッパの人々が「東洋」の認識を持つ経緯を見ていきましたが、今回もその続きからいきましょう。それにしても、教科書は相変わらず「東洋」の経緯を知ってか知らずか「神の目」で語っています。「神の目」である以上、事実を記載していることには間違いないのですが、当時の認識が抜けてしまっては、わかることもわからなくなってしまいます。教科書にはこうあります。
ティグリス川・ユーフラテス川流域のメソポタミアでは、前3000年頃から都市文明が栄えた。
ナイル川のめぐみをうける豊かなエジプトは、一時は異民族の侵入があったが、メソポタミアと異なり砂漠と海にかこまれているため、エジプト語系の人々が長期にわたって高度な文明を営んだ。
また両地方を結ぶ交通路にあたっていたシリア・パレスチナ地方は、メソポタミアにかけて、「肥沃な三日月地帯」を形成し、小麦やオリーブの栽培をおこなうとともに、セム語系の人々が地中海に交易に活躍した。
メソポタミア、エジプト、シリア・パレスチナ、この三地域を軸に第一章の第一節「古代オリエント世界」は進んでいくことを示しているのだが、ここでケンカを売る。
そんなこと言うたかて昔の人は知ってんのかボケ!?
教科書に出てくる用語はすべて、現在において通用する用語。つまり、当時を生きる人々に教科書の読ませたところで理解できるはずがない。そんな内容でもって、歴史教育が完成することなどありえるのだろうか。
「歴史の父」と言われる古代ギリシアのヘロドトス。紀元前5世紀に東はペルシア、西はアフリカ大陸のリビアまで旅をした彼が記録書として書いた『歴史』には彼の世界に対する認識が正直に書かれている。なぜなら、わからないものには「わからない」と書かれているからだ。世界中には予想できないような民族や文化が存在するが、ヘロドトスは驚きをそのまま文章にしているのだ。つまり、この教科書第一章の時代においては「神の目」で語らない歴史が存在したのだ。
次回からは、さまざまな地域を見ていきたい。
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