魔法少女33
「というわけで私引っ越しするから」
「いやどういうわけなの?」
「そういうわけだよ?」
「頼むから日本語で話してくれ」
私が引っ越し宣言をすると目の前に座っているお母さんとお父さんが頭の上にはてなを作り困惑した表情で私に失礼なことを言ってくる。
「ずっと日本語だよ?」
「そうか、お父さんの知らないうちに日本語は進化したようだ」
「みたいだね」
「...母さんどう思う?病院に連れて行った方がいいか?これ」
「...もう救急車を呼ぶところよ」
「待って、おかしい」
「「おかしいのは天の方だ!!」」
全く同じタイミングで両親に突っ込まれた。隣に座っている長官もあきれた目で私の方を見ている。
「...失礼、このままでは話が進まないので私の方から説明させていただきます」
長官が両親にはばれない程度に溜息を吐いてそう両親に切り出した。
「あ、はい申し訳ない御剣さん。急に娘の頭がおかしくなって困惑していたので助かります。」
「ありがとうございます。ではこちらをご覧ください。」
長官はそう言って資料を広げて説明しだした。すご、資料なんて用意してたんだ。長官すごいなぁ
「まず、私どもは所謂自衛隊と同じ管轄にいる組織になります」
...え?そうだったの!?それは本気で知らなかったよ!?さすがに私も知らない情報が初めから飛び出してくるとは思っていなかったので油断していた。何とかびっくりした表情を抑え込むことはできたけど...ちょっと気になるから私も資料しっかりと見ようっと
「詳しい業務内容は守秘義務等がございますので説明はできませんが正式に国に認められている機関であり、まぁ少し下世話な話になりますがかなりの高給取りになります。」
それはほんとにそう。下位クラスの境界の獣の討伐だけでもかなりの金額が振り込まれるからね。死んだら全部終わるけど。
「また、私どもの組織ではこうして今行わせていただいているように将来有望な学生の方々に積極的なスカウトを行っております。まぁ理由としましては人手が足らないという理由なのですが...」
「はぁ...一応そのあたりは天が説明してくれています。スカウトされた理由も...確か何かの試験結果で優秀な結果を残したからでしたか?」
「はい、その通りです。細かなスカウトの基準、方法などはこちらも守秘義務となるため詳しくはお話しできませんが簡単に言うと学校側からの推薦の面も強く存在しています。要するに学校側が私どもに推薦してくださり、天さんのような優秀な人材を迎えることができたのです」
「優秀...ですか?」
「はい、優秀です。だからこそ私どもも天さんにはその働きに見合った額をお渡ししています。」
おぉ、なんか褒められてる。ちょっとうれしいぞ
「確かにかなりの額だもんなぁ...」
まぁ、うんそれはほんとそう。こないだこっそりお父さんがお母さんに愚痴ってたもんね。天の方が俺より稼いでるって。
「だからこそ、私どもとしては高校在学中だとしてももう少し天さんのお力を貸していただきたいのです。」
「というと?」
「要するに私共が管理している社宅に引っ越していただきたいのです。もちろん今の高校に通うことができる範囲にある社宅にです。」
「...たしかに天も前から職場が遠いから時間がかかるって言ってたなぁ...」
...うん、嘘は言ってないよ?境界の獣が私の実感の近くに出現する可能性とかかなり低確率だから遠くに行かないといけないときが多いんだよね。あと魔法少女協会の支部もこの地区にはないし報告のために遠出しないといけないんだ。
「また...そうですね言い方が少し悪くなってしまいますが実家ではセキュリティ面での心配もあります」
「セキュリティですか?」
「はい、天さんは国のお仕事をしてくださっているので自然と重要な情報に触れることが多くなります。そのため...不埒な考えを持った輩に狙われる可能性もあります」
「...そんなにも危険な仕事なのですか?」
「...正直あまり肯定したくありませんが...そうですねとしか発言することができません」
「そんな...」
あらお母さんが心配そうに私の方を見ている。そりゃそうだ娘が危険な仕事をしていると言われて取り乱さない親なんて基本あまりいないだろうし。というか長官はどういうつもりなんだろう?なんでわざわざ心配を煽ってるの?
「天さんが今現在行っている業務内容ではそこまで重大な項目に触れることはないのですが、これから天さんがキャリアアップをしていくためにはそういった機密事項に触れていかなばなりません。ですので私がこちらに参ったのです。天さんの素晴らしいお力を国のために遠慮なく発揮できるようにするために」
あーそう攻めるのか。たしかにそれなら今の時期に引っ越しするとかいう意味の分からないことにもギリギリつじつまが合う。ホントにギリギリだけど。多分大多数の人にはなんでそんな仕事学生にやらせるんだってバッシング受けると思うし
「ーーー天は今の仕事を辞めるつもりはないのか?」
「え、うん全く」
正直異世界に行く前だったら全然辞めたかったけど...今は違う、忘れたくないこと、残したいことが増えたんだ。
「そっか...ならお父さんは何も言わない。ただ実家には一か月に一回でもいいからしっかりと帰ってくること、それと大学も出ること。これが条件だ」
「...お母さんも同じ意見よ。天が初めて自分からしたいって言っていることだもの...応援する、寂しいけどね?」
「うん、ありがと頑張るよ」
「ご理解感謝します」
長官はそう言って私の両親に頭を下げた。
時間はお昼を少し過ぎたころ、私は長官と一緒に駅に向かって歩いていた。
「で、長官私と優君と朱音が住む家ってどうなってるの?」
「あぁ...何件か候補があるので後日皆で見に行くといい。住所は君の携帯端末に送っておく決定したら教えてくれ。」
「はーい」
私は元気よく手を挙げてそう答える。いやぁほんとに至れり尽くせりである。とりあえず朱音に連絡しておこう
「それにしてもかなりスムーズに話が進んだな。もう少し抵抗感を示されると思っていたぞ」
「あー、うちの両親は私のことかなり信頼してますし何より長官にビビッてましたからね」
いやぁ昔から両親の期待にこたえ続けていた成果だね。私これでもかなり頑張り屋さんなんだ。勉強運動ともに超優秀なんだよね。風ちゃんの天才レベルにはかなわないけど。まぁあの子はまた別次元か...
「それにしても長官、いつの間に資料なんて用意してたんですか?」
資料とかあってびっくりしたよ。初めて見たし
「あぁ、これかこのように魔法少女の両親に説明する際に便利だからな、昔からあるぞ」
「ほへ~、それは知らなかった」
「日本人はこういう紙媒体に弱いからな。便利なんだ」
「便利」
確かにそれはそうかも?
っとそんな感じで長官とお話してたら朱音から電話がかかってきた。
「ごめんなさい長官ちょっと電話に出ますね?」
「あぁ、かまわない」
長官にそう言ってから電話を取る。
「もしもし朱音どしたn「天ちゃん!!私の家の近くのスーパーに来て!!境界の悪魔が現実世界で暴れてる!!」
は?
今なんて
「ーーー長官!!」
「聞こえていた!!すぐに協会側に連絡を入れる!罠の魔法少女はすぐに現場に急行!!ついでに道案内を頼む!!」
長官はそう言って胸元から出したスマホを操作し連絡を入れている。
「変身は!?」
「ーーー許可する!!」
「了解!!」
私はその言葉を聞いて即変身し朱音の家方面に向かって走る。正直私の魔法少女服は露出度がバカみたいなので境界の中じゃない現実世界を走るのは恥ずかしいがそんなこと言っている場合じゃない。ちらりと後ろを見ると長官がしっかりと変身し各所に連絡を取りながら私にぴったりと並走している。
「罠の!電話はまだつながっているか!?」
おっとびっくりしたぁ。長官声が大きい!
「はい!」
「よろしい!朱雀!!被害状況を教えろ!」
「ーー負傷者多数!!境界の悪魔の数10を超えています!現在優君が戦闘中!私は民間人の護衛についています!!」
「正しい判断だ!!貴様の魔法は規模がでかすぎる!そのまま護衛に専念しろ!すでに協会には連絡を入れている。すぐに魔法使い部隊が向かうはずだ!それまで民間人を頼む!死者だけは出すな!」
「了解!!」
「罠の!通話はつないだままにしておけ!」
「了解!」
「くそ、何が起こっているんだ...」
長官はそう言って顔をゆがめながら私の後ろをついてくる。
「長官!現場まで残り五分です!」
くっそ、遠い!ってそうだ!私よりも早くて正面からも戦闘できる心強い味方が私にはいるんだ!
「長官!使い魔を先行させます!」
「ーー許可する!!」
その言葉を聞いた私はすぐさま腕に向かって魔力を流す。
「シロ!!お願い!!」
そう声をかけると腕にある紋章が輝きシロが現れた。そしてちらりと私の方を見た後匂いを嗅ぐ動作を見せた瞬間すさまじい速度で移動を開始した。
「すさまじい速力だな」
「そりゃ自慢の子なんで!」
頼むよ!シロ!
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「樹龍!!」
師匠の教えの通り一瞬で体の力を抜き脱力させ樹龍を放つ。ザシュ!と嫌な感触がした後目の前の境界の悪魔が真っ二つに切れる。
「樹狼!!」
斬って捨てたやつは邪魔なので前蹴りで吹き飛ばし、右から襲い掛かってきた境界の悪魔に向かって樹狼を放つ!上段の斬撃は黒い禍々しい爪で防がれるが下段からの斬撃を防ぐことができなかったようで切れた感触が剣越しに伝わってくる。
「や、やめろおおおお!!!」
悲鳴!?逃げ遅れ!?バッと顔を悲鳴が聞こえた方に向けるとそこには今にも殺されそうなおじさんがいた。俺はすぐさま第三の技を行使する
「樹鷹!!」
全力で踏み込み境界の悪魔に向かって神速の突きを放つ。境界の悪魔の胴体をしっかり貫きおじさんへの攻撃を中断することに成功した。クッソ、まだ技の練度が足らない!師匠なら俺みたいに移動なんてしなくても突きを飛ばして境界の悪魔に特大の穴をあけるくらいできていたはずだ!
「燃えろ!!!」
そんな事を考えながら刺した境界の悪魔を燃やす。ゴオォ!!!とものすごい炎が教会の悪魔を燃やす。
「次だ!!」
急げ俺!境界の悪魔はまだまだいる!強さ的には初めて戦った境界の獣であるあのクソ狼と同じくらいだが現れた数と場所がやばすぎる!ほんとはクロにも手づだってもらいたいがクロは鼻の良さを利用して崩れた建物から人を見つけ救助するようにお願いしているのでここは俺が単独で何とかするしかない!くっそきつい!!
「てかなんで市街地に出てきてんだ!!」
俺はそう言いながら次に目に入った境界の悪魔に斬りかかった。




