魔法少女26
「さて、長官私懲罰部隊の宿舎に入ったのなんて初めてだからどこがどの部屋なのかわかんないんだけど」
「そうか、奇遇だな朱雀私もだ」
おっと、まさかの発言ですね。長官が先陣を切って宿舎の中に入ってくれたので案内してくれるのかな?って思ってたよ。ほら周りのみんなも「え?マジで?」みたいな顔してるんじゃん
「ということは一つずつ部屋を確認していくしかないの?」
うげぇー、とめんどくさそうな顔をしながら風ちゃんが長官に向かってそう尋ねる。って風ちゃん?せっかくの美人さんが台無しになるような顔はやめようね?ほら舌なんか出さずに
「そうなるな、が教会内の建物はある程度作りが似ている点がある。例えば3階に会議室やその建物で最も権力を持ったものがいる執務室などがある。」
「ってことは重要な書類とかは三階にあるってこと?」
「基本、そうなるな」
ほー、そうなってたんだ。私あんまり魔法少女協会に顔ださないから知らなかったや、よく協会に顔を出している弓の魔法少女は知ってたのかな?と思い横目で確認すると初めて知った...みたいな顔をしてた。うーん普段が無表情のジト目だから表情の変化が分かりやすいな...
「じゃ、とりあえず三階いこっか?」
私がそう言って階段かエレベーターをだがそうとすると涼ちゃんが手を挙げた。
「すみません長官、私と風ちゃん、白羽ちゃんは念のため二階の確認に行かせてください」
「ふむ、許可するそちらは任せたぞ」
おろ、涼ちゃんの案がすんなり通った。ってあーたしかにそっちの方がいいか
「え?なんで?みんなで三階いこーよ、そっちのが絶対楽だって」
その提案を聞いた風ちゃんがなんで~?といった感じで涼ちゃんに抱き着きながら質問してる。
「念のためよ風ちゃん、二階にもまだ敵はいるかもしれないからね、逃がしたら大変よ?」
そうだね、その通りだ。私たちは比較的楽に倒せる境界の悪魔...いや境界の悪魔もどきははじめから現実世界にいたので境界から出てくることが基本出来ないほかの境界の獣、悪魔と違い自由に現実世界で暴れられる。となると一人でも逃がしてしまえば...うん大惨事だ。
「た、たしかに!って涼と弓の人が倒した悪魔たちの監視もだいじなんじゃないの!?魔力切れたあの二人に任せて大丈夫!?」
「あぁ、それは心配いらない、魔力が切れていたとしてもあの二人はそれなりに戦える。さらに何かあったとしても私たちが窓から飛び降りて対処すれば問題ない」
「お、思ったより脳筋な解決方法だった...」
「まぁ、奴らにはもうすでに抵抗する意思など存在していなかったさ。あれはもうすでに心がおられている」
...目が死んでたもんね。元同僚の死体を見て吐いてる人もいたし。いやまぁそうなっても文句はない裏切りう行為をしてるから同情なんてしないけど、むしろ全員死んでてほしかったからね
「と、階段が見つかったな。では二階は空、呪い、弓の三名、三階は私、焔、氷で行く。いいな?」
「「「「「了解!」」」」」」
その声掛けとともに私たちは二つのグループに分かれた。
「さて長官、どこから調べていく?」
三階についた後私はあたりをきょろきょろと見渡しながら長官にそう質問した。今のところ魔力を探っても大きな魔力は感じられないので下手人は逃げているような気がするが、さすがに何かしらの手がかりは見つけたいところである。
「...そうだなとりあえず、この部屋だな」
長官はそう言って大きな扉がある部屋の前で止まった。私と瑠華ちゃんも歩いてその部屋の前に移動する。ん?なんか違和感?なんだろうこれ私の直感がここだと叫んでるね、目の前に来て初めて気づいたよ、さすがは長官よく気付いたね
「長官殿、この部屋はなんの部屋なのだ?」
あら、瑠華ちゃんはさすがに気付かないか...まぁしょうがないこういったやばいことやもの、場所に対する嗅覚は長年魔法少女を続けていないと身につかないし。
「なんとなくだ、では入るぞ」
「長官言葉が足らなすぎでしょ...瑠華ちゃん、簡単に言うと長年魔法少女している人の直感ってやつだよ」
ちなみにここで長官に向かって魔法...『少女?』とか聞いたらだめだよ?殺されるから
「なる...ほど..?理解した。質問に答えていただき感謝する」
んー、まだまだ堅苦しいなぁもう少し気楽に話してくれてもいいんだけど...まぁしょうがないか、一応長官て言う偉い人もいるし緊張するのも無理ないよね。
そんな感じで私が瑠華ちゃんに説明していると長官が扉を開けようとした瞬間扉の向こう側から急に嫌な感じが倍増した。
「...少し、下がれ」
「瑠華ちゃん戦闘準備」
「了解した...」
明かに何かがいる、それもかなり強いさすがにこれだけの圧力が出ているので瑠華ちゃんも気が付いたのか長官の声が聞こえる前にすでに刀を顕現させ戦闘態勢をとっていた。
「九刀陣 葬窮」
長官が自身の周囲に八本の刀の顕現させ自身の手に持っているもう一本の刀と合わせ九本の刀で扉を全力で切り裂いた。
「ちっ、逃がしたか...」
「うん、逃げられたね」
長官が扉を切り裂いた際、部屋の奥の方に人影が見えたけどすぐに消えた。転移魔法かな?さてどこに転移したんだろ...お、後ろか、ベタだねぇ
「クソガキどもが!!!」
そう言って私たちの後ろに転移した敵は瑠華ちゃんに向かってナイフをもって斬りかかってきた。はは、おそらく一番小さいから弱いって判断したんだろうけど...
その子近接戦だと化け物だよ?
「疾っ!!!」
瑠華ちゃんは意味の分からない速度で抜刀された刀は敵の腕を切り落とした。うっわやっば...早すぎてあんまり見えなかったや。それにしても銃の魔法少女はいい弟子を育ててるねぇ...この子確かまだ魔法少女になって日が浅いはずなのに上位ランカーと遜色ないレベルで強いじゃん
「ほう...」
ほら、長官が今の抜刀術をみて興味深そうにしてるじゃん、あーあ瑠華ちゃんもかわいそうに、長官から強い認定を受けたら面倒な境界の獣討伐を割り振られることになるよぉ~?
「くそ!くそ!!くそが!!!なぜこの部屋が分かった!!」
おー、すっごい怒ってる。なぜ?そんなの決まってるのにね?私の彼氏に手を出したからだよ
「だが!!少し遅かったな!もうすでにこの建物は用済みだ!必要なものはすべて転移させた!」
あ、はいそうですか、ならこいつ生け捕りにしていろいろ聞きださないとね、転移させた先とか
「最後の仕事であった意味の分からない男の処分も完了したのだ!もうこのような組織に籍を置く必要はない!残念だったな!」
なんか、すっごい色々しゃべってくれるな...完全にテンションが振り切ってるよ、うーん?魔力酔いとかかな?そんな感じがするなぁ。というかあまりにもぺらぺらとしゃべるせいで長官から私に向かって今は気持ちよくしゃべらせろっていう雰囲気がひしひしと伝わってく......ん?意味の分からない男?
「ちょうど運よく罠の魔法少女も処分することができたからな!最高の結果であったとおほめいただけるぞ!!」
「…」
「朱雀」
「ーー無理」
長官は私の方を見てやめるように短く声をかけてきたが...無理だ、こいつは半殺しにして優君たちの情報を吐いてもらう。
そう決めて殺意を高ぶらせていると瑠華ちゃんが一瞬だけ私の方を見てウインクしてから目の前の男に声をかけた。
「処分?とはどのように処分したのだ?」
「なんだ?そんなもの決まっているだろう!!転移魔法さ!!あの方々からいただいた座標を頼りに適当に飛ばしたのさ!奴らはもう、戻ってくることはできないだろうよ!!」
「は?」
「この世界のどこかに飛ばしたのではない!全くの別の世界に飛ばしたのだ!今頃もう死んでいるかもなぁ!!!」
「ふざけーーー」
瑠華ちゃんがその言葉を聞いて怒鳴る。
別の世界?もう帰ってこれない?優君と会えない?
私はその言葉を聞き呆然と立ち尽くしてしまった。奴を倒すためにためていた魔力が霧散していくのを感じる。
瑠華ちゃんはその言葉に顔をゆがめ男に向かって斬りかかろうとしたその時、私の直感が全力でアラートを鳴らした。
すでに長官も何かを感じたのか動き出しているが、私は力が入らずその場から動くことができない。だめだ動かせ、泣くな、そんな暇はない、身を守れ、優君に生かしてもらった命を守れ、優君の師匠をしてくれた瑠華ちゃんを守れ、まだ優君たちが死んだわけではないんだ、諦めるな
「朱雀!!氷の!!身を守れ!!奴は自爆魔法を仕掛けられている!!!二階にいる魔法少女!!!聞こえるか!!すぐに防御魔法を展開しろ!!」
長官が必死の形相で二階にいるみんなにも聞こえるように魔力で全開に強化したのどを使ってそう叫ぶ、あぁやっぱりろくでもない魔法が発動されようとしていた。いまだに自爆魔法を仕掛けられている当の本人は気付いていないが、少しづつ体が膨張していっている。魔力も意味がわからない量があの男の中心に圧縮されて行ってるのが分かる。
逃げないと、防御しないと、そう頭では理解しているのに体が
動かな...
「ーーいや、なにしてんの朱音?」
「え?」
ゆうくんの声?
私はこの世界で一番大好きな彼の声を聴いて、すぐに振り返る。
「やっほ~、今帰ったぞ」
優君が私に向かって手を振っていーーーーー
ドガガガアアアアアアアアン
自爆魔法が炸裂した。けど、衝撃が来ない?音だけ?
「あっぶないなぁ、ぎりぎり間に合ったよ...」
慌てて自爆魔法が発動された地点を見るとその周囲に結界が展開されていた。なに...あの結界...自爆魔法を完全にシャットアウトするレベルの結界?そんなの見たことない...
「どーお?優君、師匠考案、魔法と魔術を組み合わせた新技『絶対障壁』、完璧でしょ?」
「うん、すげぇっす天ちゃん...俺の出番がなかった...『焔鬼ノ腕』出してたのに...」
「あ、ごめん優君...」
「いや、全然いいよ...」
目の前で優君と天ちゃんが仲良くお話してる?
それを見て私は黙って自分のほっぺたをつねり引っ張る。
「いふぁい...」
夢じゃない、ってことは!
「ゆう...君?」
「おう、朱音!君の愛しの彼氏が帰還したぞ!」
あぁ、優君だ。いつもの優君だ。私は駆け足で優君のもとに駆け寄る。抱きしめたい。ホントに帰ってきてくれたのか確かめるために全力で抱きしめたい
「お、かもん朱音!」
優君は私のそんな気持ちに気づいたのか腕を広げてくれた。
「...」
けど
急に優君の前に出てきた天ちゃんが私に抱き着いてきた。まるで優君に私が抱き着きに行くことを防ぐように
「ーーただいま、朱音」
「え、うんおかえり天ちゃん」
ホントは優君をぎゅっとしたかったけど天ちゃんも無事に帰ってきてくれてほんとうにうれしいのでぎゅっと天ちゃんを抱きしめる。
「よかったぁ...ほんとうに...よかった」
「ごめんね朱音...」
天ちゃんは私の頭をなでながら泣いている私を慰めてくれる。
「あれ、俺のこの広げた腕はどうしたら...」
「私が行こうか?弟子君」
「え、よろこんd...嘘です、何にも言ってないです」
優君が堂々と私以外の女の子を抱きしめようとしていたのでついにらみつけちゃった。ってあれ、なんで天ちゃんも優君のこと怒るような目で見つめてるの?
あ、もしかして彼女である朱音を差し置いてそんなことするなって怒ってくれたのかな?あはは天ちゃんは相変わらずいい子だなぁ...
私は世界で一番大好きな彼氏を見つめながら、世界で一番仲がいい親友を抱きしめつつそう思った。




