最終話 第124話 俺たちは歩み続ける。これまでも、ここからも、仲間たちと一緒に、未来へ向かって――。
「ただし1つだけみんなに覚えていて欲しいことがある! こうして移転が成功したのは俺たちの力だけではなく、ここにいるエスコルヌ女子爵をはじめ、商人ギルドや飲食ギルドといった多くの人々の力があったからということをだ! 俺たちは多くの助力を得てこの移転を成し遂げた! それだけは忘れないでほしい! 俺からは以上だ! 解散!」
本当はもっとあれこれ言っておきたいことはあるし、最大の功労者であるエスコルヌ女子爵にも一言いただきたいところなのだが。
いかんせん、こいつらときたら長い話が大の苦手と来た。
既に俺の話の最後の辺りで集中力を切らし始めている奴らが何人もいたので、この辺りでサクッと締めるのが正解だった。
みんな話を聞くのは苦手だが、冒険は大の得意だからな。
なんてことを考えている間にも、冒険者たちは次々と広間を出てある者はクエストへと向かい、ある者は練習場へと向かい、ある者は買い出しへとそれぞれ動き出していく。
退出していく冒険者たちを見守っていると、クイクイッとエスコルヌ女子爵が俺の袖を引いてきた。
「移転が完了してやっと肩の荷が下りましたわね」
「クラリスにもいろいろ迷惑をかけたな。ありがとう。クラリスの最初の申し出がなければ、今の俺たちはなかったよ」
お世辞でも何でもない。
あの日、あの時、あの場所で冗談交じりに言われたギルド移転の話。
あれがなければ俺たちは今なお、サー・ポーロ士爵に甘い汁を好き放題吸われ続けていたことだろう。
「いえいえそんな、決めたのも実行したのもフィブレ様ですわ」
「謙遜しなくてもいいさ。それにそれだけじゃないぞ。その後も俺にはわからない難しいことは全部クラリスがやってくれた。ライオットさんとの交渉だってクラリスがいなければ早晩、行き詰まっていたと思う」
感謝の気持ちを示すべく、俺がクラリスの手を両手で優しく包み込むように握ると、
「フィブレ様のお役に立ててよかったですわ」
エスコルヌ女子爵はどこまでも俺を立てながら、素敵な笑みを浮かべたのだった。
「クラリスの笑顔が曇ることが決してないように、俺も全力で頑張るよ。だからこれからも俺を支えてほしい」
「ええ、もちろんです」
そんなやり取りをしていると、今度は反対の袖をリーリアがクイクイと引いてくる。
「フィブレさん、私もがんばりました!」
エスコルヌ女子爵に対抗してアピールするかのような姿は、なんとも微笑ましい。
「もちろんリーリアも俺の右腕として頑張ってくれたよな。それに命だって助けてもらった。あの恩は絶対に忘れない。リーリアのことも絶対に幸せにするからな」
言いながら俺が頭を撫でてやると、
「えへへ、はい!」
リーリアは目を細めながら満面の笑みを浮かべたのだった。
そして話している間に、広間には他の冒険者たちの姿はなくなっており、残っているのは俺たちだけとなっていた。
「さて、俺たちも行くか。移転作業で滞っていたクエストも多い。俺もクエストに出ないといけないかもだし、またしばらく忙しくなるぞ」
移転が完了したということは、つまり新しい冒険者ギルドが動き出すことに他ならない。
違う意味でまた忙しい日々が始まるのだ。
「ぶっちゃけクエストはかなり溜まっていますもんね。わたしも頑張らないとです」
「とは言いましても、さっきの皆さんのモチベーションの高さを見れば、そう遠くないうちに通常の状態にまで戻せるのではありませんか?」
エスコルヌ女子爵の意見はもっともだった。
「ああ、そこは多分、期待以上にみんな働いてくれるはずだ。なにせ今までよりも報酬割合が1割高いからな」
「皆さんのモチベーションがアップして当然ですよね」
「今まで稼げなかった分も、みんなにはガンガンクエストをこなして、ガンガン稼いでもらわないとだ」
ちなみに3人目の妻たるシノビはこの場にはいないが、しかし呼べば即座に現れるだろう。
あいつはそういう奴だ。
この前どういうからくりか聞いたんだが、一族の長に伝わる秘術ですとだけ返ってきた。
試しに呼んでみたい気もするが、あいつも暇じゃないだろうから邪魔をするのも申し訳ない。
俺が歩き出すとエスコルヌ女子爵とリーリアも同じように歩き始める。
もう俺たちを妨害するものはいない。
だから俺たちは歩み続ける。
これまでも、ここからも、仲間たちと一緒に、未来へ向かって――。
【長編version】ギルド移転物語~ギルマスの俺、交渉でウエメセ貴族にさんざん足元を見られてきたので、ギルドを隣町に移転することにした。うちの経済効果のでかさを舐めんなよ?
―完―
20万字という長期連載を最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
ウエメセ貴族を見事にざまぁして、貴族となり、新ギルドがスタートです!
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そして新作ラブコメがスタートしました~!
お小遣い月1000万円の親ガチャSSRの俺が【お嫁さん検定1位】の美少女を買ったわけ。「町工場の乗っ取りとか、俺が絶対にさせないから」
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