23話 新たなる栄光
数日後、ユナリア公国付近に展開していた帝国の前線基地が次々に帝国の旗を掲げなくなり、弧を描いた竜の旗へと変わっていった。
ラーバスと言う帝国領で大きな動乱があり、そこにあった古城は瞬く間のウチに弧を描いた竜の旗で埋め尽くされ、大陸中が揺らいだ。
ラーバス王国の建国だった。国王はレスト・ヴィズ・トリスタンと名乗る青年で、たった3日で法を創り、ユナリア付近の基地を手中に収めた。
トリスタン帝国から使者が遣わされたと聞くが、レストは耳を貸すことはなく、ただ帝国を吸収し、国を創り、守りを固めた。
一方、ユナリアにも変化が起きた。
一つはラーバス王国から使者が遣わされ、同盟の話しを持ち出してきたことだった。それにより、ユナリアは護られる形になったが、帝国からの攻撃は当分無くなるのであろう。
もう一つは英雄が去ったことだ。ユナリアの危機を救った怪盗フェンリルは体が動かせるようになり、誰にも気づかれることなくその地を去った。彼の置き手紙には「また戻ってくる」とだけ書かれており、それ以上のことは分からなかった。
そしてユナリア軍が頼りにしていたエルド率いる傭兵団は契約を果たしたといい、軍を抜け、何処かへ去って行ってしまった。
これは単なる風の噂だが、ユナリアを去ったエルドの傭兵団は解散が告げられ、各々がバラバラに自分の傭兵稼業に戻ったそうだ。最強と謳われた傭兵団はちりぢりになり、傭兵王はその行方を眩ませた。戦いに飽きたのか、君主に飽きたのか、元の生活が恋しいのか、それとも何か思惑があるのか、それは定かでは無い。
歴史に刻まれる光の英雄の名と刻まれることのない影の英雄の名、影の英雄は人知れず名や姿を変え、いつしか歴史に刻まれる。
少しずつ変わって行く世界、時の歯車は止まることなく周り、世界も動く、時は巡り、季節さえもが移り変わる。変わらない物など無い、正義の道か、混沌の道か、王道か覇道か、光か影か、どんなに小さな力でも諦めなければ思いは大きくなり、いつしか大きな力となる。世代を重ねて歴史が穢されても、栄光は消えることはない。




