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第16話 不穏な歓迎会に登場? 紅蓮の悪役令嬢


 タッタンッタ~タ~ッタッタッタ~ッタッター……


「ゴホッ……この曲は……あれですか?」


「どうしたの? シン君。大丈夫?」


「え、ええ。大丈夫です。アレクシア」


 ぼう人気 RPGドラちゃんなんちゃらに似た曲が楽団の演奏から流れて来てついつい吹き出しちゃったよ。


 何で悪役令息の弟と持つ御兄様サギールの登場曲がこれなのさ。普通。悪役が登場する時の登場曲とかじゃないのかい?


「ハッハッハッ! 急遽とはいえ。これ程までに俺の帰還に集まってくれるとはな。時期セイフライド領主であるサギール・セイフライドが感謝してやろう。領民達よ」


 ………何だい? あの金髪のおデブチャンは? 何であんな肥満な人が僕の御兄様の名前を名乗っているんだい?


「たしかサギール様がご帰還は……5年振りくらいですかな?」

「……だいぶ成長成されたというか。変わり果てましたね」

「そして、その隣のお嬢さんがサギール様の恋人ですか? まだ年端としはもいかないではないですか」


 急遽開かれた歓迎会に集まった人達(半分位は御兄様サギール派閥)の人達がザワザワしているよ。


 無理もないよね。あの金髪ブーちゃんが僕の実の御兄様だってんだからさ。あー、まだ大笑いしてるよ。歯抜けもあってばんでいるね。汚いね。


 どんな飼育方法を間違えたら正統進化から外れてスカモンに進化するんだろうね? 


「何だ? 俺が帰ってきた嬉しさで言葉もでないのか? そうかそうか。俺がこのセイフライド領地の当主になったあかつきにはお前達を皆取り立ててやる。今のうちからびへつらえよ。お前。ハッハッハッ!」


 お父様が直ぐ近くにいるのに凄い事を言い始めたね。あの金髪ブーちゃん。


 お父様はお父様で怒りを通り越してこめかみに手を置いてあきれ果てているよ。


 サギール・セイフライド。悪役令息僕シン・セイフライドの実の兄で。


 歳はたしか………8~9歳位離れてたかな? だいぶ会っていなかったから忘れちゃったよ。


 《乙女達は男装乙女に恋をします》のゲーム内ではシン・セイフライドと並ぶ悪役として男嫌いのアレクシアと対峙するルートが幾つかあって。


 成長したシン・セイフライドみにくいお家騒動を巻き起こしてお父様を始めとしたセイフライド領地の登場人物達のことごとくを不幸にしていくキャラクターでね。


 優秀過ぎるあまり傲慢不遜。公爵家という高い地位の為。逆らう人もいないせいで好き放題する……生前の記憶を思い出さないで成長したら僕もきっとそうなっていったんだろうね。


 だけどもだけど~! 何だか可笑おかしいね~! 


 お父様似の金髪イケメンに成長する筈の御兄様サギールが。金髪ブーちゃんに突然変異メタモルフォーゼしちゃってるよ。見る影もないブーちゃんにさぁ。悲しいね。


 髪もあぶらぎってるし。毎日お風呂に入ってるのか疑問なんですけど。


 ……それにしても。御兄様サギールのあの成長。まさかこれも運命力的なにかが作用しているのかな?


 僕は生前の記憶を思い出して嫌われる筈のアレクシアとこれまで1度も喧嘩をせずに良好な関係を気づいている。


 原作では。ゴーブ君との森でのイベントでアレクシアは男嫌いになって男装を好む筈が。超絶美少女街道筋まっしぐら。可愛い女の子として成長している。


 ……その原作とは違うシナリオのゆがみの余波よはがサギール御兄様をあんな肥満体型に変えたって事なのかな?


「まぁ、運命力とか作用しようがしまいがどうでも良いんですけどね。僕とアレクシアに被害がなければ」


「……私とシン君が?……どうしたの?」


 アレクシアが不思議そうな表情で僕を見詰めているよ。可愛いね。御兄様サギールを見て汚れたまなこが浄化されていくよ。ハァハァ。


「いえ。何でもありませんよ。それよりもそろそろダンスが始まりますから一緒に踊りましょうか。アレクシア」


「うぅぅ……でも上手く踊れるかなぁ?」


「はい。僕がエスコートしますから大丈夫ですよ。貴女には僕が付いていますからね」


「シン君がいつでも?……うんっ! 頑張ってみるの~」


「ええ。少しずつで良いんですよ。少しずつで……貴女はいずれ最強になれるですからね」

 

 《乙女達は男装乙女に恋をします》で最強キャラはアレクシアだ。それは間違いない。だけど今は成長段階。


 ……彼女はシン・セイフライドの宿敵で殺される《首チョンパ》されるかもしれないけど。最押しの娘でもあるんだ。


 この娘にはなるべく良い未来を歩んでほしい。いずれ僕かこのアレクシアの元から居なくなった後でもね。


 そうして僕とアレクシアは御兄様サギールのお喋りなんて無視して楽団の演奏に合わせて踊り始めた。


「シン様。アレクシア様~! 2人の世界に入らないで下さい~! レイラも。レイラもその中に入れて下さい~!」


 アレクシアとそんなロマンチックなやり取りをしていたら。横からレイラちゃんがやって来て僕達に抱き付いて来てダンスを妨害されちゃったよ。


 そんなに僕にアレクシアを取られるのが嫌だったのかな? 良いね良いね。前よりもアレクシアとレイラちゃんの仲が進展しているようで最高じゃないか。ハハハッ!



 御兄様サギールは今日の主役が自分だと思っている様で。かれこれ30分程は1人でアリス魔法学園での武勇伝や王都でのきらびやかな暮らしを自慢気に一人語りしていたよ。


 その間も僕、アレクシア、レイラちゃんは交代交代でダンスを楽しんでいるよ。何故か僕だけは休ませてもらえず。2人に交互にダンスさせられるんだ。不公平だよね?


「ハッハッハッ! そして、俺はクラフトラルク国の魔法使いから1本取ったのさ。凄いだろう?」



「自分語りが過ぎないか?」

「クラフトラルクの魔法使いから1本? 決闘をしたという事か?……違法決闘だったならば国際問題になるんじゃないか?」

「取り入る息子を間違えたか? いや。弟の方も剣術狂いの野山を駆け回る悪童と聴く。セイフライド家の未来は暗いな」


 シン・セイフライドが近くにいるというのにわざわざ僕に聴こえる声でひそひそ話をする小貴族の人達。


 うんうん。良いよ良いよ。どんどん僕の評価を下げてね。そうすればいずれはお父様か家を継いだ御兄様サギールにセイフライド領地から追い出されるんだからさ。


 そうすれば。僕は自由。辺境でスローライフを送って余生を楽しませてもらう予定だからね。


「この隣にいる愛らしい淑女こそが。俺の恋人。リゲイン王国軍部に何人もの名将を輩出し続けている名門貴族スカーレット家が1人娘。ホロウ・ローズ・スカーレットだ」


 ……はい? お兄様サギールは今なんて言ったんだい?


「私はホロウ・ローズ・スカーレットよ。今日は私達の為に集まってくれて感謝するわ。よろしく」


 僕はその名前フルネームを聞いて驚いた。


 ホロウ・ローズ・スカーレット。《乙女達は男装乙女に恋をします》の三大人気エロインの一角。軍事家系赤髪ツンデレ悪役令嬢にして……ゲームの世界ではシン・セイフライドの恋人って設定なんだ。


 首チョンパされる予定の僕に心酔する程の愛を捧げるんだけど。ゲーム内で僕が行っていた悪逆行為を徐々に知っていってしまいだんだん心がんでいく。だけどホロウは恋人である僕を一生懸命理解しようと……必死に愛そうと努力する。


 その病んでいくホロウの前に。同じ様に心の傷を負わされた主人公アレクシアが現れてどんどん仲を深めていき。真実の愛とは何かを2人で考え始める仲を深めていき。


 最後にはリゲイン王国を滅ぼそうとする僕に見捨てられ精神崩壊寸前まで落ち詰められるんだ。そこに颯爽さっそうと現れたアレクシアに僕は首チョンパされ人生終了。


 恋人シン・セイフライドを殺されたホロウはアレクシアに憎悪を向けるんだけど。


 生前にゲームの僕が行っていった悪行を知ったホロウはアレクシアへの憎悪も薄れていき。やがて2人は真実の愛で結ばれてね。


 無事にアリス魔法学園の恋が成就する木の下で告白し合い。ニャンニャンし合い無事に幸せエンドを迎えるんだけだ……この世界リアルだとシン・セイフライドの恋人じゃなくてお兄様サギール・セイフライドの恋人になっているんだね。なんか複雑だよ。


 てっ?! 恋人? たしかサギールって僕と8~9歳位歳が離れていて。ホロウは僕と同い年……金髪ブーちゃんのお兄様に新たな属性が付与されてしまったよ。ロリコンと言う新たな属性がさ。


「何と? あのスカーレット家のご令嬢が恋人とは」

「だが。いささか歳が離れすぎているのでは?」

「貴族社会で歳の差の婚姻など良くある事。それよりもセイフライド家とスカーレット家が懇意こんいになるとは……大金が動くな」


 ホロウの登場で周りもざわつき始めたね。まぁ、そりゃあそうだよね。リゲイン王国の軍部に絶大な権力を持つスカーレット家の血縁者が来てるんだも。取り入ろうと画策がさくするのが当然だ。


「ホロウ……ローズ・スカーレットですか。(まさかここで登場するなんて。どんな運命力の悪戯なんだい)」


「お知り合いなの? シン君」


 アレクシアが不安そうな表情で僕を見ている。これは不安にさせたら首チョンパコース。


 ここは知らぬ存ぜぬモブにそうろうで日陰ひかげ物に徹底してやり過ぎそ………


「そこのクリスティナ様に顔が似ている男の子を呼びなさい。サギール様」


「ん~? お母上に似ている男の子? そんな奴この華々《はなばな》しいし場所にいるわけが……いや。居たな1人だけ。俺の愚弟ぐていシン・セイフライドが」


「………シン」


 ………何でモブにてっしおうと誓った瞬間に僕の名前をこんな大勢が居る場所で叫ぶんだい? ブーちゃんはさあ?


「早くこっちに来なさい。クリスティナ様の息子」

「そうだ。早く来いっ! 愚弟。俺のホロウがお前を呼んでいるんだぞ」



「ほう。あれが山を駆け回る野猿悪童ですか」

「最近は大人しく街には来なくなったらしいぞ」「いやいや。数日前にコネクトの都市でどこぞの小貴族の娘と一緒に居たとか……」


 ホロウはホロウで甲斐犬かいけんの様に高い声でうるさいよ。


 ブーちゃんはブーちゃんでブヒブヒうるさいよ。


 歓迎会に来た来賓の人達もうるさいね。


「はいはい。今、参りますよ~!」


 大丈夫。調子に乗らずに低姿勢でやり過ごすよ。ホロウもブーちゃんも1度でも因縁が出来ちゃうとメチャクチャ執拗しつように絡んで来るからね。それにしても敵意丸出しで怖いね。 ブーちゃんはさぁ。


 早くこの絡みを終わらせてモブ化しないとね。


「シン君……」

「シン様……」


 アレクシアとレイラちゃんが心配に僕の服をちょこんとまんでいて可愛いらしいね。


「大丈夫ですよ。2人共。僕はあの人達に何も危害を加えていませんから何もされる事はありませんよ。ハハハ」


 僕はおどけながらそう言って。ブーちゃん達が居る方へと向かった。



「お久しぶりです。サギール御兄様。えて…スカーレット領地をえてまで僕に会いに来てくれるなんて感動です」


 僕はお兄様ブーちゃんとホロウの前までやって来ると特技の土下座で平伏ひれふした。


 こういう相手は真面目に相手をするとめんどくさいので低姿勢。低姿勢でやり過ごすよ。


「……シン。何をやってるいるんだ」


 お父様が悲しそうに僕を見詰めていられのが視線で分かるね。お兄様ブーちゃん恨みを買いたくないかですよ。お父様。


「別にお前に会いに来たわけではないぞ。愚弟……会うのはお前が王都に何回か遊びに来た数回だけだったか?……何故。床に頭をこすり付けている? 顔をあげ…」


「顔を上げなさい。みっともない。貴方それでも男の子なの?」


「ちょっ待って下さいっ! なんて力を……」


 お兄様ブーちゃんが喋り終える前にホロウが僕の右手を持って僕を立たせた来たよ。何この娘。凄い力が強いんですけど。


「ほう。愚弟よ。お前の顔を久しぶりに見るが。ますますお母上に似て来たな。どうだ? 俺と王都に来てお前の嫁ぎ先でも一緒に探してやろうか? グヒィ!!」


 近くで見ると顔周辺もあぶらぎっていて不潔だね。お風呂ちゃんと入っていますか? お兄様ブーちゃん


「あ~、遠慮しておきます。僕の偉大なるお兄様」


「グヒィ。そうかそうか。俺は偉大なお兄様か。どうやらシンは自分の立場を良く分かっている様だな。感心感心」


 うんうん。せっかくの才能を脂肪に変化させて退化してくれて感心感心だよ。お兄様ブーちゃん。そのまま僕が辺境でスローライフを送るまでの間。道化どうけであり続けてね。お兄様ブーちゃん


「……私には挨拶がないのかしら?……シン」


 いきなり呼び捨てかい。こっちの世界リアルのホロウちゃんは……ズキューンッ!


 僕はホロウを見た瞬間。心臓が弾丸で撃ち抜かれた様な錯覚におちいった。


 これが生のゲーム世界ではシン・セイフライドの恋人役。ホロウ・ローズ・スカーレット。


 エロインッ! エロインッ! 僕のエロイン~ッ! そんなフレーズが脳内に連続して響き渡っているよ。 


 紅蓮の様な赤く長い髪。眼光鋭がんこうするどく切れ長の赤髪と対比する様な藍色の綺麗な眼が特徴的な幼女が僕の事を睨み付けた。


「始めまして。ホロウ・ローズ・スカーレット様。僕はサギールお兄様の愚弟。シン・セイフライドと申します」


 ホロウと言うキャラは感情的になりやすく刺激すると大変攻撃的になりやすいので。低姿勢。究極の低姿勢でこの難局を超えて見せ……


「フンッ!」


 そう決めた瞬間だった。ホロウが右手を握りしめていきなり僕の顔面目掛けて殴りかかって来たんだ。そして、僕はその遅すぎるホロウのパンチを余裕でかわした。


「ちょっ! いきなり何を?!」


「………私の攻撃を避けられるなんて。アンタ。相当鍛えるでしょう」


 クスリと笑いながら。僕を見詰めるホロウ。この娘いったい何がしたいんだろう。


「ほう。ホロウの攻撃を初見で避けるか。俺など避けられる様になったのはつい最近だというのにどんなまぐれだ? 愚弟よ……む? 誰だ? その幼女は?」


「い、いえ。今のはたまたまですよ。たまたま……アハハ……」


 僕がお兄様ブーちゃんに屁理屈っていると。お兄様ブーちゃんは僕の後ろの方に目線を向けて何かをジーッと見詰め始めたんだ。


「……愚弟。あの幼女達。お前の玩具か?」


「はい? 幼女達……ですか?……」

 

 ……まさか?!


「シン君……」

「シン様。私達。シン様が心配で付いて来たんです」


 ビクビクしながらも僕を心配そうに見詰める2人が僕の後ろに立っていた。


「……アレクシアにレイラちゃん」


「ほう。シュリディンス家の落ちこぼれと例のあれか……だいぶ実のてるじゃないか。どれ。俺が今夜、味見をしてやろうか」


 しまった。サギールは大の幼女好きの拷問好き……究極変態サディストだ。だからまだ幼くて力を付け始めた2人にはサギールと接点を持ってほしくなかったのに。


「良いな。今夜は色々と楽しめそうだ。とくにアレクシアとか言う方の……らしがいがありそうだな……」


 サギールは舌をなめずりさせながらジリジリと幼いアレクシア達へと近付いて行く。僕はその光景を見て僕が一瞬固まってしまった。すると……


パコンッ!

「何を固まっているのよ。シン。あのサギール《ブタ》は小さい娘には容赦しないんだから。取り返しがつかなくなる前にさっさと助けに行ってあげなさいよ。」


 ホロウ・ローズ・スカーレットに頭を叩かれた。


「………何を。いや……そうでした。アレクシアとレイラちゃんのピンチ。幾らサギールお兄様でも見過ごせない」


 僕はそう叫ぶとサギールの元へと走り出した。


「それで良いのよ。今のアンタの力を私に見せなさい。シン」



「……シン君……この人怖いの……」

「アレクシア様。元に居た場所に戻りましょう。何だかこのお方怖いです」


「グヒィッ! おい。お前達。どこに行く? 俺と今日一晩過ごしてもらおうか。何。悪い様にはしな……」


「サギール。貴様。アレクシア様達に近付いて何をする気だ。下がれっ!」


「ぐっ! お父上。これは俺がこの娘達に教育をしてやろうと思っただけでして。決してやましい事など考えております。さぁ、来いっよ! 俺とダンスでも踊れ」


「いやーッ! 離してっ! シン君。助けてーっ!」

「アレクシア様ーっ!」


「サギール。貴様。黙って見守っていれば調子に乗りおって。〖崩落の時はこの時なり。我が愚損なる……〗」


「お父上何をなさるんです? そんな事よりも俺は今から自室でコイツ等と……」


「お、おい。セイフライド様がお怒りだぞ」

「……あの馬鹿息子サギール。なんて事をしてくれたんだ」


 周囲が騒がしくなり始めた時。僕はアレクシアの手を握っていたサギールの手を強引に掴んだ。


「シン君っ!」


「アレクシアを離して下さい。お兄様。彼女は僕の最推しの娘なんです」


「あん? 何だ愚弟。さっきまで床に頭を伏せていずり回ってい……」


「闇魔法〖影霧シャドーミスト〗。同時転移ツインズ。スバルオ山岳」


「何だ? 会場がいきなり暗く……」

「灯りをっ! 直ぐに灯りを灯せ」


《セイフライド領地 スバルオ山岳》


「ゲホケボ……何だここは? 愚弟。貴様何をした?」


「何をした? いえいえ今から始まるんです。愚兄の再教育を」


「愚兄だと? 貴様。実の兄に向かって生意気な口の聞き方を……ゴガァ?!」


「レロロワスレ茸です。これでここで僕に何かされたかは忘れて屋敷には戻れますよ。サギールお兄様……それじゃあこれから色々と刺激的なマッサージしてあげますから。変な性癖とか目覚めないで下さいね……天狼流奥義『天牙開放てんがかいほう』」


 僕はそう言い終えるとお兄様の身体に人体破壊と超回復を交互に行ってお兄様をとてもとても気持ちの良い状態にしてあげたんだ。


「貴様。何を言って……ぐぉっ?!…何だこの新しい気持ちの良い感覚は……うぉ?!…おおおぁぉぉ!! や、止めろ。愚弟。俺の腹をこれ以上触るなっ! 止めろおおぉぉ! 俺の口にそのどす黒い変な茸を無理矢理突っ込むなぁぁ!! ンホオォォ?!!……アッ………」


 ………スバルオ山岳にお兄様ブーちゃんの汚い叫び声が響き渡ったと同時にお兄様ブーちゃんは何かに解放されて気持ちいい見たいな顔になっていたよ。気持ち悪いよね?


《セイフライド家 歓迎会会場》


「そう。シンは貴方達に優しくしてくれているのね」

「そうなの。シン君は優しくなったのよ」

「はい。シン様は優しです」


 僕が新しい性癖の扉を開いたお兄様ブーちゃんを屋敷に連れて帰って来た時。アレクシア、レイラちゃん、ホロウの3人で仲良く雑談しているところに出くわしたんだけど。何であの3人仲良くなっているんだろうね? 


 まさかアレクシア。ハーレムエンド狙いなのかな?


「………ブタと戻って来たんだ。シン」


「へ? はい。ホロウさん。お返ししますね。お兄様ブーちゃんを」


「己……誰だか分からないが覚えていろよ。よくも俺の穴をドリルで……」


 よく分からない寝言を言っているね。お兄様は。別にたいしたお仕置きなんてしていないのにさ。


「欲しくないけど。居ても邪魔でしょうから王都に持って帰ってあげるわ。それじゃあね。シン。アリス魔法学園でまた会いましょう……それと入学してから周囲に一層気を配りなさいよ。アンタ。油断し過ぎ。王都に帰るわよブタッ! これでよく分かったでしょう? 実家にアンタの居場所はないのよ。ほら起きて」


 王都に今から帰る? 今から帰ったてセイフライド領地からリゲイン王都まで3日は軽くかかるんだけど。大丈夫なのかな? 


 それにしてもホロウのお兄様ブーちゃんへの扱い凄い雑だね。


「ゴガァ?!……ここはどごた? 俺はいったい誰なんだ?」


「アンタはただのブタよ。飛べない《ジャンプ》も出来ないブタ」


「そうか。俺はただの飛べないブタか……」


「それじゃあ。アレクシア、レイラまたアリス魔法学園で会いましょう。さようなら。それとシンも」


「は、はい。またお会いしましょう。ホロウさん」

「バイバイなの~! ホロウ~!」

「ホロウ様ご機嫌ようです~!」


 ホロウはお兄様を強引に引きずりながらセイフライド家の屋敷を後にして乗ってきた馬車と乗り王都に向かって帰って行ったんだ。凄い弾丸旅行だけど大丈夫なのかな?


 その後は主役がいない歓迎会になった為、セイフライド領慰労会と名を変えてパーティーを再開。色々なトラブルがあって皆驚いていたけど。


 最後は集まってくれた皆パーティーに満足して帰って行ったよ。


 しかし。この世界リアルのホロウが言っていた僕が油断し過ぎてどういう事だろうね?


 僕は毎日の様に警戒して色々な事に警戒しているのにさ。


《セイフライド家 書庫 深夜》


「……ん~? これでもないんだよね? こっちかな~?」


 僕はとある調べものをする為に深夜。1人で書庫に来ていたんだ。すると書庫へと入る為の入り口の扉が静か開いたんだ。


「闇魔法『闇消インビシブル』」


………ガチャッ!


「………興奮が治らない……早くこの解毒方法を調べて治さないと……正体がバレる前に……」


 扉から入って来たのはセイフライド家で支給されていないメイド服を着た女の子だった。


「何がバレる前なんですか? 最近、うちに雇われ始めた身元偽造のヨルンさん」


「……その声はシン様ですか? 何故、こんな夜遅くにこんな所にいらっしゃるのです?」


 僕が姿を現した途端にヨルンさんの声が突然、低くなった。


「何って僕達の動向どうこうをこそこそ探っているから聞きに来たんですよ。とあるゲームの隠しボスヒロイン。冥土順序使女メイドオーダーメイドさん。探し物はこの本ですか?……《薬草学 ホーエンハイムの書》」


「………それを大人しく渡して下さい。シン様。でなければ私は貴方に危害を加えられ事になります」


「へー! なら僕は君を攻略してあげないといかなくなるね。ヨルンさん」


 僕はヨルンさんに向けて不気味に微笑んだ。


「攻略? いったい何のでしょうか?」


「アレクシアや僕に危害を加え様とするヒロインの攻略さ。君みたいな悪いヒロインをね。同時転移ツインズ


 僕は静かに両手に魔力を込め。そしてとある場所に飛んだ。


「……何を意味の分からない事……」


セイフライド領地 百合ゆりの花園》


「………を? ここはコネクトの百合の花園ですか? いつの間に」


「障害物が無い方が闘いやすいでしょう?……さあ、始めようか。この世界リアルでの初めてのヒロインの攻略《闘い》を……神器じんぎ『妖精祭典』+『白銀姫の一刀』」


 僕は物語の悪役が笑う様な笑みを浮かべ。左手には『妖精祭典』を右手には『白銀姫の一刀』を装備した。


「何のおつもりで?」


「僕がヨルンさんに勝ったら戦利品としてヨルンさんのパンツを貰うからね」


「……変態の悪童」


 僕《悪役令息》は裏ボス系ヒロイン・ヨルンの攻略を始めた。

 

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