工房娘の冒険
やっと帰ってきた。 レビゾン王都から程近い工房都市パガーニ。 私の育った街だ。
「たっだいまー!」
「えっ!? タクト・・おまっ 生きてたのか?」
「勝手に殺さないでよ。 父ちゃん」
私の父ちゃんは、レビゾンで一番の半導体技師。 目立たないけど、魔道具作りには欠かせない縁の下の力持ちだ。
「いったい、何処に行っておった」
「公園で昼寝してたら攫われちゃって、1ヵ月くらい前まで遠くの街に居た」
「はっ? 攫われただと? だから、あれほど気を付けろと言うたのに」
「ごめんちゃーい」
大きな屋敷に連れてかれ、スケベな訓練とかを受けてたら。 ある日突然 解放されて、カメヤマ商会の馬車で送ってもらったのだ。
「身体は大丈夫なのか?」
「う~ん。 開発された」
「は?」
「ううん、何ともないよ」
父ちゃんには刺激が強すぎる。
「それより、酷い有様だね」
「ああ、旧皇家の連中から襲撃を受けてな。 これでも大分片付いたんだ」
「やっぱり、工房は畳むしかないの?」
「いや、実は少し前にシンシア様が来てな。 異国の街に移らないかと提案された」
あれれ、折角帰ってきたのに、また引っ越しかな?
「新しく見付かった神銀鉱山の街が、半導体工房を誘致しているらしい」
「へー それなら」
「ああ、忌々しい旧皇家の顔色を窺う必要もなくなる」
急展開だけど良かった。 私は父ちゃんが働く姿が好きだから。
「こうしては居れん。 荷物を纏めるぞ」
「どうしたの? 急に」
「おまえの帰りを待つからと、シンシア様の誘いを断ってしまったのだ」
「えー! 不味いじゃん」
「出発は今日の午後じゃ。 急いで荷物を持ってカメヤマ商会に行くぞ」
また、カメヤマ商会? もし同じ馬車だと恥ずかしいんですけど。
*****
やっぱり、同じ馬車だった。
「はははっ タクトさんとは縁がありますね」
「あの・・ギリアムさん。 父ちゃんに、色々と内緒にしときたいんです」
「解っております。 若い連中には、自重するよう釘を刺しておきました」
「あははっ 助かります」
もし、父ちゃんが知ったら悲しむからね。
*****
野営中に一度、お兄さんに抱き着かれたけど、彼はギリアムさんに折檻されてしまった。 往路がフリーだっただけに、我慢を強いられるお兄さんには同情する。
「もしかして、目的地って」
「ええ、タクトさんをお預かりした場所の少し先です」
見覚えある所ばかり通ると思いきや、本当に『往復』って感じなんだ。
町や村に寄りながら、1カ月ほどの旅の末、馬車は迷宮都市シルベルトリに到着した。
+++++
今日は、半導体工房の技術者の第1陣が到着する。 気になるので、エンリケと共にお出迎えだ。 あまり首を突っ込むと、彼が仕事をやり辛くなる。 適度な所で引き上げよう。
「マスタング卿、ケーニッヒ男爵、過分なお出迎え恐縮です」
「長旅、ご苦労であった」
「気になるから見に来ただけさ」
ギリアムが連れてきた技術者は50人。 まだ、この3倍は来るそうだ。
「あっしはドルト、隣は娘のタクトでございます」
「ようこそ、シルベルトリへ」
ドルトという男、顔は髭面のオッサンだが、背は僕の腰より低い。
「あの、ドルトさんってもしかして」
「ああ、あっしはドワーフ族ですぞ。 人族以外は不味かったかね?」
「いえいえ、全然歓迎ですよ。 初めて会ったというだけです」
おや? 娘さん・・タクトは身長145㎝くらいで、ドルトさんより頭一つ高い。 顔立ちも含めて小学生のような幼い印象を受ける・・が。
胸がデカい。
ブルンブルン揺れてる。 お尻もパンパンで男好きする曲線だ。 敢えて形容するなら巨乳幼女。
「ブルース様、タクトさんは、人とドワーフの混血なんですよ」
「ハーフ・・ですか」
「ハーフなタクト、48歳でーす!」
疑問符が飛んでるであろう僕に、ギリアムさんが補足してくれた。 タクトは、天真爛漫といった感じで、割と印象がいい娘だ。 48歳って歳は、種族的にどういう位置付けなんだろう?
ともあれ、建築中の工房を案内して、必要な顔合わせを済ませ、第1陣の入植は完了した。 感じいい人ばかりで安心した。
*****
シルベルトリ滞在中は、何時もクレアの部屋に泊まっている。 自然と彼女がゴールドラッシュに居た頃より関係を持つ機会は増えた。
「ねぇ ブルース。 あのタクトって娘のこと、ずっと見てたでしょ?」
「胸に目が行くのは男の性だ。 他意はない」
「噓・・私に初めて会った時は、もう少し自重してたわ」
幼女に実る巨乳の違和感が、抗い難い魔力を発するのだ。 どうこうしたい訳ではない。
「嫉妬かな?」
「そんな訳ないでしょ。 自惚れないで」
そういえば、クレアは今日も避妊魔法を使ってない。
「もうインターバルは十分でしょ」
「そうだな」
期待に応えてこそだ。




