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残り物には福がある  作者: 橘 葵
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支配者の石

 レビゾンに来て3ヵ月か・・正直、飽きてきたわね。 レグルスは独占欲が強くて他の男と遊べないし。 彼自身のアレはイケてないし。 身体の相性はエンリケが1番良かったなぁ 用が済んだら、もう1度攻略しよっと。


「ご覧よマリーダ。 レビゾン軍には騎士団の他に魔導士隊と機械科部隊もあるんだ」

「わぁ 凄いですぅ 頼もしいですわぁ」

 あーかったるい。 凱旋パレードとかチョーどうでもいい。


「おお、ダイアナ様だ!」

 俄かに民衆が色めき立つ。 悪役王女ダイアナの登場だ。 王宮とは違って、民衆はあの女を英雄だと勘違いしている。 世界を救うのは私なのに。


「愚民の人気だけはある。 忌々しい」

「勇者様を差し置いて目立とうとするなんて、困った方ですわね。 プンプン」

「アキラか・・あれは駄目だ」

「へ?」

「逃げ帰ったかと思えば、ずっと部屋に引き籠ってる」

 どうゆうこと?


「あの・・勇者様は『黄金の牙獣』(ジ・ゴールデン)を斃したのですよね?」

「黄金の牙獣だと? 特に報告は受けてないが」

 ちょっと待って。 だったら『支配者の石』はどうなるの? 


 +++++


 今夜はベアトリスが夜伽番の日だ。 何でも僕に話があるらしく、寝台に入らずソファで寛いでいる。


「話ってなんだい? 妊娠でもした?」

「旦那様は、空気を読むことを憶えるべきですわ」

「あ」

 察しても、口に出しちゃいけなかった。


「妊娠の兆候はありましたが、今朝方、彼の魔力を感知しました」

「彼・・男の子か」

 魔力の強い子なのかもしれない。


「はい。 元気な跡取りを産んで見せますわ」

「そうだね。 えっと・・ひざ掛けいる? あっ 紅茶は止めよう。 カフェインは良くない」

 ベアトリスが壊れ物になったようで、どぎまぎしてしまう。


「ふふっ マァリの時にも経験してるでしょ?」

「うっ・・今後は、ハーブティーにするように」

「はい」

 そっか、マスタング家に跡取りが生まれるか。 一人前になるまで死ねないな。


「僕からも話があるんだ」

「手に持った箱のことですか?」

「おい」

「仕返しです」

 今夜のベアトリスは、何時になく上機嫌だ。


「これを君に。 今日が19歳の誕生日だろ?」

「まあ・・なんと、禍々しい程に美しい」

 僕が取り出したのは、黄金の魔石をあしらった、神銀ミスリル製のネックレス。 材料をマリアンヌに託して、重無ヴェルヌで加工をお願いした物だ。 


「気に入ってくれたかい?」

「それはもう! これは、魔牙獣ジ・サーベルの魔石ですよね?」

「ああ、誇り高く美しい魔獣だった。 君にこそ相応しいと思ってね」

「まあ、お上手」

 彼女との関係が少し深まった気がするな。


 +++++


 遠征軍が持ち帰った素材の中に『魔牙獣ジ・サーベルの毛皮』という物があった。 これが、『黄金の牙獣』(ジ・ゴールデン)のことだろう。 つまり、悪役王女は勇者を遠ざけて、自ら『黄金の牙獣』(ジ・ゴールデン)を斃したのだ。 その彼女が『支配者の石』の存在を隠している。 それが意味する所は一つしかない。


「ダイアナ様! 黄金の魔石を今すぐ出してください」

「私は入室を許可してない」

「黙れ、ダイアナ! マリーダに意地悪するな」

 隠しても無駄よ。 どうせ貴女は転生者で、『支配者の石』の存在を知っていたのでしょう? 私に成り代わろうなんて、絶対に赦さないわ。


「レグルス・レビゾン殿、貴殿は王族の私を敬称も忘れ罵るのか?」

「悪役王女がぬけぬけと」

「レグルス様は邪魔、少し静かにして」

「マリーダ?」

 もう『支配者の石』さえ手に入れば、レグルスに用はない。 粗チン男はリリースだ。 


「あんたが、私に成り代わるなんて絶対に出来ない。 石を手に入れた処で、嫌われ者のあんたに何が出来るっての?」

「それが本性か」

「はぁ? 隠しても解かるんだからね。 あんた、ここが乙女ゲーの世界だって気付いてるでしょ? あたしがヒロイン、あんたは悪役。 この世界はアタシの為にあるの。 悪役らしく踏み台になりなさいよ。 殺さないであげるから」

 さあ、全部お見通しよ。 生き残りたければ、大人しく役を演じなさい。


「マリーダ・ソノス男爵令嬢、無知な貴様に教えてやろう」

「はぁ?」

「魔獣の素材は斃した者に所有権がある。 魔牙獣ジ・サーベルを斃したのは我々ではない。 毛皮は、先方の厚意で譲ってもらった物だ。 戦功の象徴たる魔石を横取りなど出来んよ」

「え?・・なっ?」

「それで、乙女ゲーとは何だ?」

 私の勘違いだってこと?


「なっ・・何でもないわ! それより、誰が『支配者の石』を持ってるのよ?」

「貴様の言動を垣間見た私が、それを教えると思うか?」

 ちょっと何なのよ!


「世界を救うために必要なの! あんた責任取れんの?」

「だとすれば、なおのこと貴様には渡せんな」

 このままじゃ、バッドエンドに・・嫌よ。 魔人の妻なんて絶対にお断りよ!


 +++++


 乙女ゲー、ヒロイン、悪役・・何となくそうかなとは思っていた。 虚しい話だ。 私は、ダイアナ・ゾンダとして、真面目に生きてきたのだがな。


『支配者の石』・・か。 世界が滅亡とも言ってた。 あの黄金色の魔石は、ゲーム的なキーアイテムなのだろう。 ふふっ 一番似合わない奴の手に渡ったものだ。 


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