表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残り物には福がある  作者: 橘 葵
47/106

賢人会の審判

 エーレメンティカのパパに、真名を暴いた経緯をカクカクシカジカ説明したところ。


「ばっかもん!!!」

「ごめんなさーい!」

 雷が落ちた。


「だから、人間の前で安易に名乗るなと言っておったのだ」

「えーだって、挨拶の基本でしょ?」

「私が言いたいのは、そういう話ではない」

 なんでも。 郷には真名を暗号化する専用の魔道具があるのだとか。 僕がそれを解読したことで、郷の全エルフを危機に陥れたらしい。


 なんかすいません。


「長老が懸念した通りだ。 いずれ、異世界から転生した人間が『名隠れの秘石』の秘密を解き明かすであろうと」

「あ・・。」

「えっ? ブルース様が異世界から転生・・つまり、勇者様だったのですか?」

 勇者ではない・・と思う。


「私の家系は魂詠みの素養があってね。 私には『ナオキ』という名が詠める程度だが、()()()()者ならば、更に多くが共有されていよう」

「ああ、それで」

 怒ったエーレンティカが、僕の個人情報を諳んじたのもその所為か。


「他に先程の話を聞いた者はいるかね?」

「セレスティア以外には、真名も解読の経緯も語っていません」

「わかった。 少し時間をいただきたい」

「構いませんが・・その、具体的には?」

 エルフ的な『少し』の感覚が不安だ。


「心配ない。 1日が24時間であることは、私達も同じだよ。 遅くとも明日の朝までには、賢人会の方針を固める」

「そういう事でしたら、大丈夫です」

 せっかくの機会だ、浮島探検でも楽しもう。


「念の為に言っておくが、くれぐれも家の外には出ないように」

「あ・・はい」


 *****


 浮島探検を断念したものの、ママ・エルフが説明してくれる異文化の生活様式も興味深く、長居しても退屈はしなかった。


「さあ、夕飯の後はお風呂にしましょう」

「「は~い」」

 ママ・エルフの料理は意外にもガッツリ系だ。 確かに、パパ・エルフの筋骨隆々な肉体は、『野菜中心のやさしい料理』では維持できまい。 タンパク質と塩気は必須だ。


「お湯が浮いてますわ」

「面白いな」

 重力が少ない影響と魔法的な何かだろうか? 浴室には大きなお湯の塊がプカプカ浮いていた。 宇宙ステーションで、水の塊が浮いてる感じに似てる。


「じゃあ、順番に洗うから並んで」

「えー子供扱いしないでよ~」

 そして、あたりまえのようにママ・エルフも浴室に居たりする。


「私から見れば、みんな子供よ。 黙ってお世話されなさい」

「「はーい」」

 セレスティアは割とすんなり馴染んだ。


「はい。 最後はブルース君ね」

「お・・お願いします」

 人妻エルフの裸体に反応不可避である。


「あらあら、人間の男の子は元気ね」


 *****


 翌朝、宣言通りパパ・エルフが数人の男性を連れて帰ってきた。 皆、褐色肌で筋骨隆々、耳は尖ってない。 きっと、男女で外見が別れる種族なのだろう。


「賢人会で検討した結果、郷を危機に陥れた罪でダ・・は追放処分が決まった」 

「そんな~! ド・・何とか言ってよ」

 パパ・エルフが告げた結論に、エーレメンティカは不満たらたら。 昨日、すれ違ったド・・さんに言い募る。


「俺は下界散歩は止めろと何度も言った。 その結果がこれだ」

「あ・・ごめんなさい」

 しかし、ド・・さんに窘められて意気消沈してしまった。


「でもでも、大人になったら番になろうって約束したじゃない。 私のことはもういいの?」

「仕方のないことだ」

 なんかほんとすいません。


「精霊樹が2人を『番』と認めた。 これは覆し難い事実だ」

「うっ・・うぅ・うぇ―――ん!!!」

 いたたまれない。


「聞きなさい。 明るく前向きなダ・・ならば、子や孫が先立つ生涯にきっと光を灯すことができる。 それは、緩やかに滅びゆく我らの救いとなるのだよ」

 昨夜、ママ・エルフから聞いた長命な種族ゆえの悲哀を思い出す。


「うっ・うぇ・・でも、私にはド・・が」

「俺の誓いに嘘はない!」

「ド・・?」

「俺はこれからも、ダ・・と共にある。 隣にあって君を支え護り続ける」

 ド・・君、男前だ。


「人間は50年もすれば死ぬ。 その後、俺と番になればいい」

「百代の乙女に50年なんて時間は長すぎるわ。 ド・・が、あいつを殺しちゃってよ」

「できれば俺もそうしたい。 だが、無理だ」

 訂正! おまえら酷いな。


「精霊樹が認めた『番』を害せば、一族殺しの呪いを受ける。 諦めなさい」

「くそっ」

「そんな」

 抑止力があるようで良かった。


「3日後に『契りの儀式』を執り行う。 立ち合いは私たち夫婦とド・・が務める」

「・・はい」

「ブルース君、巻き込んですまないね」

「いえ、私にも非がありますから」

 画して、追放されたエルフの少女エーレメンティカ・ル・エルダールは、3日後に僕の『番』となることが決まった。


面白かったら 評価・ブックマーク・感想などお願いします。 

誤字の報告も助かります。

とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ