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旅立ちボッチ

 「王都が大分小さくなったなぁ…」



 俺は現在、ルトラ王国の王都から西へ進み小高い丘を歩いている。


 見えるのは遠くの山々と旅立った王都が良く見渡せる場所だ。

 

 絶景だな。元の世界もこの異世界も自然はやはり美しかった。



 王都の薄暗い路地の片隅から俺はこの世界にやって来た。

探していたユイとヒロキはまさか3年の時間を過ごした勇者としてこの国で生きていた


 2人が結婚するとか言い出すから焦って馬鹿やって捕まって…

ホント俺は何やってんだか…


 そして病に倒れた俺は…リナリー・ユーナリカさんと…彼女と出逢った。


これは掛け替えのない出逢いだったと思う


 彼女と過ごした時間は少ない…

けど、人生には出逢わなければならない人と言うのが居ると俺は思う。 それは自分に影響を与え、岐路に立った時にその道を選ぶ切っ掛けとなる人だ。


 リナリーさんは多くないその1人なのだと感じる。


 そんな彼女に支えられ色々な事を教えてもらった。 この世界の事を…


 ここは "魔王と勇者の世界" だ。良くある異世界の剣と魔法のファンタジーってやつだ


どうせならTO LOVEるみたいなえっちぃ世界に来たかった…



 そして依にも依って変身ヒーローみたいな格好して戦う羽目になろうとは…


お前何しに来たの⁈って感じだ…


 それでも戦って…俺の手は血で染まった。

やるしかなかった。どうしようもなかった。やりたくなんかなかった。どうしたらいいのかわからなくなった。

俺はバカで上手に出来ないから、こうなった。後悔しか生まれなかった…


 兎に角、こんなクソッタレな異世界から逃げ出したくなった。 …だから旅に出た。


 リナリーさんは引き留めてくれた。この世界で皆んなで生きて行こうと。


 せめてヒロキ達が帰って来てからでもと考えたが、今の2人にとって"俺"という存在は

きっと重荷となる…

俺も気持ちの整理がついたと言っても、実際の2人を目の当たりにして冷静でいられる自信はまだ無い。


 その為、リナリーさんには最低なお願いを頼んでしまった…渋々だろうが了承してくれた彼女には本当に頭が上がらない。

 俺は女神様には出会わなかったし、この世界の人間でも無いから女神教なんて入信する気もないが…リナリー教なら即入信してもいい。 彼女は女神様だ…


 まぁ、入信手続きはまたの機会にするとして、もうこの世界で俺の目的は失くなってしまった。


失くした想いに残っていた心は…


…ただ、帰りたいだった。家族に会いたい。


帰りたいと思ってしまったら望郷の念は益々膨らんで行くばかりで抑えきれなかった。



 …そして此処まで逃げてきた。


 そのまま旅立とうとする俺にリナリーさんが色々してくれて、少なくない路銀も持たせてくれた。

 ちゃんとまた返しに行かないとな…


 その時「帰る前に絶対にもう1度此処へ来てくださいね‼︎絶対ですからね!来なかったら、む…迎えに行きますからね!」なんて言われた。


 ヤバイよ、もし行かずに帰ったらある日突然異世界からリナリーさんが俺の部屋にやって来るよ…


 それなんてエロゲ?的な展開だ

…最高じゃね⁈むしろウェルカムじゃね⁈




 《…さっきから…頭の中で気持ち悪い自分語りとか…やめてもらえませんか?…マジキモいです…》


 …ぐっ…そういやコイツを忘れていた…


 《…それに途中から…思春期全開の卑猥な妄想…犯罪ですよ?…ちょっと110番に電話して下さい…》


 うるせーよ‼︎何勝手に人の脳内覗き見てんだよ!お前こそプライバシーの侵害してんじゃねぇよ⁈


 《…知りませんよ…勝手に聴こえてくるんですから…あなたの脳内…ちょっとレオパレス過ぎませんか?…》


 壁が薄過ぎるってか⁈ 誰が上手いこと言えと⁈ お前それは言っちゃいけないだろー!大家さんだって知ってて造ってんだから‼︎


 …はぁ、さっきから…あなたとかお前とか…

なぁ、お前名前は何て言うんだ?ずっとお前とかコイツとかって言い辛いんだが


 《……なんですか?…ナンパですか?…好みじゃないので死んで下さい…》


 違うわボケ‼︎呼び方聞いてるんだよっ!


 《…あぁ…名前…ね…何でしたっけ……忘れました…まぁ…別にどうでもいいんじゃないですか?…名前なんて…》


 自分の名前忘れんなよ⁈……じゃあ呼びやすい様に名前でも付けるか?


 《……それはわたしを自分の所有物にする発言ですか?…セクハラですか?…訴えますね…ME TOO‼︎…ME TOO‼︎…》


 止めろ止めろ‼︎ それ駄目だから!世界的に問題なってるヤツだから‼︎

「セクハラって罪状は無い!」とか言っちゃうやつだから!



 …あぁ、もう…ホントにコイツは…


 《…なるほど…分かりました…アレですね…異世界物でよく可愛らしい妖精とかマスコット的キャラに主人公が勝手に大した理由も無い響だけ考えた様な名前を付けて…相手がそれを聞いて照れながらコクン 、て喜びを表すやつですね……キモっ…あれって結局、支配意識が強過ぎるペドフィリア症候群の………》

  ‼︎ ⁈ ‼︎ぅわあぁぁぁぁぁぁっ‼︎ やめろ‼︎ マジやめて‼︎

それは言っちゃ駄目!!今お前、全俺を敵に回したからな‼︎


 ……なんかもう…嫌になってきた…ホントコイツ…


もういい!コイツは今後もコイツでいいや!

それか WA SI MO か カエラにしよう!

もう、どうでもいい


 《…そういえば…お伝えしなければならない事が…あります…》


 何?もうこれ以上聞きたく無いんだけど…


 《ぴーーーー。》


 《チュートリアルモード終了のお知らせ》


 《…チュートリアルはこれで終わりました…今後は…ファレンカイザー状態時のみのコンタクトとなります…》




 …チュートリアル?え?何それ…


 《…正確には…こうして…あなたの下らない脳内お花畑にいちいち答えていましたが…今後は必要時のみの運用に…なりました…》



 あ、そーなんだ…そっか、…まぁ、何というか、今まで助かったよ…ありがとな。

…腹立つけど。


 《…いえ…お気になさらずに…仕様ですから…では…また…》






 …こうして、頭の中だけは騒がしかったがそれも無くなり静かな世界になる。

異世界の乾いた風が頬を過ぎ去って行くのを感じ、緑豊かなこの景色が何処か色褪せて見えた様な気がした…




 さて、そろそろ歩き出すかな


 今はまだ異世界から元の世界へ帰る方法は見つかってないらしい…

召喚出来るのに帰れないとか如何にもな展開だが文句を言っても始まらない。



 旅は今、始まったばかりだ。



 こんな世界で1人ぼっちでどうなることか分からないが、謎のファレター因子ってヤツのお陰か俺は腹も空かなきゃ武器すら要らない。ざまぁ見ろ異世界(ファンタジー)

 リナリーさんの御慈悲でお金もあるので何とかなりそうな気がする。


 でも、あんまりノンビリとはしてられない…この世界と元の世界の時間のズレ…

向こうの1日が此方の1年。

 此方で10年過ごせば元の世界に帰っても10日しか経っていない。にも関わらず姿は10歳も年を取っている…


 10年違えば別人だろうな…



 なのでリミットは2年から3年位だろうと思う。それまでに帰る方法を見つけ出さなければならない。


 だったら魔王とかに構ってられるか!勇者達にはご愁傷様!って事で俺は俺の目的の為生きて行く。


 この世界で!


必ず…元の世界に帰ってみせる‼︎


 「やってやるさ‼︎」





         《…………ブフォッ…》

一旦話に区切りが付いたのとストックが切れたので暫く休息します。

ここまでこんな変な小説を読んで頂いた方々に心よりの感謝を。



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