表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

第33話 それは決着、ありとあらゆる思いを乗せて……

 これで────





 ────────最後だ!!!!!!!!!

 運命……宿命……それを変える者はただ一人……


 さぁ、後は全力で────





     白

 目の前の を倒せ!!!!!

     黒











「話は後だ。ちょっとだけ手伝ってやる、暫く休んでな」


 目の前の少年は痛みでのたうち回る黒の男に近寄り、鋭い眼差しで見下ろすと、地面を軽く踏み付けて一瞬自身の周囲を撓ませた。その撓む勢いに押されて男は1.8m真上に弾かれ、直後に少年に右手で体の向きを直され、剰え直立させられた。


「どっかのヤツが言っていた。打って良い(・・・・・)のは、打たれる覚悟(・・・・・・)の有る奴だけだ……あぁそうだろうさ。お前には、その覚悟があるんだろ? 当然、打つなら、打たれるのも承知なんだよな?」


 気を付けの姿勢のまま、男は目の前の少年に、自身よりも体格が劣ってる少年に、恐れ慄いていた。顔の痛み、骨の痛み、内臓の痛み……それ等全てを含めたとて、今在る目の前の恐怖には勝らない。

 だが男は不思議にも思っていた。何故か少年からは何の力も感じない。全くの無、皆無、絶無そのもの。恐れる要素も必要も無い無価値無能の存在を前にしてるだけなのに、何故? 何故恐怖している?


『あぁ、有るとも。俺は最初からそのつもりさ。しかし驚いたよ、お前、なかなか良い拳をしてるじゃないか……正直痛かったぞ、かなりな。だがあの程度の威力では俺は倒せないぞ』


 動揺を一切見せる事無く、自らの感情をコントロールしていつもの口調で寛大に評価する様子を少年に見せる男。が、その様子は少年からすれば、骨身に成り果てるくらいの痩せ我慢を披露されてるくらいにしか見えない。つまり、何をしようと男のその心情、全て見抜かれているのだ。


「そうか、正当な評価どうも。ちなみにアレは最弱も最弱、俺はあんたの顔面に拳を置いただけで力は一つも入れちゃいない。だから次はやっと痛い(・・・・・)と思ってくれるんじゃないかね?」


 戦慄。何も感じない筈の少年から言葉に依る途轍もない重圧を感じた男は、命の危機を感じ取る咄嗟で両の拳を構えて少年に連打を繰り出した。その両拳から放たれる連打は穣も溝も澗も超え、男の最大の速さである1(せい)発と言う巨大な壁を連想させる拳の打突。

 正しく超巨大で超肉厚な壁が押し迫る最中、少年は構える事無く右拳を握り、素早く壁に向かって突き出した。


 すると一瞬突き出された一発の拳に1正発の拳の壁は呆気なく崩壊する。驚愕の光景に男は茫然とする事無く少年に向かい、持てる技全てを乱れ打った。


『【デッドリーソーン】! 【デッドリーソーン・エクストラ】! 【オーバーロード】、【オーバードライブ】、【オーバーウェルム】、【エレメント・ブラックバイター】ッッッ!! 【黒蝕最終式・エクスプロード】ォッッッ!!!』


 黒針の嵐が少年を襲い、漆黒のエネルギーの塊を投げたり蹴り飛ばしたりして最後には自身がそれを纏って黒い悪魔のような巨大なシルエットで荒れ狂う攻撃に晒される少年を殴りつけ、自身に纏った漆黒を両掌に集約させてトドメの遠隔爆破で少年を黒い破壊の衝撃波の球体に閉じ込めて消し滅ぼした。


 自身の最大をこれでもかと少年にぶつけた黒の男は達成した喜びに満ち溢れ悦に浸る。その一部始終を見ていた霊乃だが、身に感じたのは絶望感では無く絶対の安心。何も案ずる必要が無い絶大なる信頼だった。


 何故なのか解る。あの少年の強さを見て、聞いて、感じたからこそ判る。少年は、少年は────


「おいおい、めちゃくちゃにやるだけでちっとも痛くないぞ。バカにしてんのかあんた?」


 全くダメージを受けていない。あれほど(・・)の攻撃……否、あの程度(・・)の攻撃、彼には毛ほども効かないのだから!


『ばッ!? ば、バカなッ!!? 何故効かない!!? お前、俺の9段階を超えると言うのか!?』

「さぁな? 何段なのか俺にはわからないよ。俺は、ずーっと……強くなりっぱなしだからな。今だって、止まらないんだよ────成長が」


 少年はボロボロになった衣服を気にも留めず、虚しさで満ちた表情で黒の男に接近し、男の腹、鳩尾を、右拳で深く深く打ち込んだ。ショートストロークで溜めなど全く無い右拳のボディは黒の男の腹筋を貫き、胃を破裂させる。背中を突き抜ける衝撃は建物を埃に変えるどころか、その先数万kmの景色を陽炎の如く変えるどころか、男の表情を歪めさせ、目をひん剥かせ、胃液と血を吐き散らかせた。


 自身の足下付近で横たわりもがき苦しむ男に背を向け、今度は霊乃に向かって歩み寄った。


「悪いが俺が手伝えるのはここまでだ。これ以上はさすがに反則だからな。そうだろ? 優!」


 少年は明るい笑顔で霊乃の手を引っ張り上げて立たせると、何処に居るかもわからない優の姿を即座に見つけて声を掛けた。優は霊乃の遠く背後で驚いた様子で腕を組み、やや動揺しながら彼の声に応えた。


「あぁ……そうだな」


 霊乃は驚いた。少年の存在もそうだが、あの優が初めて動揺を見せた……少年と何か深い関係があるとしか思えない。と言うか、先程から少年の強さに終始驚かされてばかりの霊乃も、さすがに驚き疲れてきたところだ。


「じゃ、そう言う事だ。じゃあな!」

「あ、待って! せめてお名前を!」


 霊乃は足早に立ち去ろうとする少年を引き止め、せめてその名前だけでも是が非でも聞いておきたいと必死だった。霊乃の願い出に少年は頬を掻いて少し考えた後に口を開いたのだった。


「俺はー……そうだな、一応タキザワとでも言っておくよ」

「タキ、ザワ……」


 少年が名乗ったタキザワなる名前……霊乃はともかく、海斗には迚も聞き覚えがある名前だった。それは、彼が今の力を有する前に行った対戦での話になるので、ここでは語らないでおく。


「じゃ、頑張れよ!」


 名前の余韻に浸る余裕も無く、少年はその場から消えた。まるで最初からそこには居なかったかのように……






 当然、その驚きに至る余裕も無い。目の前には、大怪我を負ったが未だ健在の黒の男が居る。かなりのダメージが稼げたが、それだけで勝てるとは到底思えない。ならば、どうすれば勝てる!?



「心配すんな。あいつは"鍵"を取り付けた。勝利の方程式とも言える、活路の鍵をな。そろそろだなぁ」


 背後から優の言葉が聞こえてきて、そろそろと口にした瞬間だ────


『くぅ……ゔッ!? うぐぅッッ!!? な、がぁぁッッッ!! なッ……にぃぃぃぃッッッ!!!???」


 黒の男は明確に苦しみ出した。少年が稼いだダメージに依るモノでは無い。少年が稼いだダメージを引き金とした、"何か"の発現であるだろう。なら、それはつまり────


「これは、まさか……!! さっきの人が黒の野郎に痛手をくれたおかげで、さっき打った『無双輪廻』の"無双"が徐々にだが、効き始めているんだ!!!」


 海斗が逸早く気付いて周囲で様子を伺う彼等彼女等に解り易く黒の男の状況を伝える。そしてその情報を耳にした霊乃が思わずある言葉を口にした……



「これなら────勝てる……」



 自問自答のような単なる呟きが、一種のスイッチとなり、彼女の脳内を自身の言葉が激しく駆け巡り、それが全身の循環の加速を促す。同時に彼女の信念を熱く燃やし、絶えぬ闘志を爆発させた。


「幻真さん! 白谷さん! 夜桜さん! シルクさん! アルマさん! 活躍さん! 今、今しかないッッッ!! 今この時が勝機!!! 今この時が、勝ち目ですッッッッッ!!!」


 必死な叫びに込めた思いは、感情は、意識は果たしてどれ程で如何程か。だがその叫びは不思議な事に、彼等彼女等の体に、心に染み渡り、余す事なく芯まで届き、霊乃と同じ白い光を全身から徐々に僅かずつだが放ち始めた。

 そして最後の一人、海斗に対しては名前だけでなくしかと目を合わせて言葉を口にした。


「そして海斗さん、あなたが唯一無二の鍵、勝利の鍵です。皆さんには援護に回ってもらい、海斗さんと私で一気に畳み掛けましょう! あなたの無双と私の白で、黒を打ち倒しましょうッッッ!!!」


 霊乃が名前を呼んだ瞬間から体の奥底から泉の如く力が湧き始め、言葉の最初から海斗は徐々に体が白く光を放ち始めた。そして最後の一声が引き金となり、海斗を始めとした幻真、白谷、夜桜、シルク、アルマ、活躍の7人が白いオーラを爆発、噴出させた。


 それは霊乃が全身から放つ白いオーラと似てるどころか、全く同じモノだった。全員が白いオーラを表出させたタイミングで続いて霊乃も全身に力を入れて半径300m、高さ10kmにも及ぶ超巨大な白いオーラを噴出させ、黒の男を睨んで構える。


「行くぞ黒……! 最後の闘い、これで決着だ!」


 彼等彼女等の白を束ねて更に巨大化する白いオーラ、そのサイズ実に半径20km、高さ100kmにも及んだ。白いオーラの拡大、膨張から手負いながらも一瞬で逃れた黒の男は、息を切らしながらも僅かに怪しく笑うと、霊乃と同じかそれ以上のサイズの黒いオーラを全身から噴出させた。


『ナメるな白ッ! お前は既に負けた身、例え俺が手負いであろうと、捻り潰してやるぞッッッ!!!』


 白いオーラと黒いオーラが押し合う中、セブンス・ベルだった荒野の地表が崩れて浮く。もはや建物も何もあったものではない。その影響は無論ながら世界自身に及ぶもの。星々は歪み、潰れ、重力変動で事象の地平面が無数に発生、数多の銀河団はその回転を有り得ない速度まで増幅させて自壊、超新星爆発が連続する中で、"終わりの灯火"が一つ……揺らぐ事無く煌々と────約束された(・・・・・)終焉が開始された。


 消し飛ぶ地表の真上の宙で滾る白と黒。今、終焉を迎える!






『しぃぃぃろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーッッッッッッ!!!!!』

「くぅぅぅろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーッッッッッッ!!!!!」






 黒が一人飛び出す時、白は8人で一斉に突撃する。宇宙規模で観測してもその動きは実に顕著で、白いオーラと黒いオーラが一瞬揺らいだと思えば真横に倒れて更にそのサイズを伸ばしている。無論、こうなるまでの時間は言うまでも無く0秒だ。


 オーラの内部では男と霊乃が歯を食いしばって掴みあい、互いに押し負けまいと掴む力と押し込む力を加え続ける。そんな時に白いオーラの中から人間大の小さいオーラが五つ飛び出し、それが一斉に黒の男に向かって降りかかる。

 一瞬目で五つの白いオーラを確認した男は僅かに押す力を弱めて霊乃がつんのめった隙に前蹴りで遠くへ突き飛ばした。それと同時に五つの白いオーラが黒の男へ到達し、縦横無尽に攻撃を始めた。


 その正体は幻真と白谷とアルマと活躍と海斗だった。5人は霊乃の背後から黒の隙を伺い、掴みあった時点で同時に攻め込む事を考え実行、5人合わせて6000澗発もの連打を叩き込んだ。

 手負いである事も含めて、流石の黒もこの奇襲に防御せざるを得ず、されども防御を突き抜けた4割の打撃が男の表情を痛みで歪ませる。


 だが痛みで歪んだ表情が即座に変貌、目は鋭い刃の如く尖り、瞬間に左足で自身の正面で円を描くと、そのままその円の中心を打ち抜くように左足の後ろ回し蹴りを放つ。その一撃は放射状に広がり、点の一撃が面の一撃となって五人を押し潰すように蹴り飛ばした。


 ところがその面の一撃から逃れた者が一人……


 転流 海斗が一人、空中で大きな宙返りの動作を終える直前で男を見下ろしていた。黒の男と海斗の目が合った直後、海斗は空を蹴って男へと肉薄する。無論、男もその動作が見えている為、動きに合わせて拳を突き出すが、海斗の突き出す右拳とは別の右拳が全くの同時に黒の鳩尾へ直撃した。


 同時に顔の中心に強固な拳が激突し、そのまま僅かな静止に陥った。0秒の中でも退屈を感じられる程の時間が流れた時、男は静止から戻り、息を吹き返すように突き出した拳を少し引き、アッパーのポーズで力を解き放った。


『【オーバーウェルム】……!」


 黒い流れが拳の向きに沿うように縦に回転し、海斗と霊乃を弾き上げようと黒いオーラそのものが流動し回転する。流動に吹き飛ばされそうな瞬間、霊乃と海斗はそれに抗おうとひたすら攻撃、攻撃! 攻撃!!! 連打、連打! 連打ッ!!!


 黒の男が抗う二人を追い詰めようと二人を上回る速度と威力で連打を繰り出す。白いオーラと黒いオーラからそれぞれの色の連打が弾丸の如く飛び交い、それが0秒で一気に移動する為、オーラ同士が密着して一体化もしくは歪に混ざり合うように見える。


「負けるもんかぁぁぁぁぁーーーー!!! シルクぅぅぅ!!! あんたもやれぇぇぇぇッ!!!!」

「言われる前からやってるよぉぉぉーーーーッッッッ!!! んぬぁぁぁぁああああああああッッッ!!!」


 この異様な連打の交差の均衡を崩して少しでも優位にしようとシルクと夜桜が連打に加わる。それでもまだ黒の連打を崩せない!? ならばと白谷と幻真と活躍とアルマが連打に加わり、白側の連打数と威力が次第に黒を上回っていく!


「良いぞッ! 押せぇッッ!! 押し切っちまぇぇぇぇぇッッッ!!!」


 海斗の勢いに乗せた叫びで霊乃を含めた全員の士気が急上昇、限界突破、それに次ぐ黒の思わぬ減衰に依り……否、無双の影響で生じた減衰に依り、彼等彼女等は連打に押し勝ち、続く連打の継続で追い詰める。黒の男は無双のダメージで気を取られてる間に無数の強固な連打を全身に隈無く打ち込まれ、見舞われ、吐いた血すらも拳に弾かれる始末。


 最終的に連打を繰り出す余裕すら無くなり、拳を突き出したそばから幾京幾垓幾秭幾穰、その一発を遥か遠く上回る数が一挙に押し寄せて男を打つ。無数……いや────その様な表現など子供騙しと取れる程の驚異的、絶望的いや……希望(・・)的圧倒!


『ぐほォッッッ!!! ッおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!?』


 黒の男が初めて、恐らく初めて彼等彼女等の攻撃で苦しんでいる。不安を感じさせない確かな感触を逃さない為に追撃を掛けようと白側全員が踏み込んだ瞬間、それを容赦無く打ち砕く頑強な黒い一撃が連打の僅かな隙を縫って白に直撃。直撃と同時に一撃は拡大して白側全員を一瞬で吹き飛ばす。


 なんて強さだ。無双で弱体化してるとは言え、やはりどう足掻いても断世者、その強さは、膂力は、決して揺るがないと言うのか?


「諦めるな! 確かな手応えが今有ったんだ、俺達は今何の為にここに居るのか……もう一度思い出せぇ!!!」


 吹き飛ばされる流れの中で、海斗は今居る仲間全員に向かって全力で叱咤した。その叱咤は0秒の時の中で反響し、木霊し、呼び起こす。『正義・輝想心』の力を、今再び……


「そりゃそうだよな……なら! 俺の後に続けぇ! 俺が、先陣を切る! 『輪廻の超騎士(エンドレスナイト)』ォ!!!」


 彼等彼女等の中で最初に世界を超えた人物、白谷 磔が自ら先頭を切って飛び出し、半自動と全自動の融合形態となって黒に迫る。無論黒はそれに気付き、自身も白谷と同じ形態へと至る。


『【完全再現・輪廻の超騎士】ッッ……!!!』

「やっぱそうなるよなぁぁぁ!! それで良いんだぜぇッッッ!!!」


 勢い良く飛び出した白谷と待ち構える黒の拳が交差し、互いの顔面に骨が歪むほど減り込んだ。互いに半自動と全自動を併用した状態なのだからこうなるのは当然ではあるが、この時ばかりは何かが違った!!!


『ぬッ……ぐぁ……!!!?』


 一撃に仰け反ったのは黒。白谷と比べれば圧倒して強い筈の黒の男が、あろう事か打ち負けているではないか!?


「ぐぅぅッッ!! イテぇッ!!! でも黒、お前は大事な過程を吹っ飛ばした! それは、階段式に順々に強くなる俺の形態の『回想する終焉の超騎士』を再現しなかったからだ! テメェは結果だけを求めるだろうが、俺は違う……俺は大切な人達に何度も忘れられてきた。だからこそ結果と同じくらい、いやそれ以上に過程を、"道のり"を大事にしてきた! 真の強さってのはなぁ、歩む道の中にこそ、過程にこそあるんだよぉぉぉぉぉッッッ!!!!!」


 咆哮にも似た心を乗せた全力の言の葉と共に白谷は男をたった1万発殴った後にサマーソルトキックで真上に蹴り上げ、その蹴り上げに合わせて白谷の背後から赤と青の混在する眼光が飛び上がる。


「お次は俺だろJK! 『怠惰を超えし不浄の神々』! 俺は心底ムカついてんだ、てめぇのやり方にッ!!! 『何者も恐れぬ無想神アザトース・オーバーウェルム』……あんたは、人を、魔女を、感情を貶めた。許すまじってヤツさ」


 桐月 アルマは真剣味を帯びた笑顔から一変、赤と青が混ざり合い紫と化した瞬間から激しい怒りを露わにし、直後に白く無と化して静かに怒りを爆発させて黒の男へと肉薄した。黒の男はアルマの接近に合わせて彼の形態を即座に再現してみせた。


『【擬似再現・何者も恐れぬ無想神】!』

「擬似再現……その程度で対応したつもりなのかい」


 溜め息混じりで目蓋を開き、白い瞳で真っ直ぐ黒を見詰めては直後に瞬間移動の連続に依る読み合いを始めた。連続の瞬間移動と読み合いは長く続くと思いきや、存外直ぐに決着した。


『おぶッふ……!!! な…………!?』


 胸を押さえて静止したのは黒の方。感情云々はともかく、読み合いやスピードは劇的に黒の方が有利な筈だが、一体何故!?


「一度の読み合いで操る感情の数、正直能力レベルが再現程度に負けるなどとは思ってはいないが、ここまで来ると悔しい他無い。だが黒、あんたは大事な物を欠かした。感情の無も弄びも凄まじい代わり、その感情に対しての浸透性が余りにも無い。日頃抱いた感情の少なさと薄さが知れる。あんたに感情を語る資格は無い、もっと言うなら、この俺に講釈を垂れる義理すらも皆無だァッッッ!!!」


 無色にも等しい眼から激情迸るアルマの怒号にも似た言葉。合わせて竜巻のような回転蹴りを黒の顔面に叩き込んでからそのままの回転の右後ろ回し蹴りで斜め下に蹴り飛ばした。

 そしてアルマの背後から澄んだ青空のような眼光が男に向かって一直線に飛んでいく。


「まだだ、まだ終わらないぞ黒! まだお前には、叩き込めて無いからよ……全身全霊の、『無双輪廻』をよォッ!!!」

『なにィッ!?』


 その時、黒の男が驚いたのは海斗がまだ真に全力を込めた一撃を打ってない事では無く、打ち込みに行く際に黒の男ですらも捉え切れない速度で接近したからでは無く、真実その両方だ。


『くッ!?』

「再現したいだろ? でも出来ない……すればお前は更に"終焉"を加速させるだけだ。自ら滅びに行くだけだ! そしてだからこそ打ち込む。俺はお前に無双を、終焉を、一撃をォ!! 『無双輪廻』ぇぇぇぇッッッ!!!」


 力強く握った右拳を真っ直ぐ男の膻中に突き出し、海斗はその感触を活かして更に拳を押し込み減り込ませる。


 そして彼は到達する────その先の、真実へと……


『ごォあァァッッッ!!?』


 海斗の繰り出した一撃で肋骨の中心が砕けた音と共に、黒の男が鮮血を吐き出した。これを皮切りに夜桜、シルク、幻真、活躍の4人が総攻撃を仕掛ける。ところで一瞬4人のカットインが入ったような気がするが、恐らく気にしない方が良いだろう。


『ンンンンンンッなめるなァァァァァーーー!!!』


 黒の男の激昂と共に黒い流れが炎の如く揺らめき滾る。黒の男の容姿が少し変貌し、口から青白い炎を吐き出しながら口の皮膚を異様な形に焼き、手足は鉄鋼と見紛う程の硬く強靭な黒い人外と化し、まるで悪魔の……いや、悪魔そのものとなりつつあった。

 激昂と共に噴出した黒い流れは逆再生の如く男に集束、凝縮され、内側で密度を高めに高めて、ある時、男そのものが"爆発"となったかのような……


『【黒蝕最終式・エクスプロード】……!』


 解き放たれた黒い流れはタキザワに対しての時の使い方では無い。自身から溢れ出す無限にも等しい黒い迸りが、膨大な奔流が、触れたモノ全てを正に無差別に殺戮する波動として彼等彼女等だけで無く、無数の星々を抱える宇宙だけで無く、世界……そう『世界』を殺戮、その先に在る"壁"をも殺戮────もとい抹消しようとしていた。


 男の姿が黒い奔流で全く見えなくなり、それに合わせて彼等彼女等も奔流に全身をズタズタに破壊され、誰も彼も何もかも吹き飛ばされた。男の技の発動から2秒後、その奔流に全身を破壊されながらも飛ばされずに耐え続ける二つの人影……


「ぐぐぐッ……ぬぅぅッ!!!」

「ふぅぅううゔッッ!!!」


 一人は打ち消し切れない奔流を正面から受けて踏ん張り、もう一人はその一人がこれ以上押されないように一緒に受けて踏ん張る。その二人は海斗と霊乃……全身のありとあらゆる肉と骨が悲鳴を上げる中、歯を食い縛って眼前の破壊の奔流に耐えている。

 しかしそれも時間の問題だろう。間も無く海斗も痛みと消耗で耐え切れなくなり吹き飛ぶ。避けられない結果が刻一刻と迫るその時、海斗の全身から吹き荒ぶ強風に当てられていた霊乃は、必死に耐える現在から"離れた"。


 ふと目の前の重さが無くなったのに気が付いた霊乃は、体をその場から退かしてみた。すると自身はその場から離れている筈なのに、直ぐ目の前では必死に耐えて固まったまま動かない自身と海斗の姿、そして迫る黒い奔流が在った。


(────────霊乃さん)


 何が起こったかわからない霊乃の耳に、女性の声が聴こえて来た。彼女の名前を確かに呼ぶ優しい声は背後から届き、気配も背後からゆっくりと近づいて来てるのがわかった。


 そう確かにわかるのに、何故か背後には何も居ない。段々と近づいて来る足音に耳を澄まして暫くした時、振り向いた背後から白くモヤモヤした綿のような光が集まり、人の形を成した瞬間に光から白いドレスに身を包んだ白い髪、黒い目をした女性が現れた。彼女、霊乃が耳を澄ましてずっと聴いていた足音をコツ……コツ……とならしながら。


(初めまして、霊乃さん)

「……あ、貴女は一体?」


 霊乃が恐る恐る目の前の女性の正体を伺うと、女性は白く綺麗な白髪を揺らしながら優しい笑みを彼女に向けた。


(私は七聖魔法士の祖、名を、白槇 愛李(しらまき めい)と申します)

「白槇 愛李……えっ!? 貴女が、シエルさんの言っていた、Mrs.メイガス=マキア・ホワイト……!」

(まぁ懐かしい、七聖魔法士が誕生してからその名で通していましたね。正直どちらでも良かったのですけど。

 さて、久しいですね、白。いずれまた会うとは思っていましたが、この出会いである事を避けたかったのは、何度も思い願った事……でも、致し方が無い事ですかね。だから、責任を取りに来ました。霊乃さん、今から私も、あなたに力をお貸しします。我が名ホワイトを継ぐ者に、この全身全霊、捧げさせてください。

 みんなも、一緒に頑張りましょうね!)



『『『『『『『はい!!!』』』』』』』



 突然、何処からともなく7つの勢いの良い声が一斉に聞こえて来た。後ろを振り向くと、そこにはイグニス、アクア、ブルーム、ルーチェ、オンブラ、シエル、フォルテの7人の魔女……七聖魔法士が集っていた。

 全員が霊乃の振り向きに合わせて彼女を見詰め、それぞれ気合い十分である事を自らの仕草で表現した。その姿を見た霊乃は、笑いたいような、泣きたいような、どちらとも取れるようでどれでもない複雑な表情をした後、深く深く一呼吸をしてから正面を向き、やる気に満ち溢れた良い表情で愛李を見て、思い切り返事をした。



「はい!」



 それは自分も、七聖魔法士の歴史の一つとしての理解の現れ。そして、9つ有る属性の内の一つとして、成すべきを今一度理解した。

 瞬間、霊乃の全身から白い光が溢れ出し、黒い奔流と同じくらいかそれ以上の奔流で相殺し、世界へ広がる黒を丸ごと打ち消した。


『な、なにぃ!?』

「『怒髪・雷神駆(いざ駆け抜けん)』ッッッ!!!」


 黒の男が驚きと白い奔流に押されて仰け反った瞬間の隙を逃さず、霊乃は技名を力一杯叫ぶ。すると突然、霊乃にイグニスの透けた姿が重なり、共に0秒を超えた究極の領域の速さで黒の男を0秒と言う絶対時間の中でさえも置き去りにした。置き去りにするのと同時に霊乃は既に攻撃を終え、男は全身に突如現れる拳の痕を見て吐血した。


『「さぁて黒い人、こっから……こっから真の、私達の反撃だぜぇぇぇぇぇッッッ!!!」』


 重なるイグニスの口に合わせて霊乃の口も動き、口調や仕草もイグニスそのものとなって黒の男へ迫り来る。遥かに超越した速さの中、霊乃は両の拳を引いて構え、白い爆炎を纏った拳で黒の男を連続で殴り出した。


『「【煌嵐暴煉火(全力の連打)】ああああああああああああッッッ!!!」』


 1垓発にも及ぶ拳の嵐が瞬く間に黒の男を乱れ打ち、その全身を燃やしながら確実に男の肉体を追い込む。拳を打ち終えた直後、霊乃の体に今度はアクアの姿が重なり、右手から一滴の水の雫を男に飛ばす。その瞬間────


「からの……『変貌・氷龍歌チェンジ・ザ・アイスファング』!」


 男に飛来した水滴が触れる直前で膨張、肥大し、瞬時に凍り付いて更に巨大化、形を複雑に形成しながら男を殴るように弾き飛ばした。弾き飛ばされた男は崩れ去った荒野を更に崩し、深く深く大地を抉りながら数千kmも渡った。


 男を強く遠く弾き飛ばした水滴……否、既に水滴は水滴に非ず。自ら膨張と肥大を行い、変貌を遂げたそれは宛ら生きた氷────姿形をも変えたそれは龍の顎門を象り、変動で生じる亀裂や破片すらもまた美しい。


『「努力しか取り柄の無かった凡人の、いや、努力者の結晶を……食らい晒せぇぇぇぇッッッ!!!」』


 霊乃に重なるアクアが叫ぶ。弾き飛んだ男へ透かさず追い付いた霊乃は形成した氷を大量に増殖させて背後に展開、氷の弾丸を展開した氷から無数に射出する。それから増殖させた氷の一部を膨張と肥大の連続で体積を増大させ、再び龍の顎門を形成して、今度は7つの顎門を男に放った。


 放たれた龍の顎門は黒の男を狙い撃ち、噛み付いたり体当たりしたりでダメージを稼ぐ。流石に無抵抗に攻撃されるだけでは無い黒の男だが、反撃に出ようとしたタイミングで7つの龍の顎門が素早く口を開き、中から両刃の氷の刃を突出させて一斉に飛び掛かる。


『「【光り輝く水の聖剣(アロンダイト)】おおおおおおッッッ!!!」』


 やられながら回復を図った黒の男の反撃を7つの氷の刃が許さない。一斉に斬りかかった龍の顎門が男の首、胸、腹部、眉間、脇を貫かんとする。しかし氷の刃は男の皮一枚に阻まれて肉まで到達出来ない。その瞬間霊乃の体にブルームの姿が重なり、続いて龍の顎門がライフル状に高速回転を開始した。


「『成長・樹大閃せいちょう・じゅたいせん』ッッッ!!!!」


 龍の顎門が回転のみならず自らの口から水を吹き出してそれを纏い、水のドリルの如き形態と化して黒の男の硬い体を少しずつ、少しずつ穿たんとする。しかし男は水のドリルを黒い流れの絶大な放出で全て砕き、掌を霊乃の居る方向に向けた。


 その直後────


『ごォォッッッ!!?』


 死角である下から喉に減り込む爪先の一撃。霊乃は気配を自然と一体化させて黒の察知を逃れ、それを利用した不意打ちを行い、見事成功させた。透かさず霊乃は自然が編み上げた鞭、頑鋼茨凶鞭を二振り手に取り、胸の前で交差させて力を溜める。


『「ワシ等の強さ、まだまだこんなものじゃ無いぞ! まずは鞭でも食らっておれぇぇぇぇぇ!!!」』


 霊乃に重なるブルームが叫ぶ。喉元に突き立てた右足の爪先を更に奥に押し込み、その瞬間の力みを鞭の振り抜きにも用いて一瞬で黒の男を2000京回打ち据える。2000京回打ち据える前に霊乃は鞭を一本手放し、残ったもう一本を強く握り締めて男を突き立てた右足の爪先で蹴り上げる。

 蹴り上がって距離が空いた直後に身を翻して空中を蹴り、鞭を何度か振るって位置を整え、最後の一振りで鞭の先端を飛ばし、黒の男の胸に突き立てた。


『ごがァッッッ!!!』


 これぞ自然そのものである木の魔女だからこそ成し得る鞭の使用法。よもや男も鞭で刺突(・・)をして来るとは夢にも思わなかった事だろう。そして、それ以上に思わなかった事……それは、自らが下した筈の相手が、霊乃を通して反撃をし、剰えそれを可能とし成功させるだけの実力と技量を発揮している事だ。


 こんな事があって良いのか? こんな事が、こんな事が……


『「【大凜樹界(たいりんじゅかい)】ィィィ!!!」』


 黒の男が自身の中であり得ないとする出来事に頭を混乱させる最中、地面を突き破って発生する半径500kmの超超超巨大樹が伸びながら男を押し出し、そのまま宇宙へと放り出した。この時の超超超巨大樹の長さ、実に38万km! 押し出した先に丁度月が来ていたので、男はそのまま月に激突して尚且つ貫通した。


「『正義・輝想心(シャイニングハーツ)』! 『深穴・滅黒葬(ダークネスファントム)』!!」


 黒の男を追って再び宇宙に突入した霊乃に今度はルーチェとオンブラが合わせて重なる。光と闇、相反する力が合わさる時、それは奇跡を超えた魔法へ至る。


『「黒よ! あなたは私達が止める! この世界の為に、あなたの為に!!!」』


 霊乃に重なるルーチェが叫ぶ。それは彼女の、ルーチェの願いにして、絶対に曲げない自らの正義の誓い。霊乃に匹敵、もしくはそれ以上の強い意志を以ての心の約束。


『「私はアナタが許せない。だからこそ倒し、だからこそ屠る! そして必ず、償わせるッ!!!」』


 霊乃に重なるオンブラが叫ぶ。己の持つ魔法は最も黒に近しいモノ。故に、倒す。だからこそ、許す。この"黒"も、世界を守る存在の一つだったのだと理解して……


『「そしてこれが、私達姉妹の絆。決して砕けぬ想い、信念! 貴様にこれが受け切れるか!? 黒ォ!!!」』


 霊乃から紫の触手が幾つも伸びて黒を拘束した時、ルーチェとオンブラの声が合わさり、霊乃に重なる二人が互いの手を握り合わせる。霊乃はそれに合わせて右手と左手を握り合わせ、前に突き出した両手の中で光と闇が馴染むように融合した。

 この技は、本来二人が持たない技。どちらが欠けても成し得なかった奇跡の一撃……その名も────



『「【光闇一体崩天撃エボリューションバスター】!!!!!」』



 握り合わせた両手の先から光と闇の魔力砲撃が互いに螺旋状に回転しつつ、徐々に拡大しながら黒の男を呑み込んだ。姉妹の奇跡の一撃を受けた黒は受けて耐えるだけで精一杯で、間も無く砲撃の波動に飛ばされて地球に落ちていった。


 霊乃はこれを追い、その途中で体にシエルが重なる。同時に瞬く間に地球に降り立ち、目を見開いて両腕を大きく広げた。


「『蒼空・天衝覇アリア・スカイバースト』!!!」


 霊乃の宣言と共に空が晴れ渡り、未だ落下を続ける黒目掛けて落雷、灼熱、氷塊が猛スピードで降り注ぎ、最終的には空気の圧縮爆発が黒に対して発生し、衣服をボロボロにしながら黒の男は再び落下を再開した。


『「ずっと考えてました。私は、私達は、貴方と言う存在を、ずっとずっと考えてました。そして辿り着きました────私達と貴方、黒は、元々一つだったと……長く考えてやっと、理解しました!!!」』


 霊乃に重なるシエルが叫ぶ。その真実に気付いた……否、違う。その真実を思い出した。からこそ自分達は、その心を打ち砕き、取り戻さねばならない。


『「【時砲(タイムブレイク)】ッッッ!!!」』


 力無く落下する黒に即座に近づき、胸部に両手での渾身の時砲。その威力で空中で静止する黒に追撃する為、霊乃の体にフォルテが重なった。


「『頑地・冥破轟ガイア・ブレイクインフェルノ』!!!」


 霊乃の全身に光沢のような閃きが走ると同時に彼女はそのまま黒を真下から腹部に0秒連打を叩き込んだ。その連打の破壊力は通常の白の霊乃とは比べ物にならない程硬く重く、そして強かった。連打を腹に受けた黒は堪らず吐血、内蔵の損傷を確かなモノとした。


『「だからこそ、私達は貴様を倒す! この心の一撃を以てなァッッッ!!!」』


 霊乃に重なるフォルテが叫ぶ。その為に殴る! 所謂鉄拳制裁! もしそれでも聞き分けないと言うならば、わかるまで心に打ち込むまで!!!


『「【超絶怒涛滅凄覇アメイジングインパクト】ォッッッ!!!!」』


 空中を蹴って高く飛び上がり、再び空中を蹴って急降下しながら右拳に力を溜め、地の魔女の空を穿つ渾身の一打を黒の男に直接叩き込む。背中に一撃を受けた黒の男はその威力のまま一気に地面まで落下し激突、一瞬で地面に半径1000kmに及ぶクレーターを形成してしまった。


 更に追撃を加えようと霊乃が黒を追う中、地割れの中心で力無く仰向けでいる黒がふと目を開け、黒を追う霊乃の眼前にいつの間にか迫っていた。刹那、霊乃が意識すらも追いつけない0秒を駆け抜け、黒は今までの膂力を遥かに上回る超連打を霊乃に見舞った。


 突然体が動かなくなった霊乃は自由落下を始めながら口や鼻から夥しい量の血を排出し出した。あれだけの攻撃を全身全霊で打ち込んだのに、まだこんな膂力があるなんて、何て事、何て恐ろしい……


 あの一瞬で再び形成がひっくり返ってしまった。霊乃は黒の攻撃を受けて、意識が薄まってしまっている。もう、ダメなのか……もう、手は無いのか……このまま諦めてしまうのか、私は────────


 いや、違う! それは違う! まだ、まだ有る! まだ在る!! まだ、勝てる要素はある!!!


(霊乃さん! まだです! 貴女はまだ使ってない、最後の取っておきが有る! 相手の、黒の体力も恐らく限界が近いでしょう。今こそ、使う時です!!!)


 使ってない取っておき?


(さぁみんな! みんなの力を今一度彼女に、霊乃さんに! これが最後、これで決着、これで……全てを終わらせますよ!!!)


 意識を何とか立て直し、霊乃が落下から復活した直後、白こと愛李が号令を掛けたその途端、霊乃の体の前に14本の手が集い、その中心に七色の光が灯る。光に誘われるまま霊乃自身も両手を近づけると、その瞬間に光が白く輝き、段々と巨大化していき、その密度と総量を爆発的に増大させていく。


 霊乃の光を見た黒の男も意を決したのか、右掌に全身の黒い流れを集め、黒い力の塊を形成、霊乃の光と同じく段々と巨大化させていく。


 両者の距離は約200km。互いが豆粒程度にしか見えない距離で、両者の形成する力は自身を遥かに上回る大きさ。見えるのは姿形では無く、最早互いの必殺技のみ。

 黒い男が更に力を黒い塊に込め始めた時、霊乃も両腕を背後に一杯まで引き、必殺技の最終体勢を整えた。



『火!』


『水!』


『木!』


『光!』


『闇!』


『天!』


『地!』


(白!)



『『『『『『『(今こそ! 我等七聖二祖の力合わせる時!!! 目前の邪悪を討ち祓わん!!!!!!!)』』』』』』』



 そうか。これが、この技が、最後の技……技名は、これか。頭に流れる文字を見て、霊乃は覚悟を込めて名を叫ぶ────────






『【滅走黒烈(めっそうこくれつ)】!!!!!!!』


「【七聖輝白煌(セブンスヴァイス)】!!!!!!!」








最終話へ続く

────あと0

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ