15話 私にできる事
前回より短くてすみません
つまりはですよ、お兄ちゃんは次期王太子妃になるであろう女性を、仕えている王太子から奪っちゃったというわけですよね。
略奪愛なんて萌える! なんて夢見る乙女な私ですが、実際起こってしまうと何とも言えません。
駆け落ちした二人は捕まるまでは良いでしょう。辛いことも愛で乗り越えられるでしょうから。
でも残された家族……私たちの処遇はどうなるでしょ?
最悪打ち首獄門、良くて公爵家は解体され、一家離散で国外追放じゃないでしょうか。王権が最も強いこの世界ではあり得ない話ではありません。
血の気が引いていくのが分かります。
「今トーヤは単独で出張という事にして、急いで探させている所なんですけど、その間のフォローをコロネ、貴女に頼みたいんです」
「私がですか……?」
フォローと言っても私に一体何ができるでしょうか。
私は確かに神子と呼ばれる特別な存在なのでしょうが、あまり実感がないのも事実です。
神子の力も特別使ったという感じもなければ、魔法を使ったこともありません。
お兄ちゃんやシーザーさんの様に戦うこともできませんし、交渉するような話術があるわけでも、流行りの異世界開拓主人公のような知能も才能も私にはないでしょう。
でもここで躊躇うのはいかがなものでしょうか。
お兄ちゃんと約束したあのバカ王子たちを見返すこととはまた違いますが、私自身が変わらないと何もできない気がするのです。
今までの私は、現実から逃げて何をするにも躊躇って自分で自信を無くして結局なにもしないで後悔するばかりでした。
たぶん今が、私が前に踏み出すチャンスなのかもしれません。そのきっかけが駆け落ち中のお兄ちゃんと言うのは複雑ですが。
「トーヤを良く知る貴女ではないと出来ないことです。引き受けてもらえますか?」
私は意を決し大きく頷き、今ここに宣言します。
「引き受けます! お兄ちゃんの名にかけて!」
このネタ分かる人いるんでしょうかね。結構昔にやっていたアニメで、探偵少年が「じっちゃんの名にかけて!」って言ってたんですけど。
シーザーさんとパパが私の決意にありがとうと言ったりしてツッコミがない当たり、この世界の人には通じないみたいですけど。お兄ちゃんならきっと分かってくれるはずです。
お兄ちゃんの切れのいいツッコミを貰うためにも、まずはお兄ちゃんが無事? 帰ってこられるように出来ることをしなくてはなりません。
「シーザーさん、パパ。私は何をしたらいいのでしょうか?」
お読みいただきありがとうございます。
主人公が一歩踏みだす覚悟をしました
次回かその次回、新キャラがでるはず!
名前だけでは王太子の婚約者がでましたが、王太子もその婚約者の公爵令嬢も結構重要人物になってきます。
これからも読み続けてくだされば幸いです。
よろしくお願いします。