義姉の悩み 2
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碧く輝く湖と、芽吹きはじめた新緑が美しい。
少しひんやりとした澄んだ空気が吹き抜けていく森林では、小鳥たちがさえずっている。
自然豊かで閑静で、時間の流れすらゆっくりと感じられそうな、とてものどかな雰囲気だ。
青い屋根に白い壁の離宮は長方形の形をしている。
外観の雰囲気は、どことなく赤坂離宮に似ている気がした。
この離宮の名前はヴェルデ・マーレ・パラッツォという。意味は、青緑色の離宮、だ。屋根の色からそう名付けられたのだろう。
離宮の正面玄関の前で馬車を降りると、使用人たちに囲まれるように、六十代後半ほどの外見の老紳士と、五十代半ばくらいの優しそうな女性が立っていた。
老紳士の方はシルバーグレーの碧い瞳をしている。顔だちはフェルナンドに似ていた。そう、いぶし銀の――
(なんて……素敵)
思わずぽーっとなってしまう。フェルナンドに似ている、ということは、言わずもがなイアナのストライクゾーンど真ん中。隣には指輪をはめているいぶし銀な夫、前方はその夫によく似たいぶし銀。ここは天国だろうか。
感動に打ち震えていると、こほん、と小さな咳ばらいが聞こえた。横を見れば、フェルナンドがどこか冷やかな目でイアナを見下ろしている。これはあれだ。嫉妬中の目である。
(浮気じゃありませんからね!)
ちょっと見とれただけである。だけど「見とれた」なんて言おうものならフェルナンドの嫉妬心に火がつきそうだ。危険である。絶対言えない。
「アルじぃじー!」
ルクレツィオがぱっと顔を輝かせて駆けだした。そのあとを「じぃじー」と言いながらカーラが追いかけ、カーラのすぐ後ろをビアンコがとたとたと追う。
「ルクレツィオ、大きくなったなあ」
アルフィオ先王がその場に片膝をつき、飛び込んできたルクレツィオを抱きしめた。遅れてやってきたカーラも、もう片方の腕を広げて一緒に抱き寄せ、それからビアンコに目を止める。
ぱちぱちと目をしばたたくこと数秒。
「おい、フェルナンド」
アルフィオ先王は驚いたように顔を上げた。
「この可愛い子犬は何だ!」
「……兄上、その前に挨拶させてください。何勝手にはじめているんですか」
「ああ、そうだったな。孫が可愛くてつい」
「ルクレツィオとカーラは兄上の孫じゃありません。私の孫です」
「けちけちするな」
アルフィオ先王は口をとがらせ、ルクレツィオとカーラの頭をぽんっと撫でると立ち上がる。
そしてイアナに視線を向けてふわりと笑った。
「ようこそ、ヴェルデ・マーレ・パラッツォへ。歓迎するよ」





