20/132
僕たちの永遠に変わりない
だってさっきまで
繋いだ手の先に君がいたじゃないかって
思わずにはいられないんだけど
今、僕の目に映る君は
不自然なほどホームの先にいて
駅から地上に続く階段の途中にいる僕を
見上げるように眺めていたんだ
君は改札に入る前に
惜しむように僕の小指に触れ
愛おしそうに至近距離で眼差しをよこし
自身に言い聞かせるように
「また会えるよ」と呟いた
そう、お互いの想いに忠実に生きるには
あまりにも物理的な距離が
離れ過ぎていたから
ねぇ、最後まで僕は
手を振り続けたんだよ
階段を上り下りする人々が
物珍しそうに視線を投げかけてきたとしても
意を決するかのようにホームの先から
電車に飛び込んだ君の後ろ姿が
最終的にどの車窓に存在していたのか
正確に把握出来ていなかったとしても
僕は……
もしあの瞬間が
「僕たちの最後」だったとしても
ほとんど
「僕たちの永遠」に変わりない




