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2月の事だ。春馬は大学4年生。昨日、最後のテストを終えて、後は卒業式を待つのみだ。春馬は再来月から小学校の教員となる。両親とも教員だった事、それが教員の道に進んだ理由の1つだ。この先、大変な事はあるだろうけれど、乗り越えていきたい。そして、その先で結婚して、幸せな家庭を築きたいな。
「さて、明日から卒業旅行か」
春馬はテストが終わったら、卒業旅行に行こうと考えていた。目的地は京都だ。京都には小学校の修学旅行で行って以来、全く行った事がない。いろいろ変わっている所があるだろうけれど、小学校の頃に行った場所を中心に行ってみよう。そこもいろいろ変わっている所があるかもしれないし。
「楽しみだな」
春馬は大学生活を振り返っていた。いろいろあったけれど、とても充実した4年間だ。その4年間の中で、たくさんの友達ができ、いい思い出になった。きっとそれは、これからの人生の糧になっていくだろう。これからの日々が楽しみだな。
「大学生活いろいろあったけれど、後は卒業式を残すのみ。思えばいろいろあったな。友達ができて、そこで過ごした日々、とても楽しかったな。これらの思い出を胸に、僕は教員として生きていく」
再来月からは教員だ。なれない事がいっぱいあるだろうけれど、頑張っていかなければ。
「これからの日々、楽しみだな。どんな出会いが待っているのか」
春馬は小学校の修学旅行の事を思い出した。あの時は楽しかったな。いろんな所に同級生たちと一緒に巡れて、とてもいい思い出になった。だが、1つ心残りだったのが、一友の事だ。一友は幼馴染で、幼稚園の頃から仲が良かった。だが、小学校5年の頃に心臓病を患った。入院の日が多くなり、それ以来、小学校に全くと言っていいほど行けなかった。修学旅行にも行けなかった。一友は涙を流していたという。お土産を持ってきたが、全く機嫌が直らなかったという。
「京都に行くの、小学校の修学旅行以来だな」
春馬は今でも一友の事を忘れられない。小学校の教員になったのは、それもきっかけだ。一友の事を話していけたらいいなと思っている。
「楽しかったな」
春馬は一友と過ごした日々を思い出した。一友は運動神経がよくて、将来が有望視されていた。成績は良くなく、優秀な春馬に手伝ってもらいながら、頑張っていた。まさかあの時は、心臓病を患うなんて、思ってもいなかったな。
「一友くん・・・」
春馬は一友が死んだ時の事を思い出した。あれは本当にショッキングだった。あれは小学校6年生の夏の事だ。みんな、夏休みの勉強を頑張っていた。そして、登校日を間近に控えていた時の事だ。電話が鳴り、一友が危篤に陥ったと連絡が入った。春馬は両親と一緒に大急ぎで病院に行った。だが、すでに一友は死んでいた。一友の死ぬ時に来れなかったつらさが込み上げてくる。そして、短すぎる人生を考えると、涙があふれて止まらない。どうして心臓病で死ななければならなかったのか。どんなに聞いても、答えが見つからない。
「今度は僕が先生の立場になるのか」
春馬はもうすぐ、教員として頑張っていく事になる。
「何が何でも、楽しみだな」
「ねぇ」
その声を聞いて、春馬は振り向いた。一体誰だろう。ここには自分1人しかいないのに。誰かが勝手に入ったんだろうか?
「えっ!? 春馬くん・・・」
そこにいるのは、一友だ。一友は下半身が幽霊だ。まさか、一友が幽霊になって現れるとは。春馬に会いたくて、ここにやって来たんだろうか?
「一友くん!」
春馬は驚いた。まさか、一友が現れるとは。どうしたんだろうか?
「京都に卒業旅行に行くんやね」
「行くんだよ」
京都に行くけれど、それがどうしたんだろうか? 何か言いたい事があるんだろうか?
「どうしたの?」
「一緒に行こう思うて」
春馬は驚いた。一緒に京都に行こうと誘ってくれるとは。とても嬉しいな。1人より、誰かと一緒に行ける方が嬉しいからな。
「いいよ! 行けなかったからね」
「うん。行きたかったわ」
一友は下を向いている。みんなが修学旅行に行ったのを知って、とてもつらかった。自分も行きたいと思った。だけど、病気になり、それはかなわなかった。だけど、いつかみんなと一緒に京都に行きたい。死ぬ時まで、その事を考えていたという。
「だよね。心臓病で若くして亡くなっちゃったもんね」
「つらいよ・・・。つらいよ・・・」
一友は泣きそうになった。もっと生きたかった。だけど、それはできなかった。本当につらいよ。もっと一緒にいたかったよ。中学校、高校、大学を卒業して、就職して、家族を設けて、天寿を全うしたかったよ。
「その気持ち、わかるよ」
「ありがとう」
春馬は思っていた。一緒に行こう。10年前にできなかった修学旅行に一緒に行こう。
「じゃあ、一緒に行こうか?」
「いいん?」
一友は驚いた。まさか、一緒に行くとは。本当に嬉しいな。
「いいよ。あの時と同じように行こうよ」
「わかった!」
春馬は涙を流した。嬉し涙のようだ。よほど京都に行けるのが嬉しいようだな。
「どないしたん?」
「まさか一緒に行けるとは」
一友は春馬と一緒に行ける事を喜んでいた。本当に嬉しいんだな。一緒に行きたかったんだな。
「びっくりした?」
「うん。とても嬉しいよ。明日が楽しみだよ」
春馬は明日の卒業旅行がより一層楽しみになった。何しろ、一友と一緒に行けるのだから。
「せやろ?」
「うん」
春馬は時計を見た。そろそろ寝ないと。明日は卒業旅行だから。
「もう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
春馬は部屋の明かりを消して、寝入った。一友はその様子をじっと見ている。




