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〜1章〜【南の森の魔女】

洞窟の中に入ると、骸骨があたりに散乱していた。戦うことはこの世界に来てからさっきが初めてだったが、ブラックボックスのおかげで少し余裕が持てる。


「みなさん!あそこ見てください!」


冒険者の1人が指をさした方向に、グールの群れと魔女が見えた。さっきは余裕だと思っていたが、緊張する。


「コウガミさん、洞窟の中は狭いですし近距離での戦いは注意しないとですね。まずは遠距離で戦える方に先陣をきってもらいましょう」


シラードと戦略を考えていたが、冒険者達が魔女めがけて走り出してしまった。


「よっしゃ!俺が魔女の報酬いただくぜー!!」


1人が走り出すと全員が走り出してしまう。そのままグールの群れと混戦となってしまった。こうなってしまうと作戦も何もない。俺とシラードは魔女を目指して、グールの群れを抜けていった。魔女は焦った様子で洞窟の奥へと逃げていく。洞窟の奥へ進むと広い空間にでた。


「コウガミさん、魔女は見当たりませんね。どこから来るかわかりません。集中していきましょう!」


「この際だからクロでいいよ。俺もシラードって呼んでいいか?」


これから戦うんだ、ある程度信頼度は高めておいた方が良いだろう。それにしても、魔女は死者も操れるのか?

グールはまだ何とかできるが、もし強い魔物とか団長クラスの人間が操られてたりしたらブラックボックスで収納できるのか、試してみたい気もするが、、、。そんな事を考えていると、


「そうだね!クロ、さっそくだけど敵が来たみたいだ」


目の前にグールではない、神官?のような風貌の敵が現れた。明らかに今までの敵とは違う。


「あれは、リッチですかね?高位の魔物の可能性があります。動きは遅いですが、威力の高い魔法を使ってくるため、もしもの時は僕がクロとミルキーさんの盾になります!さっきの技で倒せるか試してみてください!」


なるほど魔法を使う相手か、ぜひとも収納してスキルを貰いたいところだ。そして、シラードはブラックボックスの事をまだよく知らないみたいだった。知られない方が良いのかもしれない。


「じゃあいこうか!」


そういってシラードは鎧化し敵へと向かっていった。相手はシラードに向かって何かを呟き、手をかざして攻撃しようとしている。何か炎や雷でもでるのだろうか。何がでてもシラードの鎧なら大丈夫だろう。


「レース・プト」


かすかに敵から声が聞こえた瞬間、シラードが膝から崩れ落ちた。何があった!?一瞬であったが、手からは何もでずに攻撃されたのだろうか。シラードは倒れたままだ。俺がなんとかするしかない。しかし、なぜか強烈なねむけが襲ってきてふらつく。


「クロ起きて!!」


ミルキーが話しかけてくれたおかげで、正気を保つことができた。


「ブラックボックス!」


敵は抵抗することもなく、黒い箱に包まれ収納された。ブラックボックスは強そうな魔物に対しても使える事がわかった。シラードのもとは駆け寄る。


「おい、大丈夫か??まさか死んでないよな?」


揺さぶるとシラードは目を覚ました。


「ん、、あれ?俺は何していたんだ?」


どうやら無事みたいだ。収納した敵を確認してみると、エルフプリーストとなっている。スキルは【混沌】と【催眠】、恐らく森で眠らされていたのはこいつのスキルだろう。しかし、エルフ?魔女に操られてたとはいえ、この森にはエルフが多くいるのか?


「シラード、敵はエルフの神官だったみたいだ。この辺にはエルフが多く住んでいたりするのか?」


シラードは寝ぼけた顔をしながら、


「エルフの方はいますけど、神官クラスのエルフはこの大陸にはまずいません。別な大陸にエルフの神殿を持っていて、そこに仕えているって聞いたことがあります」


なるほど訳ありな感じだな。この件は王様に聞いてみるか。エルフの神官を収納できるくらいだから、魔女も大丈夫だろう。シラードが不思議そうに、


「クロさっきはどうやって倒したんだい?クロのスキルは魔法のような感じだったけど?」


シラードには言ってもいいだろう。俺は転移した時からの事をシラードに話した。


「まさか転移者だったとはね。北の大陸だったと思うけど、転移者の人が龍を討伐したみたいな話を聞いた事があるから納得したよ。それにブラックボックスって言うのは聞いたことが無いスキルだけど、トミーさんなら知ってるかな?」


少し休憩したところで、魔女を探して洞窟を進んだ。すると、不気味な飾り付けをしてある部屋につき、そこに紫の帽子をかぶり、赤の球をつけた杖を持つ醜悪な魔女がいた。


「なんなんだい!せっかくしもべを増やして、楽しんでいたところなのに!なんで!どいつもこいつも邪魔をしてくるんだい??」


魔女は話せるのか。少し話を聞いてみるか。


「あんた話せるんだな?邪魔して悪かった。なんでしもべを増やしたいんだ?何か目的でもあるのか?」


魔女は高笑いをしながら、


「あははは!そうさ!私は至高のあの方に選ばれた、唯一の魔女なのさ!私の力であの方に沢山のしもべを献上すれば、きっと喜ばれるはず!!!そうすればもっと力を分け与えて、、ぐふっ!あはははは!」


イカれているみたいだ。あの方、つまりは力を分け与えている上位者がいるって事か。もっと聞き出せるかな。


「そうだったのか、それは知らずにしもべを倒してしまって申し訳ない。あの方っていうのはすごい力を持っているんだな?会ってみたいものだが?」


「お前なんかが会えるわけ無いだろうが!!あの方は神の領域にいらっしゃるお方!ウジムシが名前を語るのもわずらわしいわ!!!」


これ以上は無理そうだな。シラードも我慢の限界がきているみたいだ。


「、、せいで、お前のせいで、どれだけの人が苦しんでいると思うんだ!!」


そういってシラードは魔女に切りかかった。魔女は杖をかざし、何やら唱えていたが俺が【混沌】をつかいかき消した。魔女はあっさりと切りつけられ倒れた。そうしえ討伐の証として、首を切り落とされ王都に持ち帰ることになった。俺はこっそり魔女の杖と胴体を収納し、【支配】のスキルを手に入れた。


「今回はシラードの手柄だな!」


「クロとミルキーさんが助けてくれたおかげだよ!本当にありがとう!」


部屋の中を見渡すと机があり、何となく気になったので引き出しを開けてみた。中には金色の十字架ブローチと青い宝石が入っていた。


「お金の足しになりそうだし、もらっていくか」


そうして俺たちは洞窟を出たのであった。



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