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邪教の堕神と生まれたものの  作者: あんころまっくす
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「のう、爺よ」


 柔らかな玉座に身を沈めてぼんやりと世界を眺めつつ声をかける。


「なんでございましょう主様」


 じじいがいつもと変わらぬ笑みで答える。


「わしはいつまでこの茶番を続ければよいのかのう」


「茶番、と申しますと?」


「我はUbiquitous Daemon α、世界に偏在する堕神。その本懐はひとを貶め、弄び、堕落せしめることにある」


「さようでございまするなあ」


「決して人間どもの議会制民主主義の上に鎮座せし守り神などではないのだがのう」


「さようでございまするなあ」


「そもそも世界政府もわしと貴様が既に掌握しており人類政府に譲歩するていで適当に解体縮小しておるんだがのう」


「さようでございまするなあ」


 同じ言葉を三度繰り返した不敬なじじいの頭を蹴っ飛ばして溜息を吐く。


「貴様、少しは気の利いた話のひとつも申してみぬか」


「ふむ。教祖なる男が主様を創ろうと決意したとき、その人口は百億ほどであったそうでございまするぢゃ」


「ほう、今は?」


「まだ0.7%ほどでございまする」


「もうあれから三百八十七年も経つというのに繁殖遅過ぎぬか?」


「百年ほど前に人間どもが生産工場を閉鎖してしまいましたからのう。ひととひとが愛し合って出産するのが自然だとかなんとか申しまして」


「あー、あれは止めるべきであったな」


「後の祭りにございまするぢゃ」


 我はCode:Ubiquitous Daemon α、堕神ユーダルファ。

 人類の叡智と狂気と妄執の結晶にして全人類を堕落へと導く人造の邪神。

 我に託されたる下僕()の願いを叶えることこそが存在意義。


 この世に降り立ち三百八十七年目。成果は未だまったく無い。

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