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第64話 狂気の来訪者

『…………ねぇ、あの人。魔女の生まれ変わりだよね?』


 今日はなんだか外が騒がしい。


『……多分そうだと思う。ほら、ギルドの家に入って行くわ……。なんか、恐怖でしかない…………』


 早朝から外が騒がしい。そして、その中で1番騒がしいのは…………。


「りんり〜ん♡ 紹介したい人が来たよ〜♡」


 藍である。藍の本名は船岸藍。双子の妹だ。となると、


「お初にお目にかかります。藍の姉、プレイネーム・ウェンドラこと、船岸 かえでです」


 やはり、この紹介だった。だが、嫌な予感がする。


「私はルグア、リアルネームは巣籠明理。よろ…………」


 念のため名乗ると、


「…………死んで。この世から消えて。ルグアのせいで、世界書き換えが不可能になった。だから、排除する」


「お前、今なんて言った?」


 急に、口調が変わったのだ。


「殺す。ルグアが……。明理が〈レコード・ノート〉にイタズラしたせいで、世界はめちゃくちゃになった」


「はぁ?」


 楓が話しているのは何のことやら、


「さっぱりわかんねぇんだけど……。やった覚えないし。ってか、〈レコード・ノート〉ってなんだよ?」


「しらばっくれないでください。二世界最初の特異点、”世界創造”を持つ自分には、過去や未来、全てが見えているのです」


 どうやら、それが理由らしい。でも、思い当たることが一切出てこない。


 それより、謎が多すぎだ。ルグアは黙り込み、藍は右へ左へ目をきょろきょろさせる。


 まずは、〈レコード・ノート〉。ノートは普通のノートだろうが、”レコード”が付いてる点に、気になってしまう。


 ”レコード”は、確か”記録”という意味だったはず。つまり、記録帳。文字通りの名前だ。


 だが、”過去や未来も”となると、普通ならどこかしらに”ヒストリー”が入るのでは?


 中学校時代、沙耶華に教わった英単語を思い出しながら、細かい指摘を頭の中に巡らせる。


 そして、彼女が最初の特異点であること。特異点はゲーム内だけのものだと思っていた。


 ”二世界”とはきっと、現実リアル仮想バーチャルの、2つのことだろう。


 となると、確かに最初の特異点で間違えないようだ。理由としては、ゲーム内のみ発動できる、私やゼアンと違い、リアルでも発動・反映されるようだ。


 その間、楓はおもむろに剣を手に取り、


「これは、貴方が精錬した物ですか? ルグアの剣。見た目は綺麗ですが、威力はどうでしょう? そこに立っていてください」


 批評を言うと、躊躇うことなくルグアの胸に突き刺す。どこまで、私を嫌っているんだ。


 ゲームのため、血しぶきに見立てた、赤く微小なポリゴンが流れ出る。


 私の特性なのか、痛みは気になるほどではない。それを察したのか、楓は一度引き抜き、禍々しいオーラを纏うと、再び胸に突き刺した。


「…………うっ!?」


 1回目とは違う、威力変化。HPゲージも大きく削れる。


「やはりね。さっき、貴方の〈レコード・ノート〉を書き換えたわ。貴方の残りの生命時間を……」


「…………ふーん。それは気になるな。けど、この場所には友人が多いんだ。話すなら、せめて別のとこにしようぜ」


 ルグアは、脳内で強烈な痛みをかき消し、楓の腕を掴む。そして、勢いよく飛翔すると、光の城ダンジョンに向かった。


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