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第43話 ガイアとセレスのヒール&ブレイク

  敵が多い、多すぎて間に合いそうにない。心の奥で半分弱気になるガイア。


 いくらセレスの回復量が高くても、弾いた分だけダメージを受ける。


「ガイアさん、大丈夫でしょうか? もう少しで、ルグアさんが応援に来てくれる、はずなんですけど………」


 作戦には、開戦から1時間後に、セレスとガイア。1時間30分後に努とルクス。


 2時間後は彰とガロン。2時間25分後藍のところに、移動する予定になっていた。


 開戦時から1分ずつ進んでいく時計には、まもなく1時間を過ぎようとしているが、来る気配がない。


 ここは見せ場なのでは。ガイアは、斧を隠し持っていた日本刀に替えて、下段に構える。


 切り上げ、上段で刃の向きを直し下ろす。間を空けずに腰の横に添えて一閃。


 回転斬りを含めた1人の侍の動きに、外国人プレイヤーは、攻撃を止めて手を叩く。


 まるで、ショーをしているかのような光景に、セレスも扇を取り出し、着物姿で日本舞踊を披露。琴の音色が響き渡り、闘争心を打ち消していく。


 癒されたのだろうか、相手の何人かが眠りについて、武器を捨てると横になった。


 日本には、特殊な武器が存在するんだ。ガイアはすみませんと声に出しつつ、眠ったプレイヤーを倒す。


『卑怯者!!』


 1人の敵プレイヤーが叫んだ。


 このゲームをしている人は、複数の言語を話せる。正確には、リアルタイム翻訳が搭載。


 言われてみれば、卑怯かもしれない。


 正々堂々と勝負するのが、正しい戦い方だ。でも、セレスは舞踊を踊っているが、攻撃もしていた。


 扇を手首の返しでヒラヒラ流すと、先から炎の花弁が舞い、まっすぐ振ると、水が飛び出す。


 花弁を受けた者は燃焼し、水を受けた者は、一瞬にして凍りつく。


 ガイアの身体も凍ったが、こちらは、HPを増やし最終的に全回復。


 刀から斧に戻して、振り回す。攻撃は全て命中――敵が密集・密着状態なのもあるが――ポリゴンが散らばった。


「セレスさん、これが続けば、しばらく問題なさそうです。それと、着物姿、とても似合っています」


 侍より日本舞踊、技の美しさより舞いの美しさ。戦いながらも魅了された、踊りは続く。


 2曲目に入り、聴こえてきた三味線の音。振り付けも激しくなる。


 速くなったらゆっくりに、ゆっくりになると再び速く。手首の返しも増えて、桜吹雪が戦場の空を彩る。


 癒され、争いを放棄したプレイヤー。ガイア達の周辺は、あっという間に文化会館と化した。


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