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第42話 8人の勇者《なかま》


 ――バサッ!!



 弓を構える彰に誰かがぶつかった。ほんの少しの痛みを感じ、近くを探すと、


「狙いを定めているところ、申し訳ないです。前をしっかり見るのを忘れていたので、わたしが悪いです」


 ガロンが頭を下げる。彼女は、背中に重そうな銃を背負っていた。

 そんなガロンに最初の疑問。


「ガロンさん、どうしてボクのところに?」


「ルグアさんの命令です。『大まかな武器種が同じ、または、攻撃と回復役の組み合わせが良い』と言っているので来たんです」


 確かに、ボクとガロンは同じ遠距離武器。そして同じエルフ。他の人に内緒にしていたが、彰の背中に羽根がある。


 ルグアさんはそこまで計算し答えを導き出して…………。感心しながら、弓に矢をセット、弦を引き絞って放つ。


 ガロンも銃弾を装填すると、乱れ打ちで加勢した。


 ◇◇◇◇◇◇


 広い荒れ地に1つだけある湖のほとりで、反対側から飛んでくる槍を避けながら、藍は魔法で応戦中。


 槍は一直線で地面に突き刺さり、それを引き抜くと特殊毒を付与させて、投げる。


「日本……。毎回負けてるから、本当にだいじょうぶなのかなぁ〜。りんりんが考えた作戦、成功すればいいなぁ〜」


 半信半疑で的にヒットさせていく藍。リアルとの違いに今でも戸惑いながら、全力で戦うことにした。


 ◇◇◇◇◇◇


「ガイアさん、回復は任せてください!!」


「はい、お願いします。私もセレスさんに攻撃が当たらないよう、頑張ります。作戦通りにいきましょう」


 2人は、湖から10km離れた草原で、地上と空中に別れて多くの敵を抑制していた。


 押し寄せる相手を弾き、打撃攻撃で、一時的に行動不能にしていくガイア。


 そして、彼を回復でアシストするセレス。これも全て、ルグアの勘とゲーマーとしての知識で決まったチーム。


 確かに効率がいい。ルクスの妹は、セレスが使う回復魔法の平均回復量まで見破っていたのだから、勘の鋭さに唖然とした。


「ガイアさん!! 次が来ます!!」


 セレスの言葉で現状を思い出し、斧を構える。


(敵は、たくさんいる、少しでもルグアの方に…………)


 なだれ込む人を一掃するため、彼は勢いよく振りかぶった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ルクスは、妹がいる場所から100km北に位置する山嶺で、努とともに、トラップ作戦を決行していた。


 この場所の奥には、敵の本拠地――つまり、臨時リスポーン地点がある。


 妹が言うには、拠点から移動する際、必ず通る道に仕掛ければ、遅延させる確率が上がるとのこと。


 トラップを設置する注意点の1つに、自分が引っかかってはならない。


 エルフのルクスは、少しだけ宙に浮き、慎重に道具を置いていく。


 記憶力の高い努の的確な指示で、作業は着々と進む。


「ルクスさん、さっきルグアさんから、通信魔法で連絡が来ました」


 通信魔法とは、名前からわかるように、報告手段として使うものだ。


 彼女は、たったの1日でこの魔法を発声せずに、唱えることができるようになった。


 藍に聞いたことよると、妹は世界で唯一どんな難しいゲームでも、最短3日で攻略してしまうのだとか。


【アンゲームブラスター】または、無敵のプレイヤー。彼女の実力が計り知れないのは、纏うオーラから気づいていた。


 兄なのに、ゲームでは頼りない俺。いつまでも、怖がってモタモタしているわけにはいかない。


 もうすぐ、リスポーンプレイヤーが、近づいてくる。


 ルクスは、速くなる鼓動と大きくなる恐怖を片隅に押しやり、トラップの内側で努と待ち伏せる。


 妹が、俺と努の相性を伝えた時は驚いたが、きっと優勢に戦える理由がある。


 ――ドドドドドォォォ…………!!


 山の裏手から聴こえる足音。

 ルクスたちの戦いは、まだ始まったばかりだ。


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