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第83.5話 〈アナグリム・ノワール〉の奇跡?

 ◇◇◇6ヶ月前◇◇◇



「ルナ!! そっちの餌箱の掃除終わったか?」


「はい!! アンゲーマー先生はどうですか?」


「ああ、私の方もさっき終わったところだ」



 今、私とルナの2人で何をしているかというと、〈アナグリム・ノワール〉の小屋の大掃除。


 広場などの大半を私が、餌箱や干し草の入れ替えをルナが担当。

 なぜ私が大半を掃除しているのかというと、



 ◇◇◇掃除開始前◇◇◇



「…………やっちまった」


「たしかに、これは時間がかかりそうですね……。アンゲーマー先生……」


「飼育エリア作る時、調子乗りすぎちまったぁ〜。最悪だ……。いくら繁殖力高くても、群馬一つ分はデカすぎる…………。あん時の私、何やってんだよ!!」


 見渡す限り広がる農場・耐電付飼育小屋。総面積6,360km²。公民に詳しく、地理にも強いセレス/三上輝夜に聞いた話によると、実際の群馬県より2km²小さい。


 でも、長い間整備していなかったせいで、飼育小屋は酷く汚れていた。


 それで、私が全体を、ルナが細かい場所を掃除することになり……。



 ◇◇◇10時間後◇◇◇



「やっと終わったぜ。超疲れた…………」


「今度は、ノワール達の遊び相手をすることですね」


「予定に入っていねぇやつだろ? 私はパスだ」



 ――ウュ〜ン。ウィユーン……。



 ルナの言葉に頭を振る私のところへ、1匹の〈アナグリム・ノワール〉がやってきた。よく見るとその子は少し見た目が違い、毛の色が黄色ではなく緑色。


 その〈アナグリム・ノワール〉はじっと空を見ている。私も一緒になって見上げると、綺麗な満月が輝いていた。


 見れば見るほど眠くなる。だんだん(まぶた)が重くなる。きらびやかな夜空は澄んでいて、疲れを癒してくれる。


 やがて睡魔に負けてしまいそうになると、


 ――ビリリッ!!



 突然、全身に電流が走った。睡魔は消え去り、目を開く。そこには、翼が生えた緑色の竜。


 そして、一番驚いたのは、


 〖やっと話ができますね。ルグア、ルナ。あたしは〈アルスルナ・ノワール〉。アナグリムの希少変異種です〗


「「希少変異種?」」


 竜が話し始めたことだ。


 〖はい、そうです。希少変異種というのは、あたしのように竜のなるものや、装備に変化するものもいます。そのほとんどが竜ですが……〗


「「……は、はぁ〜」」


 イマイチよく分からないが、そういうことらしい。今後、この竜をアルスと呼ぶことにした。


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