4巻発売記念SSー続くかも
我らがアイドル、ハルちゃん。その肩にはいつものようにコハルが乗っている。コハルは神獣の中でも神使だ。普通の神獣とは格が違う。この世界の創造神が直接ハルに遣わした神獣で、常にハルと一緒にいる。姿は見えなくても、ハルの亜空間の中にいる。
ハルはちびっ子なのにとってもやんちゃだ。ハルの必殺技「ちゅどーん!」で大きな魔物をやっつける。
今日もハルとコハルは自分よりずっと大きな魔物を討伐しようとしている。
「こはりゅ、いっくじょー!」
「いくなのれしゅ!」
タッタッタッタとハルが小さな身体で魔物に向かって走って行く。コハルはハルの肩に乗って、臨戦態勢だ。フワフワの尻尾がピンと上を向いている。
「たぁーッ!」
ハルが高くジャンプすると、コハルもピョンと高く飛んだ。
「ちゅどーんッ!」
「どーんなのれしゅ!」
ハルが魔物の顔面にドロップキックをお見舞いすると、コハルは頭に回し蹴りでとどめを刺す。もちろん、重力魔法でドドーンと重さを加えるのも忘れない。超大型の魔物は土煙を上げながら倒れた。
「ハル! コハル!」
「りひと、おわったじょ!」
「お、おう。大丈夫か!?」
「へいきら、どーってことねー」
周りの心配もどこへやら、本人はケロッとしている。このちびっ子コンビは末恐ろしい。
「ハルちゃ~ん! あたしもやっつけたのよ~!」
「しゅしゅ、やったな!」
「ふふふ、シュシュったら風属性魔法が本当に上手だわ」
「ミーレったら、当たりまえじゃない! あたしは神獣なのよぅ!」
コハルが何を言うかと言わんばかりに、シュシュの頭にピョンと乗った。
「偉そうなのれしゅ! まだまだピヨピヨなのれしゅ!」
シュシュの頭をタシタシと踏みつけている。もちろん本気ではない。
「コハル先輩ったら、ピヨピヨは止めてって言ってるのにぃ」
「よし、撤収するぞー!」
リヒトの声で皆ベースに向かって帰って行く。
この大森林は魔物が闊歩する危険な森だ。だがそれをエルフのガーディアンが討伐し、大森林を管理している。そのお陰で大森林から危険な魔物が外に出ることはない。
「りゅしか、はらへったじょ」
「はい、帰ったらお昼にしましょうね」
このチームはガーディアンの中でも最強といっても過言ではない。
なにしろエルフ族最強の5戦士の一人のリヒトがいる。そのリヒトを完璧にフォローするルシカや、何気に万能なイオス。そして最強のちびっ子コンビ、ハルとコハルだ。
最近まで長老と一緒に各国の遺跡調査で留守にしていた。
それも終わり、ベースに戻ってきたリヒトは忙しくしていた。ルシカもリヒトの補佐に忙しい。
カエデは毎日イオスとの鍛練に精を出し、合間にミーレに色々教わっている。
そうなると、時間を持て余しているのはハルとシュシュだ。コハルは用のない時は亜空間から出てこない。
今日も午前中はリヒトたちと一緒に魔物討伐をしたものの、ルシカのお昼を食べお昼寝をしていた。
ふわぁ〜と大きなノビをして、ハルが起きる。
「よく寝たじょ。ちゅぎは、りゅしかのおやちゅら」
「ハルちゃん、乗って」
「おー」
最近移動する時は必ずと言って良いほど、シュシュに乗っているハル。その所為か、お腹がポッコリしてる。
本人曰く……。
「こりぇは、幼児体形なんら」
と言っているが、確実に最初の頃よりプクプクしている。
「ねえ、ハル。ちょっと自分で歩く方がいいんじゃない?」
そう言われて、ホイップクリームをたっぷり添えた、ルシカの作ったパンケーキを頬張りながらハルがミーレを見た。
しっかりほっぺにホイップっクリームがついている。コハルもこんな時はちゃんと出てきて、一緒に食べている。ほっぺがパンパンに膨らんでいるぞ。
「みーりぇ、しょっか?」
「ええ、全然動いてないじゃない」
「部屋からここまで動いてるじょ」
「シュシュに乗ってるじゃない」
「けろ、動いてる」
だからそういう問題ではない。
「ハルちゃん、オヤツたべたら自分と一緒に鍛練しよか?」
「えー、めんどくしぇー」
「なんでやねん!」
「おりぇ、かえれより、ちゅえーし」
「そらそうやけどな。まあ、そうやな」
これはハル本人は動く気がない。
「あー! 終わんねー!」
「リヒト様、オヤツを食べますか?」
「おう、もらう。ルシカ、俺はホイップクリームはいいぞ」
「はい。分かりましたよ」
ハルのパンケーキには、ホイップクリームがこんもりと盛られている。
「えー、超うめーのに」
「アハハハ! ハル、ほっぺについてるぞ」
「どうやっても、ちゅくんら」
「ハルちゃんは、ホイップクリームつけすぎやねんて」
「しょう?」
「うん、そうやで。ハルちゃんの口の大きさ以上につけるからや」
「けろ、あーんておっきくあけてるじょ」
「それより大きいからあかんわ」
「しょっか」
そう言われているのに、ハルはまたたっぷりホイップクリームをのせて食べる。そしてほっぺにもつく。エンドレスだ。
「ハル、起きてたか」
「じーちゃん、おやちゅらじょ」
「長老も食べますか?」
「いや、ワシはお茶だけもらおう」
何気に毎日やってくる長老。今日はアヴィー先生は一緒ではないらしい。
「あれ? ばーちゃんは?」
「アヴィーは忙しいんだ。遺跡調査の報告書を、まとめないといけないからな」
長老はそれ以上に忙しいはずだ。各国との調整などなど、長老が全部やっている。今後の遺跡調査のために、各国の遺跡付近に転移の魔法陣を設置しなければならない。
それでも長老はハルのいるベースに毎日やってくる。ハルが可愛くて仕方がないらしい。
「ハル、じーちゃんの仕事を手伝うか?」
「なにしゅるんら?」
「転移の魔法陣を設置するんだ」
「ほうほう」
「じーちゃんと一緒に行くか?」
「おー」
どうせハルちゃんは暇だ。
「あたしも! ハルちゃんが行くならあたしも行くわ!」
「えー、自分も行くで!」
「俺はハルの従者だから一緒に行きますよ」
結局ハルだけという訳にはいかない。
「ミーレ姐さん、行けへんの?」
「私はいいわよ」
「なんでなん?」
「ベースにいるわよ。帰ってきたばかりじゃない」
そういうミーレは面倒らしい。
「ハルが行くなら俺も行くぞ」
「リヒト様、何を言ってるんですか。仕事があるでしょう」
「ルシカ、でもハルが行くって言うから……」
「リヒト様はベースでお仕事ですよ」
ちょっとルシカの目が怖い。これはリヒトも抵抗できない。
こうして賑やかに平和にベースでの日々が過ぎていく。時々長老の手伝いをしたり、リヒトの実家に帰ったり。
だが何かあればきっとまた長老やリヒトと一緒に出向くことになるだろう。
ちびっ子ハルちゃんの冒険はまた続くかも知れない。




